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愉しむ漢詩

漢詩をあるテーマ、例えば、”お酒”で切って読んでいく。又は作るのに挑戦する。”愉しむ漢詩”を目指します。

閑話休題 5 漢詩を読む 杜牧 (2)

2015-04-23 17:15:36 | 健康
時節外れの話題で恐縮ですが、昨年11月初旬、箕面公園で紅葉狩りを楽しみました。やや早めで、七部くらいの紅葉でしたが、満足のいく紅葉狩り日和でした(写真1)。その際に頭に浮かんだのが、杜牧の“山行”の結句、「霜葉は二月の花よりも紅なり」でした。

写真1

‘箕面の滝’を目標にこれまでにも何度か訪ねたことはありましたが、すべて箕面川に沿った車道を上ったものでした。今回、箕面に詳しい仲間の案内で、途中横道に入り、山の中腹を通る山道に沿って滝を目指しました(写真2)。上り下りが多く、また細く曲がりくねった山の道で、足場は岩の一部が飛び出していてデコボコ、坂道ではむしろ階段の踏み段の役目を果たしていた。谷の向こうの山の斜面には木々の間から色づき始めた楓が映えている。また道端で樹齢何百年とも思える、2mは優に超す幹周の楓の巨木も目に留まる(写真3)。

写真 2

写真 3

いよいよ滝に至る。人、人、人、….(写真4)。途中の山道では、三々五々、人の群れはむしろ疎らでさほど混雑することはなかったが(写真2)。滝の側には頼山陽の漢詩を刻んだ石碑があり、その前に頼山陽作の七言絶句を記した看板が立っている。頼山陽は、今から180年くらい前に老母を伴って箕面の滝を訪れた由である。

写真 4

駅前の登山道の入り口から中腹辺りまで、道の両側にはお土産店が並んでいる。箕面特産‘銀寄栗’の焼き栗や楓の葉に衣を着せて油で揚げた‘もみじ天ぷら’等など、山道で汗を流した後の一服には答えられない味でした。特に紅葉の頃の箕面は絶好の観光スポットと言えるでしょう。
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閑話休題 4 漢詩を読む 杜牧 (1)

2015-04-21 14:18:08 | 健康
今回は、時節は違いますが、杜牧の有名な詩の一つ「山行」を読みます。

  山行        山(さん)行(こう)
遠上寒山石径斜   遠(とお)く寒山(かんざん)に上(のぼ)れば 石径(せっけい)斜(なな)めなり
白雲生処有人家   白雲(はくうん)生(しょう)ずる処(ところ) 人家(じんか)有(あ)り
停車坐愛楓林晩   車(くるま)を停(とど)めて坐(そぞ)ろに愛す 楓(ふう)林(りん)の晩(くれ)
霜葉紅於二月花   霜(そう)葉(よう)は二月の花よりも紅(くれない)なり

 現代訳
  遠くもの寂しい山に登っていくと、石の小道が斜めに続く。
  その上の、はるかに白雲が湧き上がるところに人家が見える。
  車を止めて、夕暮れの楓の林をしみじみと眺めた。
  霜にうたれて紅葉した楓の葉は、
    春の盛り咲く花よりもいっそう艶やかに赤く色づいている。

      石川忠久 監修 NHK『新漢詩紀行 ガイド』(2010)より引用

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閑話休題-3 漢詩を読む 蘇東坡(3)

2015-04-17 18:28:48 | 健康
“峰”と“嶺”について。白川静博士の著書『字統』(平凡社、2004)に当たってみました。

同著書に拠ると “峰”の項では、[“夆”は木の秀つ枝(ほつえ、上枝)に心霊の降る形。鉾杉などの上に神が降るとされていたのであろう。そのような木のある山を“峰”という。]  “嶺”の字中にある[“領”はえりくび、またはかたそば]を意味し、“嶺”は、 [「山道なり」、「山の肩領・道路を通すべき者」]とある。さらに[山頂を“峰”・頂というに対して、連峰を“嶺”という]とある。なお、上の記載は、白川静著書の記載通りではなく、筆者の理解の程度に従って現代風に書き換えてあります。

蘇東坡の詩に戻って、第一句の“嶺”についての石川忠久師および宇野直人・江原正士 師の解釈、すなわち‘峠道’および‘連峰’は、読む人が主眼をどこに置くかによる違いであることが判りました。しかし筆者は廬山の絵姿を想像したとき、‘連峰’と解釈した方が‘形’がしっくりするように思います。

この字句の解釈問答は、ある意味、枝葉末節の類でしょうか。詩の作者が主張したかったことは、第三、四句にあるのでしょう。第三、四句の解釈の敷衍の行く先もまた読む人の心の在りようによって異なることは明らかでしょう。
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閑話休題-2 蘇東坡-(2)

2015-04-14 17:55:43 | 健康
最近、中国の有識者の間で中国語の簡体字では「愛には心がない、親に会えない」から繁体字を復活させようという提案があったというニュース記事を読んだ。

われわれが日常用いている“愛”の漢字(中国語での繁体字でもある)には、文字の中央に“心”という字が隠れています。しかし簡体字の“中央の心の字を除いた字”ではその“心”の文字が取り除かれています。また同様に“親”の簡体字は“見の字を除いた立木”であり、中国語で“会う”を意味する“見”が取り除かれています。すなわち「愛には心がない、親に会えない」ということになります。

