70の瞳

笑いあり涙あり、36人の子どもたちが生活する児童養護施設「さんあい」の出来事や子どもと職員の声をお聞きください。

お小遣い

2024-10-04 19:29:46 | 愛すべき子どもたち

一般の家庭と同様、児童養護施設でもこども達が日々の生活の中で自分で自由に使えるお金を持てるようお小遣いを渡しています。金額は同年代の子どもたちや地域の状況をみながら決められています。お小遣いは、子どもたちにとっては計算を覚える機会であったり、自分でお金を貯めて欲しいものにお金を使う計画力を養ったり、ひいては退所をして自立を始めるために経済観念を養っていくためのステップともなるものです。

さんあいでは毎月のお小遣いを施設長が直接、子どもたち一人ひとりに手渡しをするようにしています。

小学生になるとお小遣いもお札が混ざるようになります。今月はいよいよ新札が混ざるようになりました。

「あ、渋沢栄一だ!」いやいや、それは北里柴三郎さんです。

子どもたちのお小遣いを含む生活にかかる費用は、基本的に行政からの措置費によって賄われています。

10月も多くの品物の値段が上がりました。子ども会議では、子どもたちからお小遣いの額を引き上げて欲しい、という要望が出されています。施設単独の努力ではどうしようもないこともあることを子どもたちには説明、理解をしてもらい、たいせつに使おうね、と話しています。


マメちゃん逝く

2024-09-25 19:05:54 | 愛すべき子どもたち

この時期らしい涼しさが感じられるようになった朝、ウサギのマメちゃんが天に旅立ってしまいました。前日まで元気にしていたマメちゃんですが、ぶどうの木で動物たちのお世話をしてくれている子どもたちが、冷たくなっているマメちゃんを見つけたのです。

子どもたちを集めて理事長先生からお話し。マメちゃんはフレミッシュ・ジャイアントという種類で、平均寿命は7‐8年ということ。生まれて2年ほどのマメちゃんでしたが、それよりもかなり早い短い命でした。でも、その短い間にたくさんの楽しい時間を与えてくれたことに皆で感謝をしました。

同じ動物小屋でマメちゃんと起居を共にしてきたポニーちゃんも神妙な面持ちで話しを聞いています。

皆で順番にマメちゃんのなきがらにお別れをしました。

お墓には皆で好物の小松菜を供えました。

最後に皆で祈りを合わせました。悲しいできごとですが、子どもたち一人一人が、このことを通して生きるために大切なことを学んでくれることを願ってやみません。


十五夜

2024-09-18 17:19:04 | 愛すべき子どもたち

昨晩は十五夜でした。午後7時過ぎ、ねむのきの子どもたちが中庭に出てきました。

「雲が厚いなぁ」「見えるかな~」 すると、あいにくの曇り空でしたが、雲の間からまん丸い月が顔を出してくれました。

中秋の名月というには、あまりに蒸し暑い夜ではありましたが、季節は少しずつ秋に向かっていることを感じます。子どもたちと共に季節を感じ、大地の恵みや宇宙の雄大さに触れる機会を大切にしていきたいです。


総合避難訓練

2024-09-16 15:01:22 | 愛すべき子どもたち

児童福祉施設では、毎月、避難訓練を実施することが義務付けられています。ただマンネリ化してしまわないように、避難をする事態も時間も方法も、はたまた避難だけではなく防災の内容も加味しながら、毎月、異なるアプローチで実施しています。

例年、夏休みには、施設内にある消火栓と放水用のホースを実際に使用して避難と消火の訓練を実施していたのですが、今年は災害ともいえる猛暑により日中に外に活動をすることが難しくなってしまったため延期としました。その暑さが少し和らいだ9月の休みの日に、深谷市消防局の方々のご協力もいただき、実施の運びとなりました。

制服の消防士さん達に見守られて、いつもより緊張感があります。

グラウンドで水の入った消火器を使って練習。希望する小学生が実際の消火器を持って的をめがけて放水。実際の消火器からは泡が出るそうです。

中高生はホースを使っての放水。水圧で押し戻される感覚も体験。実際の火事の場面ではまず職員が避難誘導、同時もしくはその後に消火活動を行いますが、人手が足りない、いざという時には中高生の手を借りることもあるかもしれません、と伝えられると皆真剣に取り組んでいました。

最後に講評をいただき訓練終了。その後は消防士さんが乗って来た消防車を間近で見学。

もう一台、消防士さんたちが乗って来た救急車も見せていただきました。熱中症の患者さんの対応で、今年の夏は大忙しだったそうです。この夏、さんあいではみんなで予防に努めてひとりも熱中症で病院に駆け込むことはありませんでした、と伝えると喜んでいただきました。

消防士の皆さん、いつもみんなの安全、安心のためにありがとうございます。

 


猛暑日続く

2024-09-13 17:04:18 | 愛すべき子どもたち

9月になったというのに連日の猛暑。ひと夏の猛暑日の日数、記録更新です。

強い日差しとむせかえるような熱気の中、それでもこども達は元気に登校、登園をしています。

そんな暑さに負けないようにとアイスクリームのご寄贈がありました。

沖縄の名産品、ブルーシールのアイスクリームです。

さっそくお部屋に配ると子どもも職員も大喜び。

笑顔があふれました。心は温かく、でもこども達が安心して外遊びができるように、早く涼しくなることを願わずにはいられません。


こどもの参画

2024-09-01 12:50:40 | 愛すべき子どもたち

今年度から施行された改正児童福祉法には、こどもの権利擁護の取組をさらに推進するため、施設等に措置されるこども達や、一時保護されるこども達の意見を聴く仕組みの必要性が明記され、その環境整備は都道府県等の業務であるとしています。今後、都道府県から施設等に派遣された専門家が、こども達の意見表明を支援することになる、というのが趣旨です。

