「日韓同盟」見据え防衛力の整備を
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110729/mca1107290502003-n1.htm
産経フジ転載
□幸福実現党党首
わが国領土の竹島(韓国名・独島)をめぐって、日韓関係が
揺れ動いています。6月16日に大韓航空機が竹島上空で
デモ飛行(領空侵犯)を行ったことに対する抗議の意味を込めて、
外務省は7月18日から1カ月間、同省職員の大韓航空機搭乗の
自粛という措置を取りました。
7月23日にインドネシア・バリ島で行われた日韓外相会談
では、韓国の金星煥外交通商相がこの件につき遺憾の意を表明
すると、松本剛明外相は「韓国側で(日本が)受け入れられない
措置を取るなら、措置を取らざるを得ない場合もある」と説明し、
今回の措置を撤回する考えはないことを伝えました。
◆毅然としつつある対韓外交
これ以前の3月末にも、日本の教科書検定の結果が公表され、
中学社会科教科書で竹島を日本の領土と記述していることが判明
したことを受けて、駐日韓国大使が抗議のための訪問を申し入れた
ところ、松本外相は2日連続で拒否し、3度目の要請で面会。
抗議に対しては「受け入れられない」と応えています。
日韓の友好関係はもちろん大切ですが、領土や主権に関わることは
臆せずに堂々と意思表示しなければなりません。幸福実現党は一貫し
て「毅然とした外交」の必要性を訴えており、その意味で日本の外交
がまともな方向に向かいつつあると評価することもできますが、今後、
同様のスタンスを中国や北朝鮮に対しても取れるかどうかで、その
真価が試されることでしょう。松本外相は高祖父の伊藤博文が韓国人
に暗殺されたからと言って、韓国に対してだけ強硬ということになら
ないよう願いたいものです。
もっとも、政府全体の外交としては、退陣表明したはずの菅直人首相
が訪米や訪中などの首脳外交に意欲的だったり、原発輸出方針で混乱
をきたしていることは全く評価に値せず、一日も早い政権移行による
外交の正常化が求められます。
一方、野党の自民党も7月15日、「領土に関する特命委員会」
(委員長・石破茂政調会長)が8月1日から4日に韓国に4名の
国会議員を派遣し、竹島から約92キロの鬱陵島を訪問すると発表し
ました。これに対し、韓国内では上陸阻止論が声高に述べられており、
与党ハンナラ党の代表は訪問計画を「大韓民国の憲政秩序を否定する
ためのもの」と位置付け、韓国政府も入国禁止を検討していると
報じられています。
日本では毎年、韓国の反日団体が「竹島の日」に島根県を訪れ、
県庁前で抗議デモを行っているのを考えれば、韓国にも冷静な大人
の態度を求めたいものです。経済発展は遂げたものの、先進国と称し
得るだけの度量を示すことができるのか、韓国の対応が問われて
います。
◆地政学的には一致する日韓の国益
とは言え、中国が軍拡と覇権主義的傾向を強め、北朝鮮も軍事的
挑発をエスカレートさせている現在、日韓両国は竹島問題を理由に
関係強化をなおざりにできる状況にはありません。南シナ海の
海洋権益をめぐり、中国、ベトナム、フィリピンの対立が激化して
いますが、ここは日本のみならず、韓国にとっても中東から石油を
運ぶシーレーンが通過する非常に重要な海域です。
日韓が連携して中国の覇権拡大を抑制することは、両国の国益に適います。
竹島問題に決着をつけるには、日本としては国際司法裁判所への提訴
を目指すべきですが、韓国政府はこれを拒否しています。問題の
緊急性からすれば、最終的な解決は、中国、北朝鮮の軍事的脅威が
去ってから本格的に取り組まざるを得ないでしょう。
昨年12月に本欄で「日韓同盟」の必要性を訴えましたが、韓国側
の反日感情の強さを踏まえればその実現は簡単ではありません。
しかし、中国の脅威がいや増す中、米国の極東安全保障へのコミット
メントも中長期的には不透明感が漂っており、韓国が安全保障上わが国
を頼らざるを得なくなるのは時間の問題です。日本は一国平和主義を脱
して、シーレーン防衛など、地域の平和と安定に貢献できるだけの防衛力
整備を早急に行わなくてはなりません。
◇
【プロフィル】ついき秀学
ついき・しゅうがく 1971年、大阪府生まれ。
東京大学法学部第3類(政治コース)を卒業後、宗教法人幸福の科学に
入局。財務局長、専務理事などを歴任。2009年、幸福実現党に入党。
10年7月、幸福実現党党首に就任。妻と2男の4人家族。
趣味は読書と散歩。