「札割れ」頻発に 金融政策はいかに対応すべきか
2012-05-15 15:16:52
川辺賢一氏のブログ転載
最近は日銀の充分な金融緩和により、「札割れ」が頻発している
というニュースが流れておりました。
金融政策において「札割れ」が生じるというのは、言ってみれば、
「現金の売れ残り」が生じているということです。
つまり中央銀行が充分に金融緩和を行っているために、
金融機関の資金需要が減退し、日銀が目標とする日銀券の入札額に、
市場の応札が追いついていないということです。
現在、政策金利、短期国債の金利が限りなくゼロに近づいて
いるために、短期国債と貨幣がほとんど同等になってしまい、
金融機関としても、短期国債と日銀券との交換に応じる必要が
ないという状況になっております。そのために現金が売れ
残ってしまっているということです。
では「これでもう金融政策は役割を終えた」と考えるべき
なのでしょうか。
もちろん、違います。まだ日本はデフレから脱却できている
とは言えません。少なくとも、目標とされる1%のインフレ率
は達成されておりません。
また資金需要が満たされていると言うのも間違いです。
株価が下がって、円高になっていることを見れば、資金需要
が満たされていない、円に対する需要が高まっていることは
明らかです。つまり株を売って、現金、あるいは長期国債を
購入するという流れがあるということです。
銀行の貸出が増えないということから、そもそも企業に資金需要、
投資需要がなくなってしまったという見方もできますが、企業が
銀行から資金を借りて、新たに設備投資を増やしていくためには、
安定した自己資本がなければなりません。つまり株式市場による
資金調達が安定して行われるような状況、株価が安定的に上昇し
ている状況でなければ、企業の設備投資・資金需要も
増えないということです。
1930年代の昭和恐慌からの回復においても、銀行貸出の増加に
先立って、エクイティ・ファイナンス、企業の直接金融の興隆、
増加がありました。ですから、銀行貸出の増加による景気回復を
考えるならば、まず株価の回復を政府当局は考えていくべきです。
89年末に4万円近くだった株価が政府・日銀の政策ミスによって
今のような状況にあるわけですから、政府・日銀の政策修正によって、
4万円台近くまで回復させても問題ないはずです。
ではやるべきことは何でしょうか。少なくとも長期国債の金利は
ゼロではないので、長期国債の購入を通じた金融政策は、
まだ充分に行う余地があります。
しかし、日銀には独自の銀行券ルールが存在し、銀行券発行残高
よりも長期国債を保有してはならないという規定を自らに課して
いるそうです。
ただしこれも、大川隆法先生がご提唱されている通り、銀行券を
発行することが日銀の仕事なのですから、銀行券を発行して、
長期国債を購入すれば済む問題です。
リフレ派のエコノミストは、長期国債でも不動産投資信託でも
日経平均株価に連動する投資信託でも、あるいはケチャップでも
何でも購入すれば良いではないかと提唱しております。
このような主張に対して、日銀は長期国債の購入は金融政策の
財政政策化であり、ケチャップでも何でも購入すれば良いと
いうのは、日銀が特定の民間資産、あるいは製品を買い支える
ことになってしまい、価格支持政策になってしまうと批判します。
確かにこの主張には一理あります。日銀は公的な機関ですから、
特定の民間資産を購入して、価格支持を行う大義名分は
、はっきりしません。
また日銀は政府から独立しており、民間の金融機関として考えれば、
長期国債を買い支えるのも問題があるとなるでしょう。
しかし、この論理を突き詰めれば、日銀はどのような資産も購入
できなくなってしまいます。金融政策の手段は固定金利オペの調節、
ロンバート貸出など金利の調節以外になくなってしまいます。
これでは金融緩和が不十分なものになってしまうのは明らかなので、
国民を苦しめないためには、日銀の貨幣発行の独占体制を崩して
いくしかありません。
大川隆法先生は2008年の金融危機の際もメガバンクからの
銀行紙幣の発行を提唱されており、幸福実現党も提唱しております。
メガバンク三行に10兆円ずつ(2011年の立木党首の提言では7兆円)
の貨幣発行枠を与え、合計30兆円の銀行紙幣を市場に流通させる
というものです。銀行券の発行は企業への融資を通じてのみ
行われるとすれば、企業への貸出は進むだろうし、株の購入も
認めれば、株価は間違いなく回復するでしょう。
日銀の立場に立って考えれば、金融緩和に及び腰になることも
理解できないわけでありません。なぜなら、金融緩和を行えば、
確実に株高になり、企業が発行する株に対する日銀が発行する
銀行券の価値が低下していくからです。
日銀にとっての銀行券は企業にとっての株式と同じようなものなので、
日銀が株価の上昇を好ましく思わないのは、ある意味、
当然なのかもしれません。
しかし、日銀を日本で唯一の発券銀行とするならば、日銀の私的な
利害が優先されるのは許されません。
政府・日銀の政策ミスによって起きた「失われた25年」なら、
政府・日銀の政策修正によって取り戻すことは可能なはずです。
株価回復2万円台と言わず、3万円台、4万円台へと回復させる
政策を打っていくべきだと考えます。
転載、させていただいた記事です
http://ameblo.jp/kawabe87/entry-11251359790.html
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