漢字はその成り立ちから一文字一文字にある意味が込められているようです。この観点からして、漢詩を簡体字に置き換えて書いたときどうも見た目にもしっくり行かないばかりか、最少の字数で多くを語ろうとする詩にあっては、漢字自体の秘めた意味を失えば、作者の意図が読者に十分に伝わらないのではなかろうか とも思う。

ところで、先に蘇東坡-1で挙げた詩の第一句目の“嶺”と“峰”の文字について。国語辞典を見ると、“嶺”の項ではいわゆる“みね”の他“山なみ”という意味が記載されていて“連峰”の意味があり、一方、“峰”には“山の頂”を意味する表現しかない。これらを念頭に第一句を読むと、“横に看れば嶺と成り側には峰と成る”は、“(廬山全体を)横で(遠く離れて)見れば(峰々が連なった)嶺であり、側に(近づいていけば)そゝり立った(ひとつの)峰となる”。このような情景が想像されます。第2句の“遠近…云々”が活きてくるように
に思われます。

ちなみに、宇野直人・江原正士著『漢詩を読む』(平凡社)では、同第1句を“横にずっと見渡せば、廬山は連峰である。また側に立って見上げれば、高くそびえる峰である」と解釈している。

漢詩を解釈するとき、読み下しで“てにをは”の助詞を変えるだけで異なる解釈となり、また想像の主眼をどこに置くかによっても異なった表現となる。上の二人の専門家でも一見字面では異なった解釈となっているように見える。漢詩には、時、情況等、作者の意図はさておいて、素人は素人なりに想像の世界に遊ぶことができる というのも“漢詩を読む”愉しみの一つであるように思われる。大家白川静が解き明かした漢字の本来の意味を参考にするなら、さらに味わいが深まるでしょうが、未だ“嶺”と“峰”については調べていない。

注)簡体字は”?”に化けるので文で表現した。
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からだの初期化を試みよう-3 イヌ・ネコに学ぶ:アローン操体法の実際

2015-04-05 11:33:47 | 健康
第一部 静的ストレッチング

[A] 胴回りのストレッチング

I-1 身体の前面 ―背伸び 

両足を肩幅に開いてゆったりとした気持ちで立ちます。両手を頭上に挙げて、両手4本指をそれぞれからませ、手を翻して手のひらを天に向け、背伸びをする要領で両手をゆっくりと天に突き上げていきます。スーッと背伸びをしながら、2, 3回ゆっくりと深長呼吸をします(以下同様)。
注意点:
 ・通常の“背伸び”のように、ウーンっと力を入れて“りきん”ではいけません。深長呼吸を繰り返しながら息を吐き出す時に両手をさらに天に突き出していき、ストレッチングを強めていくことが重要です。
・両手を天に突き出すとともに、顔を天に向け、仰向けにすると一層ストレッチ効果は強まります。ただし上体を後ろに反らすことのないよう、飽くまでも両手は真上の天に向けて“背伸び”をします。

I-2  身体の背部  i) 身体で逆三角形を作って

両足を肩幅に開いたまま、ゆっくりと腰を曲げていき、両手でそれぞれ膝の下方で“すね”をつかみ、上体を支えます。骨盤‐肩‐手(すね)で作る逆三角形で、手(すね)を支点にして腰背部を天に突き出します(下図左)。―(深長呼吸2, 3回)。腰‐背中の椎骨が押し開かれているようにイメージする。



 ii) 力を抜いて手をダラリと

両手は、“すね”から離して、前屈姿勢で自然に垂らす。無理に力を入れて屈曲する必要はない(上図右)。―(深長呼吸2, 3回)。

 iii) 腰を落とす

両膝をゆっくりと曲げ、腰を真下に十分に落とします。頭および両手を前方に突き出していきます(下図)。―(深長呼吸2, 3回)。足底の全面を床に着け、背中を丸め、重心を両足にしっかり載せます。リラックスして息を吸うと上体がやや起き上がりますが、息を吐き出すときに背中の筋が一息ごとに伸びていくのが感じられます。



I-3 身体の側面 i) 骨盤部を左真横に突き出す

両足を肩幅に開き、両手を頭上に挙げる。右手の手刀(手の小指側)に左手の4本指を曲げて引っかけます(拡大図)。身体の重心を左足に移し、右手で左手を真上にスーッと吊り上げていく感じです。その状態で腰を左に突き出していきます(下図)。―(深長呼吸2, 3回)。
注意点:
・上体を右側に倒す(側屈する)のではなく、右手に左手でぶら下がったまま、骨盤部を左横に突き出していく要領です。



 ii) 骨盤部を右真横に突き出す

身体の反対側に i)と同様の要領でストレッチングを行います。

I-4 上半身横方向 i) 左脇腹を横(外)方向に

両足を開いて立ち、両手を右横に出して、右手手刀に左手4本指を引っかけます。左足に身体の重心を移し、左手を右手で右真横に引っ張っていきます。その状態で骨盤部を左真横に突き出します。―(深長呼吸2, 3回)。
注意点:
・身体を捻るのではありません。骨盤は真正面を向いたまま。骨盤に上半身をつないでいる筋群、肩甲骨を胸壁に留めている筋群等が伸ばされているようイメージする。

 ii)  右脇腹を横(外)方向に

上記i) と同様の要領で、身体の反対右側にストレッチングを行います。

I-1 ~ I-4 をもう一度繰り返します。

つづく (150405)
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