カナエルコとカナワルコ

ふぅぅ。
ふぅぅ。
ふぅぅ。

うわぁぁ。

カナエルコは大きく膨らんだ風船を見上げる。

「見て見て。もうすぐ空が飛べそうなの。」

カナエルコは、同じように隣で
風船を見上げているカナワルコに、
とびきりの笑顔を見せた。

「あと、もう少し。もう少しで夢が叶うよ♪」

カナエルコは思い切り空気を吸い込んで、
願いを込めて吹き込んだ。

すると風船は応えるように
ふわりと浮きあがると

次の瞬間
大きな音と共に
ま～るい形を失くした

それはまるで
夏の勢いを忘れた木々が
枯れ葉が舞わせるように
割れた欠片たちが
ヒラヒラと
足元で風に吹かれた

「ワタシの夢、割れちゃった…」

カナエルコは茫然としながら
隣のカナワルコを見た。

カナエルコの表情は
一瞬にして硬くなる。

カナワルコは膝を抱えて
大きな針を持っていた。

「アナタが割ったのね！！」
「なんてことするのよ！！」

カナエルコは、カナワルコの手から針を掴むと、
それを遠くに放り投げる。

「夢が叶うように応援するって言ってくれたじゃん！！」

カナエルコは大粒の涙を見せて
カナワルコに飛びついた。

するとカナワルコは、目を細めてつぶやく。

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針は前から手に持っていた。
気付かなかっただけでしょ。
その近くで風船を膨らませてた、
あなたに危機感がなかっただけよ。
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カナエルコは涙も止まるほど驚き、
カナワルコから手を放した。

「そんな…」

カナワルコの冷たくも取れる言葉に、
カナエルコは、また涙を見せる。

「だって夢を叶えようとしてるんだから、
針なんか持って近くにいなくたっていいじゃない！！
なんで、どいててくれなかったのよ！！」

カナエルコの枯れそうな声に、
カナワルコは、またさっきと同じ細い目をする。

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夢を叶えようとする人って嫌ね。
自分の夢のためなら、回りは全部、
協力してくれると思い込んでるんだから。
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そう言うとカナワルコは立ち上がり、
カナエルコを見下ろすと、立ち去った。

この一言を残して。

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応援するとは言ったけど、協力するとは言ってないから
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カナエルコは、地面に散らばる夢の屑を集めて、
高くなる秋の空を見上げた。


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という夢を見たお話です。

いやぁ。ちょっと身震い。

というのも、夢の中ではカナエルコもカナワルコも
知った間柄の人で、私は傍観者Aでした。

もちろん、ストーリー的に少し脚色させてもらいましたが、
２人の会話・風船・場所などは、夢のままになっています。


夢を叶えるということは、自分の局地的な望みであって、
あんまり自分ばかり盛り上がってると、
周りがいつの間にか応援も協力でもなくなって…

なんてことがあるかも、と痛感。

もっと他人に感謝しとけって意味でしょうか。

こんな夢を見る自分が心配です(T-T)


それより、カナワルコが言ってる「応援と協力」

似て非なるものなんですね。

言葉ってややこしや。

思わず自分の過去の発言やら
メールの文章を思い出してみたりして。

ややっ。

応援って言葉が多すぎる（笑）