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斯く斯く鹿々

鹿島アントラーズが好きな男のサッカーに限らない普通の日記

6年目の911

2007-09-13 12:07:53 | Weblog
多忙で、完全にタイミングを逸したエントリになってしまいましたが、やはり触れないわけにはいかないと思いました。

フィラデルフィア近郊で迎えた6年目の朝は、どんよりと雲がかかり、今にも雨が降りそうなくらい朝でした。テレビのニュースではNYでの式典のことを伝えていました。出先での仕事は非常に早い時間を指定され、WTCに突入した最初のAAの飛行機がボストンを出発する頃には、すでにオフィスで会議でした。

ちょっとしたブレイクの間に、共にコーヒーを飲みに日本で言う給湯室のようなところへアメリカ人老技術者と移動。会議室に戻る際にふと廊下に飾られている写真を見ると、そこにはブルックリンブリッジと共に、空にそびえ立つWTCの写真(それもそこそこ古いもの)が他の写真と共に飾ってありました。

一緒にいた老技術者に「あの日のことは忘れられないね」と話しかけると、
「アメリカ人にとっては、君たち以上に忘れられない日なんだよ。あの日はね・・・」
当たり前の話ですが、深い傷跡を彼らの心に残したままのようです。しかし彼は続いてつぶやきました。
「あんな悪夢が起きてから、長い時間が過ぎたというのに、人類はお互いに殺し合いをしている。恥ずかしいと思わないか??」
たばこと酒は軍隊時代に覚えたという徴兵制度が存在した世代の老技術者のつぶやきには、実感と非常な重さを感じました。

帰り道、ふと玄関の前を見上げると、星条旗は半旗でした。昼間降った雨が嘘のような青空に、星条旗ははためいていました。

私を野球に連れてって

2007-09-09 14:40:17 | Weblog
地元パイレーツのチケットがあっけなくとれたので、メジャーリーグを見に行きました。ここ数年野球を見たのは横浜スタジアムの2試合(それもかなりとほほ・・・)だったので、どんなもんかなぁと漠然とした気持ちで。

うーん、Ballparkの雰囲気が全然違います。うるさいラッパもかけ声もなし。エレクトーンに合わせて声援が起き、相手チームのファインプレーには拍手。自チームが良い感じになれば皆席から立ち上がります。イニングイニングの間はアトラクションが満載。横浜スタジアムでベイスターズがやっていたのは、メジャーリーグを参考にしたものだったんだなと初めて分かりました。

意外だったのは、バックスクリーン大型画面の使い方。試合前の選手紹介は、日本のサッカーと同じような形式でした。マジで驚き。その後も、選手紹介はいろんなバージョンではいるし、トリビアが流れたりもします。試合展開に合わせた映像も流れたりして、言葉が分からない私でも十分に楽しめました。試合開始前は米国国歌、でもって7回表が終わったところで「私を野球に連れてって」と。あまりにも有名ですが、いざ体験してみるとなかなか良いものです。

試合内容は、パイレーツは駄目駄目。ヒット2本じゃ勝てませんがな。というか、相手(シカゴカブス)のザンブラーノ投手が非常に良かったのだと思います。右打者内角の切れのある変化球に、全く打者が対応できていませんでした。7回に四死球がらみで無死満塁となり降板しましたが、継投陣も要所を締めてカブスが完勝でした。ソリアーノ選手(えっ広島にいたの・・・)のホームランも見られたし、外野のダイナミックな守備もみれましたし、圧巻はカブスの選手(名前わかんないです)の3塁への走塁でした。早いのなんの。

よく言われることですが、全体的に試合運びがスピーディーなのが印象に残りました。やはりBaseballと野球もっと言うなら野球道は違うものなのだなと。「喝っ!」って言ってるメジャー嫌いおじさんも居られますが、まぁ堅いこと言わずに楽しもうや的な感じが流れるアメリカのボールパークの雰囲気は、なかなか心地よいものでした。少なくとも、バックネット裏が日本円で3000円くらいですから、コストパフォーマンスの面ではかなりアメリカの方が上な気がします。(まぁ、ヤンキースのような人気チームだとこうはいかないのでしょうが・・・。)

#レッドソックスの試合がえらいことになってるのは途中経過で分かっていたのですが、松坂だったか・・・。

台風の被害

2007-09-08 13:59:13 | Weblog
関東地方は台風直撃で酷いことになっていたそうで、被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。

