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日々の雑感

クゼの思想背景 - ホロン革命

2005年02月27日 02時39分11秒 | 攻殻機動隊
 攻殻機動隊 2nd GIG 12をみました。
 ゴーダの掌の上で踊らされているわけですね。ゴーダの考えはわかりやすいですが、クゼの思想がわかりにくいと思い、クゼが老思想家に語るところから、自分で思いつくことを書いてまとめてみます。

 クゼは比較的電脳化している難民のハブ電脳として働いている。クゼは難民たちの立場に立ち、300万人からの問いかけに答え続けるだけの精神力を持って、その意識をとりまとめ、リーダー的存在になっていった。革命のもとに終結した組織はヒエラルキーが形成され、クゼがはじめ思ってもなかったことが起こり始めた。「水は低きに流れる。人の心も低きに・・」と言われるように、武器を持てば使ってみたくなり、権力を持てば誇示したくなる。出島がジャミングされて、電脳ネットが遮断されたとき、難民たちはリーダーを失い、「低き」に流れていく。その中で、クゼにとってこの戦いが理想の革命ではなく、上部構造へシフトする真の革命の準備段階に過ぎないことが語られる。
 上部構造の話の時、「八咫烏(やたのからす)と月」のイメージが出てくる。これは映画の攻殻機動隊で、素子が人形使いと融合するときにでてきたイメージである。また、マンガの攻殻機動隊2でも上部ホロンに移行するイメージとして欄外か何かにそんな解説が書いてあったように思う。
 原作でもそうなんですが、英語タイトルの「Ghost in the Shell」からもわかるように、アーサー・ケストラー著「Ghost in the machine 機械の中の幽霊」を思想背景として持っているので、ホロンというシステム論的考え方を理解してなくては、この攻殻機動隊のシリーズを理解できないと思う。その辺の難しい説明はこちらのページに詳しい。
 その思想を簡単に説明すると、例えば人間は細胞でできている。細胞が集まって、ネットワークを作っている。人間の思想や意志、そういったものは、細胞に還元できないのではないかというものである。つまり、人間の意志(上部の階層[階層=ホロン holon])を細胞(下部の階層)に分解して説明できないし、上部が下部を単純に支配しているわけでもない(意志があっても膵臓や肝臓の動きを調節することはできない)。
 クゼがハブ電脳になり、難民の意識をネットで結びつけ、難民一人一人(下部のホロン)を難民という一つの集合体(上部のホロン)にまとめ上げ、その集合体の意識を打ち立てることこそ、真の革命というのだと言ってるのだと思う。それが上部階層(構造、ホロン)へシフトすることなのだと。
 電脳でのネットで、人と人が深く結びついているという社会背景の設定がケストラーの描いたものをリアリティあふれる作品として成就するに足りるものとしている。

 なんてね。
これを読んで興味があったら、参考文献をみてみてね
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「革命」というけど、原題にはないです。
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