異彩を放つ「NYタイムズ」の反日スタンス
集団的自衛権の行使容認を猛批判
2014.07.09(水)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41166
安倍政権が集団的自衛権の行使を解禁したことは、米国でどう受け止められているのか。
オバマ政権はためらいなく歓迎の意向を表明した。政権内外の識者たちもみな賛成のようである。
特に日米同盟の強化を年来、主張してきた共和党側では、今回の日本政府の動きを大歓迎し、礼賛している。
米国の大手ニュースメディアも大多数は日本の今回の動きを日米同盟へのより大きな貢献、
あるいはアジア地域での中国の軍事攻勢への有益な抑止策として前向きに受け止めていた。
だが、そんな中での例外は「ニューヨーク・タイムズ」だった。日本の集団的自衛権行使容認は中国や
韓国が反対するから好ましくないというのだ。安倍晋三首相が軍国主義をにじませるナショナリストだから
今回の措置は危険だ、ともいうのである。そうした部分を見る限り、安倍打倒キャンペーンを異様な執拗さで
展開する朝日新聞と奇妙なほど似た論調なのだ。
また中国や韓国の立場に立っての反日スタンスだとも言える。
「ウォールストリート・ジャーナル」は安倍政権の政策を賞賛
そんな偏ったニューヨーク・タイムズの主張を紹介する前に、まず一般の米国のメディアの論調を具体的に
伝えておこう。同じ大手紙の「ウォールストリート・ジャーナル」(7月2日付)の「日本の新しい防衛態勢」と
題された社説である。この論調は、現段階では米国メディア全体の平均値だと言ってよい。
その要点は以下のようなものだった。
「日本の内閣は7月1日、自国に集団的自衛権の行使を許すために憲法を再解釈した。この歴史的な
措置は遅きに失した決定だが、アジアの民主主義諸国の安全保障を強化することになる。さらに同様に
重要なことに、この措置は、中国の東シナ海での侵略的な行動が、どのようにして日本をアジアでより
積極的な役割を果たすようにさせてしまったかを、中国政府自身に考えさせることになるだろう」
「安倍首相はタカ派であり、この集団的自衛権行使容認を強く求めたとはいえ、中国が日本の安全保障
環境に変化を与えたことが、日本のこの動きを必要かつ不可避にしたのだ。これらの変化とは、中国による
急速な軍事能力の増強や、尖閣諸島の現状を軍事力で変更しようとする試みを含んでいる」
「この(集団的自衛権の)動きで日本が過去の軍国主義に戻るというようなことはない。今回の変化への
措置でも、日本の軍事力に対する従来の制約はほとんどそのまま残るからだ。今回の措置は少しだけの
前進に過ぎず、その前進がさらに続くかどうかは中国の行動次第ともなる」
「安倍首相は、消極的平和主義の連立政権運営相手の公明党の同意を得るために、妥協をしなければ
ならなかった。だから日本の集団的自衛権はなお顕著な制限を課されており、攻撃的な軍事能力は依然と
して禁止されている」
以上の主張や解説は日本の実態から見ても極めて客観的だと言えよう。普通の国家である他の諸国、
米国、中国、韓国などに比べれば、日本は相変わらず自らの軍事能力や国防政策にがんじがらめの
自縄自縛を課した異端の国家のままだと評しているのである。
その上でウォールストリート・ジャーナルのこの社説は、日本側の今回の動きが米国に利益をもたらす
ことや、アジア全体への貢献にもなることを強調していた。
「集団的自衛権の新たなドクトリンは、日米同盟において日本側にこれまでよりも平等な役割を果たさせる
だろう。日本の自衛隊が、自国沿岸を越えた地域の紛争で槍(やり)の役割を演じることはまずないだろうが、
北朝鮮のミサイルから米国と日本の両方を守る防衛システムにイージス艦を提供して、共同防衛に参加
することぐらいはできるだろう」
「オバマ政権の軍事費の削減と、脅威の対象が危険な一線を越えても断固とした行動を取ろうとしない
傾向によって、アジアにおける米国の防衛保証への信頼性が揺らいでいる。日本はそんな状況の中で、
アジアで日本との同盟の絆を保つという米国内のコンセンサスを保つためにも、同盟の価値をパートナー
として証明しなければならないことを理解している」
「平和を最終的に保証するのは、民主主義諸国が団結して法に則った国際的秩序を侵略から守る能力を
