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団塊の毒親に今も苦悩する40代 感謝しながら縁を切る

2021-04-06 15:30:00 | 日記

下記の記事は日経ARIAからの借用(コピー)です

親の影響から逃れるのは並大抵ではない
―― 「毒親」という言葉をよく耳にするようになりました。親との関係に息苦しさや生きづらさを感じている人が少なくありませんが、なぜ母親との関係はこじれてしまうのでしょう。
中野信子さん(以下、敬称略) 哺乳類は卵生の動物に比べると、子どもが自立するまでに時間がかかりますが、中でも人間は大人になるまでの時間がとても長い種です。
 親の庇護のもとで十数年を過ごさなければ独り立ちすることが困難ですから、家庭内の権力者は親になります。家庭内の権力者に刃向かうとどうなるか身をもって学びながら、十数年の子ども時代を過ごすわけですから、影響から逃れるというのは並大抵のことではないですよね。親孝行したい気持ちがあったとしても、まともじゃない人が親の場合もしばしばありますから。
団塊ジュニアに多くみられる毒親体験
 そして、毒親の体験はもしかしたら40代が一番多いのかもしれないと思っています。なぜなら私たちは団塊ジュニア世代です。
(中野信子 脳科学者、評論家
1975年生まれ。東日本国際大学特任教授。東京大学工学部応用化学科卒業、東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。2008年から10年までフランス国立研究所ニューロスピンにて博士研究員として勤務。MENSA元会員。)
 親である団塊の世代はすごく人数が多かったので自分の主張をすることに一生懸命で、他人の気持ちをおもんばかるところまで気が回らなかった。そんなことをしていたら欲しいものが取られてしまうという環境に、ずっと身を置いていた世代の人たちの子どもたちが今の40代なのです。
―― 中野さんご自身も40代、団塊世代のお母様との関係で複雑に思うところがありますか?
子どもを産むのが怖かった
中野 残念ながら母との相性は悪く、例えば、私は絵が好きで中学・高校時代油絵を描いていたのですが、「自分の絵はつまらない」といつも感じていました。創作的な絵を描くと、母に毎回けなされ、精神的におかしいんじゃないかとまで言われて描かなくなった。褒められた記憶はないです。
 まだ健在なので、どこまで話していいのか迷いますが、なかなかすごい人です。自分はその影響が怖くて子どもを産めませんでした。
―― それは、親になるのが怖いということですか?
中野 子どもを母に奪われるのではという恐怖があったからです。母は自分が誰かに依存されることを必要とする人なので、私が健康で元気で活躍するより、病気で自分に頼っていてほしい。ましてや小さい子どもは、誰かの庇護(ひご)がないと生きられませんので、そういう人を必要とします。母の影響から逃れられないと思ったのです。
謝られることでつらい経験をぶり返す危険
―― 毒親との関係に苦しんだ方の中には、親のかつての行為に対して謝罪を求めて追及する人もいます。
中野 謝罪によって当時の気持ちを思い出すことになるので、謝られるとかえってつらくなります。お母さんからこんなことを言われ続けた、お父さんからこんなことをされたと苦しむ方は、謝罪されても多分その気持ちが収まることはないだろうと思います。そういうことがあったという事実は変えられないので、意味づけを自分の中で変えていく以外にありません。自分との戦いになると思います。
謝罪を求めて毒親と向き合っても、余計つらい思いをすることも(写真はイメージ)
中野 「あの人のせいで今の自分の不幸がある」と、死ぬまで恨みつらみを背負うのも生き方の一つですが、この試練は自分にとってどんな意味があったのか、という視点は感情の解決をつけるための手掛かりになると思います。
―― 中野さんは感情の解決に、お互いの生き方を認め合えるご主人との出会いが及ぼした影響は大きかったですか?
衝撃的な夫との出会い
