サンケイビズ 憲法9条 中国・北朝鮮は適用外に
【ついき秀学のMirai Vision】
憲法9条 中国・北朝鮮は適用外に 2011.1.7 http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/110107/cpd1101070502001-n1.htm
韓国・延坪島で北朝鮮の砲撃を受け、破壊された家屋=25日午後(共同)
□幸福実現党党首
2011年を迎え、初めての掲載となります。本年もどうぞよろしくお願い
いたします。
昨年は、尖閣諸島沖中国漁船衝突事件、北朝鮮による韓国・延坪島
(ヨンピョンド)砲撃など、幸福実現党が訴えてきた“国難”が現実化し
た年でした。12月に菅直人政権が閣議決定した新防衛大綱は、急速
な軍拡を続ける中国を警戒する内容となったものの、武器輸出三原則
等の見直しについては明記を見送りました。11年度予算成立に向け
て協力体制を組みたい社民党の反対に配慮した結果ですが、現政権
が国防について確固とした信念を持っていないことをよく示しています。
戦後、わが国は「平和憲法」を押し頂いて、主権国家に欠かせない
国防を米国任せにしながら、自らは軍事に手を染めることなく
「平和国家」を自認・自称してきました。嫌なことは人に押し付けて、
自らはいい子ぶる、一種の偽善といえます。多くの政治家もこの偽善に
酔いしれたり、「国防は票にならない」「憲法改正を言えばマスコミに
たたかれる」という発想が染み付き、自ら国を守る体制に向けた憲法
論議を怠ってきました。
現に、わが国を取りまく国際情勢がこれだけ緊迫しているにもかか
わらず、政権与党からも野党からも憲法改正論議が起きていません。
真にわが国の将来を憂えるならば、憲法改正の議論から逃げては
いけないはずです。
◆崩れ去った「前提」
幸福実現党は、09年の立党とほぼ同時に「新・日本国憲法試案」を発表し、
その中で「国民の生命・安全・財産を護るため、陸軍・海軍・空軍よりなる
防衛軍を組織する。」とはっきりと明記しています。
本来であれば、各党で試案を出し合い、国を守るためには憲法はどう
あるべきかについて議論すべきですが、現実問題として憲法改正のハ
ードルは高く、現在の有事に対応することができません。
戦争放棄を定めた憲法9条は、今や明らかに有事対応の最大の障害で
す。例えば、12月に菅首相が朝鮮半島有事で自衛隊派遣による邦人
救出を検討すべきだと発言すると、政府内から「従来の政府の憲法解釈
を大きく逸脱しかねない」と反対の声が上がりました。しかし、自衛隊が
行かなければ、約3万人の在韓邦人を誰が救うというのでしょうか。
また、同盟国が攻撃を受けた際、自国への攻撃とみなしてともに反撃でき
るとする集団的自衛権について、政府の憲法解釈では「わが国は持って
はいるが、行使することは許されない」とされており、有事における自衛隊
と米軍の共同行動の上で、大きな制約となっています。
実は、憲法9条には大きな前提があります。憲法前文の「平和を愛する
諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと
決意した」という文言です。とはいえ、現実の国際情勢を見れば、中国は
20年間で18倍もの軍事費を増やして、周辺での海・空軍の活動を活発
化させており、北朝鮮は核開発に邁進(まいしん)し、わが国に向けて
ミサイル発射実験を繰り返しています。いずれも「平和を愛する国」とは
言い難く、憲法の前提は既に崩れ去っています。
したがって、「平和を愛さず公正と信義を守らない国家に対しては9条は
適用されない」と解釈するのが妥当です。こうした政府見解を出すことに
よって、憲法を改正せずに、主権国家として国際法上当然認められる
自衛権を確立することができます。そうすれば、邦人救出のための自衛隊
海外派遣や集団的自衛権に対する考え方も、連動して見直すことができ
ます。
◆守るべきは国民の生命
憲法改正には時間を要する以上、一つの方法論として憲法解釈を変え、
9条の効力を停止することによって、自主的な防衛体制を早急に整える
べきです。でなければ緊迫する東アジア情勢に迅速に対応することが
できません。
国家や国民の生命を危険にさらしてまで守るべき憲法などあるはずもなく、
「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については(中略)立法
その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と定めた憲法13条を
順守するために、9条はその効力を停止されるべきなのです。
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【プロフィル】ついき秀学
ついき・しゅうがく 1971年、大阪府生まれ。東京大学法学部政治コース
を卒業後、宗教法人幸福の科学に入局。財務局長、専務理事などを歴任。
2009年、幸福実現党に入党。10年7月、幸福実現党党首に就任。
妻と2男の4人家族。趣味は読書と散歩。