保つことである。そのためには他の民主主義国の防衛にも加わらねばならないという日本の新たな認識は、
ジアの平和を守るためには決定的に重要なのだ」
以上のような解説は、安倍政権自体の主張とほぼ同じだと言える。要するにこの新聞の社説は、安倍政権の
取った政策を歓迎し、賞賛までしているのである。
中韓の恐怖や不信をさらに煽ると批判
ところが対照的にニューヨーク・タイムズの同じ7月2日付社説は、がらりと異なる。見出しは
「日本と軍事力の限界」となっていた。その冒頭には、以下のような記述があった。
「安倍晋三首相は日本の平和主義的な憲法を再解釈し、日本の軍部が第2次世界大戦以来、最も
積極果敢な役割を果たせるようにすることによって、日本国民の多数を動揺させ、アジアでの心配を増大
させた。日本の軍事的な役割のシフトというのはいつの場合でも多数の国民にとって容易に受け入れられない
のだが、安倍首相のナショナリスト的な政治は、そもそも緊張の削減が必要な今のアジア地域において、
今回の(集団的自衛権行使容認という)変化の受け入れをさらに難しくした」
この冒頭の主張だけでも、ニューヨーク・タイムズの思考がウォールストリート・ジャーナルとは根本から
異なることが明白である。要するに、安倍首相はそもそもけしからん、危険だ、という前提から始まるのだ。
以下、続き
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41166?page=3
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41166?page=4
NYタイムズ反日共闘 古森義久
「集団的自衛権に関する今回の変更は日本を戦争する国へと変えてしまう」
こんな表現はまず朝日新聞の最近の反対キャンペーンを連想させる。
本来、日本の自衛能力を高めるために、同盟国や友好国との安保上の協力を可能にする措置を
日本自身が侵略戦争を始めるかのように描く。
集団的自衛権が「戦争する」ことならば、その権利と自由を有する世界のすべての主権国家が
「戦争する国」となる。
だが、この記述はニューヨーク・タイムズ2日付社説の結び部分だった。「安倍首相は『戦争する国』に
ならないことを証明せよ」と、ひねりの修辞をも使ってはいたが、前提として冒頭で紹介した表現を強調していた。
この社説は日本の集団的自衛権行使容認への米国側の反応としては異端である。オバマ政権は
安倍晋三政権の措置を大歓迎した。大統領自身から国務、国防両長官までその措置が「日米同盟を一層、
効果的にし、地域や世界の平和と安保への大きな貢献になる」と明言する。
メディアでも肯定的な論評が大多数である。大手紙のウォールストリート・ジャーナルは1日の社説で、
「(集団的自衛権の)この変更は中国の脅威を考えれば必要だ」という見出しで安倍政権の措置を全面的に
支持した。今回の容認だけでは不十分だとして、以下のようにも述べていた。
中略
米国メディアでは日本の措置に正面から激しく反対するのはニューヨーク・タイムズだけのようなのだ。
そしてその主張は朝日新聞と奇妙なほど一致する。
この種の憲法の解釈は憲法改正でしか変えてはならないという主張や、日本国民多数が反対して近隣諸国が
恐れているという断定、自衛権問題に慰安婦など歴史課題を結びつけ、安倍首相には危険な軍国主義志向
があるとする示唆である。
ニューヨーク・タイムズの同社説には以下の主張もあった。
「日本の侵略に苦しんだ諸国は、日本がこの集団的自衛権行使の新しい権限をどう使うか、心配している」
「安倍首相は右翼のナショナリストたちや歴史修正への同調により、これら諸国の恐怖や不信を燃え立たせている」
この主張には日本をめぐる安全保障環境が中国の軍事脅威の増大で悪化したという、集団的自衛権を
めぐる議論のそもそもの前提や原因が欠けている。そして、日本側の過去を持ち出して「軍事志向」の危険
を強調する点では中国政府の主張とも符合する。
こうみると、ニューヨーク・タイムズ、朝日新聞、中国共産党政権と、反安倍政権の姿勢はぴたりと一致する。
反安倍政権の枢軸だが、日本の政府や国会が民主主義に基づいた手続きで進める自国の防衛政策を
危険だと断じる点では、反日枢軸ともいえそうである。(ワシントン駐在客員特派員)
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