実際に施設の外部から来られる方に、こどもたちの意見表明を支援する働きがどれだけできるのか、これから試行錯誤が繰り返されるものと想像します。いずれにしても日常的に子どもたちとかかわる施設職員としては、こどもたちが誰に対してであっても安心して自らの意見を述べたり、思いを表現できるような環境を作ることは責務です。

ただ、意見表明ができればそれですべて問題が解決する訳ではありません。「意見表明は、あくまでプロセス。最終目標はこどもの参画により“真の民主主義”が実現すること」というロジャー・ハート*の言葉を肝に銘じたいと思います。

 

夏休み中に開かれた小学生会議。初めは職員が導いて議長の選出、本日の議題の提案などをします。

それぞれ自分の思いを持って挙手。決定した内容に対しても素直に受け入れて会議が進みます。

こども達から質問が出て、オブザーバーだった施設長が許可を得て回答する場面もありました。

こども達が選んだ議長の進行により、スムーズに会議を終えることができました。

埼玉県内では、自治体による子どもの権利条例策定の例がないそうです。こども大綱に続いて、埼玉県こども計画が策定された後は、こども参画による市町村レベルでの条例制定が進むことが期待されます。

 

*ロジャー・ハート著、木下勇・田中治彦・南博文監修、IPA日本支部訳『子どもの参画-コミュニティづくりと身近な環境ケアへの参画のための理論と実際』萌文社、2000年


ホーム旅行

2024-08-27 18:24:15 | 愛すべき子どもたち

8月ももうすぐ終わり。地域によっては明日から2学期が始まります。残暑とはとても思えない暑さが続きますが、学校が始まれば、楽しかった夏休みの経験もすべて思い出になります。さんあいの多くの部屋(ホーム)が、その夏休み中にホーム単位での旅行を楽しんでいます。行先ややりたいこと等、ホームごとに話し合いをして、職員と子ども達で企画~準備~実施をします。

海がない埼玉県を抜け出して海水浴を楽しんだ部屋もあります。

さんあいにも砂場ができましたが、海辺の砂にはかないません。

海辺の水族館には、大きな海獣もいました。

絶叫マシーンに挑戦したホームもありました。

なりきり体験。アニメか現実かわからなくなりそうです。

桃やブドウ狩りをしたホームもありました。

カップヌードルの博物館で自分だけのオリジナル製品を作った部屋も。

米どころに行き、こちらもオリジナル、しかも特大の煎餅づくりに挑戦した部屋もありました。

遊びや社会体験は、子どもたちの成長に欠かせないものであり、子どもの権利条約第31条にも明記されている権利でもあります。

行政や様々な方々の理解と支援を受けて、それらの営みを続けていきたいと思います。


祭りだ、まつりだ!

2024-08-21 17:53:55 | 愛すべき子どもたち

さんあいのある深谷では、様々な地域の祭りがあります。夏にはその多くが開催され、子ども達も楽しみにしています。

深谷まつりには、さんあいの小学生たちも神輿をかついで、通りを練り歩きます。

地域の祭りでは、出店が出るので、そこでお小遣いを使って好きなものを買ったり、ゲームに挑戦するのを楽しみにしている子たちもいます。

今年は盆踊りに挑戦した子もいました。暑さのため日中はなかなか外に出られないですが、少しでも思い出に残る体験になったらうれしい限りです。

そして、お祭りから帰って来た後、その思い出を再現したお部屋がありました!

屋台に見立てたキッチン・カウンターで、職員が作ったお金を払って好きな料理を買って食べる、というものです。(実際には、好きなものだけ食べると栄養に偏りが出るので、基本的にはすべての料理を“買って”もらうそうですが)

ラムネや綿菓子もあって、いつもと一風変わった、楽しい食事のときになりました。


川遊び

2024-08-12 13:40:18 | 愛すべき子どもたち

埼玉県には海は有りませんが、川が沢山あります。 県内の川の流域面積は日本一らしいです。 さんあいの近くにも川遊びができる川(沢)があり時々沢蟹も発見できます。 そんな場所に子どもたちを連れてゆくと大喜びです。

やっぱり自然は良いね。 子どもたちの心身をやさしく癒してくれます。

 

 

 


親善球技大会(ドッヂビー)

2024-08-09 13:17:12 | 愛すべき子どもたち

埼玉県内の児童養護施設が協力して、毎年、親善球技大会を催しています。幅広い年齢の子ども達、能力や体力も異なる子ども達が協力をして取り組める球技として、昨年からドッヂビーを採用しました。ドッヂビーはドッジボールの代わりにソフトタイプのフライングディスクを使用する競技。ぶつかっても痛くないので、幅広い世代で楽しむことができます。各施設は小学生のチーム、中高生のチームを編成して優勝を目指しました。

体育館を借り切っての開催。オリンピックにも負けない緊張感です。

小学生チーム。事前の練習、そして作戦会議をへて善戦。勝ち上がることはできませんでしたが、来年が楽しみです。

そして大健闘をしたのが中高生。予選で一度は負けてしまったものの、敗者復活、決勝戦に臨みました。

小学生は他を寄せ付けない迫力の応援を展開。中高生はその力を得てみごと勝利。

優勝の栄冠を手にすることができました。

勝っても負けても全力を出し切れたこと、そしてみんなで心を一つにして取り組めたことが何よりの成果でした。

さぁ、来年に向けて、戦いは始まっています?!