70の瞳

笑いあり涙あり、36人の子どもたちが生活する児童養護施設「さんあい」の出来事や子どもと職員の声をお聞きください。

まず精神的な自立から

2016-02-28 15:47:37 | 愛すべき子どもたち

さんあいには、子どもたちの家族が訪問してきた時に一緒に泊まることもできる1DKの家族訓練室(ファミリールーム)が事務所棟に併設されている。そして来年度から高校生を対象にして、このファミリールームを活用して自立トレーニングを実施する計画である。高校生になれば、卒業後の1人暮らしを見据えて、掃除、洗濯、炊事等の生活技術を一人で出来るように習得しておいた方がよい。何よりも、一人暮らしとは、朝1人で起きて1人でご飯を食べ、1人で出かけ、1人で帰宅し、1人で寝ることだ。つまり今の施設の暮らしと比較すると、1人暮らしは非常に寂しく孤独だ。

施設から社会に旅立つ多くの子どもたちは、突然この寂しさ・孤独と向かい合わなければならない。一日の出来事や愚痴を聞いてくれる職員はいないし、同じテレビを観て笑ったりする友だちもいない。そんな孤独感からSNSやギャンブルにのめり込んでしまい仕事や勉強に支障が出てしまったり、対人関係が築けずに職を転々とする子どもたちも多い。

自立トレーニングの基礎は、精神的な自立だ。精神的な自立とは、孤独でも孤立しないで、助けが必要な時は、誰かに助けを求めることができることだ。だからまず、ファミリールームでの1人暮らしの生活で寂しさや孤独感を少し経験してもらい、必要な時に職員に助けを求めることから始める。期間は、2泊3日、1週間、2週間、3週間と少しづつ伸ばしてゆくのも面白い。

精神的な自立の道筋が立てば、出火や空き巣等には充分に気を付けていれば掃除、洗濯、炊事等の生活技術の自立は失敗をしながら徐々に身についてくるのが通常だ。誰も最初から美味しい手料理などできないのは当然なのだから。

 

 

まずは、精神的自立から。でも料理の楽しさを知っておいたら生活が豊かになるし寂しさも紛れるかもしれない。

 


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