4.国家戦略局で取り上げるべき優先事項
国家戦略局では、様々な政策について検討されていくことになるでしょうが、ここでは、官僚支配から脱却するために高い優先度を与える必要があると思われる点に絞ってお話したいと思います。
今回は、その前半です。
(1)自己完結的人事制度の確立(≒天下り禁止≒特殊法人解体)
現在の官僚人事は、次官に至る出世レースの脱落者を外部の組織(独立行政法人や民間企業)に吸収させ、官僚ヒエラルキーから順次リタイアさせていくことを大前提に設計されています。
もちろん利権を手土産にしなくとも引く手あまたという優秀な人材も少なくないでしょうが、多くの方々については、各省のタコツボの中で20年30年の歳月をかけて熟成発酵して(「腐って」と表現する方もいます)いらしゃいますので、タコツボから取り出すために芳香(「腐臭」と表現する方もいます)が漏れない「特殊容器」(「特殊法人」ともいいます)を別途用意しなければなりません。
では、その「特殊容器」にどれほどの血税が投入されるのでしょうか?
今年5月に発表された衆院調査局の調査によると、2007年度に中央省庁所管の4504の特殊法人及び独立行政法人等に再就職した国家公務員OBは、2万5245人で、これらの法人に1年間で12兆1334億2500万円が交付されています。
つまり、一人当たり4億8千万円をかけて「特殊容器」を準備しているわけです。六ヶ所村の放射性廃棄物とは異なり半減期が10年程度である点はまだしも救いですが、どうにかならないものでしょうか?
こうした「特殊容器」への天下りを全面的に禁止して、民間企業の正社員と同様に、窓際ポストを作ってでも建前どおり65歳まで終身雇用し、あとはスパッとお辞めいただけばいいのです。
そうすれば、各省庁にしてもがんばって特殊法人及び独立行政法人のために予算を取ってくるモチベーションが消えますので、多くの「特殊容器」が自ずから縮小・消滅していくでしょう。
また、役所内で雇用するだけだと、福利厚生費を合わせても1人あたり平均で年間2千万円までには収めることができるでしょう。
彼らがタコツボの中で肥大化させた自己評価を満足させるために黒塗りに乗せて差し上げる必要はありませんのでね。
「それでももったいない」という方がいらっしゃるかもしれませんが、4億8千万円の24分の1で済むということだけでも検討に値すると思います。
(2)官僚人事の官邸主導化
最近、城山三郎の「官僚たちの夏」がドラマ化されて話題になっていますが、あのように高い職業意識をもち自らを厳しく律することのできる官僚がこの世から姿を消して久しい現在において、評価者自身が、将来、被評価者により再帰的に評価される人事システムでは、「目こぼし」と「馴れ合い」が横行するのは当たり前のことと捉えなければなりません。
明晰で冷徹で頭脳をお持ちの方ほど、人を厳しく評価しても自身に何のメリットはなく、将来不利益を受けるリスクを増大させるだけであるとお考えになるからです。
もちろん課長以下中堅どころまでの評価は、相応の専門性が必要ですので、各省庁の主体性を十分に考慮すべきであると思いますが、局長級以上の人事については、その時々の為政者の明確な意思に沿った政治的判断を優先しなければ、省益優先の縦割り行政を打破することは難しいと思います。
よって、思い切って人事院を廃し、各省庁大臣官房秘書課の人事権限を制限して、国家戦略局内に、統合的な人事セクションを設けることが望ましいと考えます。
続きは次回に
筆:猿山太郎
国家戦略局では、様々な政策について検討されていくことになるでしょうが、ここでは、官僚支配から脱却するために高い優先度を与える必要があると思われる点に絞ってお話したいと思います。
今回は、その前半です。
(1)自己完結的人事制度の確立(≒天下り禁止≒特殊法人解体)
現在の官僚人事は、次官に至る出世レースの脱落者を外部の組織(独立行政法人や民間企業)に吸収させ、官僚ヒエラルキーから順次リタイアさせていくことを大前提に設計されています。
もちろん利権を手土産にしなくとも引く手あまたという優秀な人材も少なくないでしょうが、多くの方々については、各省のタコツボの中で20年30年の歳月をかけて熟成発酵して(「腐って」と表現する方もいます)いらしゃいますので、タコツボから取り出すために芳香(「腐臭」と表現する方もいます)が漏れない「特殊容器」(「特殊法人」ともいいます)を別途用意しなければなりません。
では、その「特殊容器」にどれほどの血税が投入されるのでしょうか?
今年5月に発表された衆院調査局の調査によると、2007年度に中央省庁所管の4504の特殊法人及び独立行政法人等に再就職した国家公務員OBは、2万5245人で、これらの法人に1年間で12兆1334億2500万円が交付されています。
つまり、一人当たり4億8千万円をかけて「特殊容器」を準備しているわけです。六ヶ所村の放射性廃棄物とは異なり半減期が10年程度である点はまだしも救いですが、どうにかならないものでしょうか?
こうした「特殊容器」への天下りを全面的に禁止して、民間企業の正社員と同様に、窓際ポストを作ってでも建前どおり65歳まで終身雇用し、あとはスパッとお辞めいただけばいいのです。
そうすれば、各省庁にしてもがんばって特殊法人及び独立行政法人のために予算を取ってくるモチベーションが消えますので、多くの「特殊容器」が自ずから縮小・消滅していくでしょう。
また、役所内で雇用するだけだと、福利厚生費を合わせても1人あたり平均で年間2千万円までには収めることができるでしょう。
彼らがタコツボの中で肥大化させた自己評価を満足させるために黒塗りに乗せて差し上げる必要はありませんのでね。
「それでももったいない」という方がいらっしゃるかもしれませんが、4億8千万円の24分の1で済むということだけでも検討に値すると思います。
(2)官僚人事の官邸主導化
最近、城山三郎の「官僚たちの夏」がドラマ化されて話題になっていますが、あのように高い職業意識をもち自らを厳しく律することのできる官僚がこの世から姿を消して久しい現在において、評価者自身が、将来、被評価者により再帰的に評価される人事システムでは、「目こぼし」と「馴れ合い」が横行するのは当たり前のことと捉えなければなりません。
明晰で冷徹で頭脳をお持ちの方ほど、人を厳しく評価しても自身に何のメリットはなく、将来不利益を受けるリスクを増大させるだけであるとお考えになるからです。
もちろん課長以下中堅どころまでの評価は、相応の専門性が必要ですので、各省庁の主体性を十分に考慮すべきであると思いますが、局長級以上の人事については、その時々の為政者の明確な意思に沿った政治的判断を優先しなければ、省益優先の縦割り行政を打破することは難しいと思います。
よって、思い切って人事院を廃し、各省庁大臣官房秘書課の人事権限を制限して、国家戦略局内に、統合的な人事セクションを設けることが望ましいと考えます。
続きは次回に
筆:猿山太郎