中野 衝撃的でしたね。私の周囲の人たちも含め、長いこと大学院まで受験戦争をやってきたので、無駄なことは全部切り捨ててゴールにたどり着いてこそ人生、みたいな考え方がどこかにあったのです。
 でも夫は違うんです。どうしてあなたはそうしないの? 身の回りのことも片付けないし、人生の計画を立てないの? みたいな話を私がちょっとキレ気味に言ったことがあるのですが、彼は「別にここがお花畑だったらお花畑を楽しめばいいじゃない」と。
 普通は、お花畑はいつか枯れるかもしれない、誰かが来て摘み取ってしまうかもしれないと言うと思いますが、そんなことを全然考えないんですね。あるうちにお花畑を楽しめばいい、無くなったらまた移動すればいいと。
 なるほどそうか、と思ったのです。私が間違っていたかもしれない、と。それまでは、「永遠のお花畑を見つけるために今、我慢をしよう」という考え方でした。でも、今、我慢しても永遠のお花畑なんて見つかるかどうかわからないし、見つけたときはもう80歳かもしれない。
 確かに私の方がちょっと見合わないことをしているわと思って反省しまして、 carpe diem (※)でいこうと思ったのです。ちょうど36歳ぐらい、結婚してすぐのころだったと思います。夫と出会い、とてもリラックスした気持ちになれました。
※carpe diem:古代ローマの詩人ホラティウスの詩に登場する語句。もともとは「一日の花を摘め」の意。「今を楽しめ」「この瞬間を大切にしろ」と訳される
―― 中野さんがご活躍されていると、周りの年配の男性から、「そんなに奥さんが活躍していると旦那さんが嫌がりませんか」と聞かれることがあるそうですね。
中野 そう言われると、皆さんは妻の活躍を不幸せに感じるタイプの人なんですねと思っちゃいますね(笑)。夫は少なくとも私のことをあれこれ操作しようとする人ではないですし、ああしろこうしろと、親のように脅してくる人でもないのです。
親に感謝することと縁を切ることは別
―― 親を取り換えることはできない中で、毒親に苦しむ方は、どう対処していったらいいのでしょう。
中野 少なくとも、親に感謝することと自分にひどいことをしてきた相手と縁を切ることとは、別のことだと考えたらいいんじゃないでしょうか。産んで育ててくれたことに恩を感じるのと、嫌な相手にやさしくしなければいけないということは別物です。
 おいしいものをごちそうしたり、理不尽な要求を聞いてあげたりすることが親孝行だと思っている人があまりにも多い。そうした社会通念もありますが、相手も成人した大人ですから、普通の動物ならとっくに縁が切れています。人間だけが社会性をもっていて恩とかを気にするのですね。
「逃げる」ことが相手のためにもなる
 毒親問題は、精神的には独立したいと思っているのに経済的な事情などで親と離れることはできない場合が一番苦しいのだと思います。もし経済的な事情であれば、なるべく自立できるように準備していくことが一番の解決なんじゃないでしょうか。
―― 思い切って線を引く。親孝行や恩に報いなきゃという思いに縛られなくてもいいということですね。
中野 仏教説話を出して恐縮ですが、法華経に常不軽菩薩(じょうふきょうぼさつ)の話があります。ある男が会う人すべてを尊敬して「あなたは仏になれる」と言って、人々から気持ち悪がられて石を投げられたり杖(つえ)で打たれたりするのですね。すると、この人はそれを甘んじて受けようとはしないで、石が届かないところまで逃げて、また、あなたを尊敬していますと言うのです。
 この“逃げる”というのがみそで、なぜ逃げるのかというと、普通は痛いからとか、攻撃されたくないからだろうと思うのですが、この人は、相手にこれ以上罪を犯させないという強い決意が、逃げる動機なんです。
 親との距離を取ることは、もうこれ以上親に罪を犯させないというやさしさなので、毒親と離れられずに困っている方は、勇気をもって離れることで自分だけでなくお父様、お母様も守ってさしあげてください。



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