知人のところに多摩川の様子を写した写真が届いていたのですが、堤防上面のすぐそばまで水が押し寄せている様子を見て、非常に驚きました。西湘バイパスも一部が崩れてしまったようですし、予想以上に酷い被害だったのだなぁなどと思います。

当地も最近は落ち着いたものの、そこここで大雨洪水と言った事態です。やはり温暖化の影響なのかなと思えてきますが、米国マスコミにはあまりそのような論調が見られないようです。

だんだん慣れてきたつもりでもやっぱり駄目

2007-09-06 12:54:26 | Weblog
こちらの生活も一ヶ月過ぎて、英語の環境にも慣れてきたなぁなんて甘いことを考えていたら、とんでもない落とし穴・・・。

ちょっと遅くまで仕事をしてホテルの部屋に戻ると、電話のメッセージランプがちかちか点滅。何だろと思って受話器を取ると、午後3時のメッセージ。うっ、仕事関係じゃないぞ・・・。で案の定、とんでもなく早い英語がべらべらべらべら・・・・。分かるのは、「あなたの支払いは$3700です。」って最後の一文だけでした。ホテル代かなぁ・・・。

フロントから人を呼んで、筆談。結局、1ヶ月締めで払ってほしいと言うことでした。フロントのBRADさん本当にありがとう。仕事とはいえ、親切な米国人が多いのは嬉しい限りです・・・。もっともっと英語勉強せねば。

ある母子の話

2007-09-01 10:29:55 | Weblog
こちらへ来て1ヶ月。アメリカの良い面ばかり伝えてきたような気がするが、それは良い面しか見ていないだけだった。もっと言うなら、恵まれた人しか存在しない環境に、自分がいるだけの話だった。

その母子は、いつもホテルの中庭にある小さなプールで遊んでいた。プールに遊びに来ている近所の子供たちの一団には加わらず、母子3人だけで遊んでいた。先週末、運動不足解消のために泳いでいた時に、平泳ぎする僕の姿を見て「蛙みたいだね!」と話しかけてきたのも、そういえばこの一家のワンパク坊主だった。そこに父親の姿は、いつもなかった。

昨日の事、珍しくホテルで食事を済ませ、中庭にあるプールのそばを歩いて部屋に戻ろうとすると、その母子と父親らしき男性、あとは知り合いと思しき若い兄ちゃん数人に「ビールでも飲みなよ」と誘われた。正直ちょっとおっかない気もしたが、子供もいることだしお誘いに乗ることにした。

ビールを飲みながら話を聞くと、男性陣は全く無関係な他人。工事関係の仕事をしていて、このホテルを宿舎として使っている人達だった。お互いの身の上話をちょっとしたとき、母親がポツリと、
「私、今住む家がないホームレスなんだ・・・」
えっ!っと思った。でも理由なんか聞けないよなぁ・・・。
「この子達の父親は本当にどうしようもない奴でね、酒とドラック(コカインだそうな)に溺れて、どうしようもなかったの。耐え切れなくて、子供たち連れてウチを出たのよ。」
「仲の良い友達がこのホテルに連れてきてくれたの。私にとってはシェルターみたいなもんだわ。子供達は、それを知らないけど」
英語のスキルが低いせいもあるが、かける言葉がなかった。こんな異邦人にさえ、話したくなるようなつらい状況なんだなと。その割に、彼女は屈託ない笑顔で話していたのが印象的だった。

そんな彼女の夢は、母子3人で日本に遊びに行くことだとか。理由を聞くと、
「日本って、ここと違ってすごく狭いところに沢山の人が住んでるって聞いたわ。今あなたがアメリカに来ていろいろと感じているように、私は子供達に違った雰囲気を感じさせたいの。違った雰囲気をね。」
彼女の"different"という言葉が、胸に突き刺さった。彼女の夢が叶う日が来ることを、祈らずには居れなかった。

その後、更にビールを飲んで、カードで遊んだ。深刻な話はやめ、アメリカについていろいろ話を聞いたり、子供の相手をしてやったり、僕にとっても良い気分転換の時間になった。夜も更けて、お開きの頃、
「あなたはいつまでここにいるの?」
仕事の都合でしばらくいるよと伝えると、
「そうなんだ。こんなところで一人は大変ね。私達は日曜日まで。」
車のライセンスさえ持たないという彼女に、その後は?とはとても聞けなかった。

7歳と答えたあのワンパク坊主。こちらはちょうど新学期の季節だが、彼の戻る学校はあるのだろうか。明日は土曜日。世間はLabor DayのHoliday Weekend。天気が良ければ、プールであいつの相手でもしてやろう。自分にできることは、それくらいしかない。