ついにその時が来た
1905年 6月29日
8回裏 彼は飛び出した 最強のチームの一員として 夢のフィールドに
足にはスパイク 手には「グラブ」という名の「盾」 そして「野球帽」という名の「兜」には最強の証たるエンブレム 月明かりというスポットライトは遅咲きの「月下草」をまばゆく照らしていた
それは彼が夢を叶えた瞬間だった 生まれてから27年経つまで努力し続けた「一人」の美しい月下草が満開に咲き誇った瞬間だった
そして9回表 彼はもう一つの「その時」を待った 彼は「宝刀」を手に「その時」を待った
しかしその時が来る事は無かった 「夢の時」は彼の1つ前の打席で終わってしまった
月夜の光を浴びて満開に咲き誇ったその「月下草」はその後 二度と夢のフィールドに咲く事は無かった
彼はその後 自分以外の「花」の命を救う事で多くの人の夢を叶えるのを支え続けた そして1965年8月25日 彼は「人生」という「フィールド」から去っていった 自らが救った多くの「花」の命を残して そして彼は次第に「花たち」の記憶から消えていった
1975年 野球を愛するある男はある本を読んでいた。
彼の名はW・Pキンセラ 野球好きの教授だった
彼は読んでいた本からある1人の選手を知った
3年間マイナーリーグでプレー
1905年にニューヨーク・ジャイアンツの選手として登録
1905年6月29日 8回裏 メジャーリーグベースボールの試合 ニューヨークジャイアンツ対ブルックリン・スパーバス戦に出場 ジョージ・ブラウンに替わってライトの守備につく
9回表 ジャイアンツの攻撃 彼の打席の1つ前で試合終了
そしてこれが彼の最初で最後の夢のゲームだった 彼は1度も打席に立たないままその試合を終えた そして彼は二度と夢のフィールドに帰ってくる事は無かった
野球を愛しながら最強チームに入ったばかりに主力となる事無く夢のフィールドから去っていった一人の選手。彼の名前はこう記されていた。
「アーチボルド・ライト・グラハム(Archibald Wright Graham)」
彼の経歴を知ったキンセラは それを取り入れた小説を書いた そしてこれによってグラハムの経歴は多くの人に知られる事となった 彼はその作品の主人公に自分と同じ名字を付けた
主人公のレイ・キンセラは野球場にいた 隣にはレイに誘われて一緒に行った男 テレンスマンがいた 2人は一緒に野球を観ていた
レイは大の野球好きだった 彼はある不思議な声を聞いた事がきっかけで自分のトウモロコシ畑の大部分を潰してまでして野球場を造った程だった
レイはオーロラビジョンを見た するとそこに不思議なメッセージが出た
「アーチー・グラハム ミネソタ チゾム」
そのメッセージは 彼が自分の農場を潰してまでして野球場を造った時と同じように 誰からのものかも分からないものだった 更にグラハムの名前の前には彼の愛称が付けられていた
(「アーチー・グラハム」?)
レイはテレンスマンに聞いた 「今のは?」 しかしテレンスマンから返ってきた言葉は「「今の」って何だ?」
レイは彼と一緒に帰る事にした
テレンスマンを家まで送り届けた そしてレイは家に帰るため 車を動かし始め ハンドルをきった
しかしハンドルをきった先にはテレンスマンが立ちふさがっていた
彼は言った 「アーチー・グラハム ミネソタ チゾム」
レイは驚き 車から降りて叫んだ 「あんた見たのか!」
テレンスマンは言った 「ああ 私も狂った」
2人はチゾムにいた ホテルで泊まった
テレンスマンが家族と電話で話すという事でレイは外に出た 独りで 何かを探しに出るように
彼は不思議な物を見つけた ポスターや映画の看板だった それらはあまりにも古いものだった
彼は近くにあった車の前でかがんだ 彼には今 何が起きているのか分かっていた
彼は車のナンバープレートに付いた泥を手で落とした そしてそこに書かれていた年を見て 彼は自分が今「いつ」にいるのか確信した
彼は周りを見渡した まるでこれから何が起こるか予想していたかのように
彼は見つけた 一人の老紳士を 彼は気付いた (彼だ!間違いない!)
彼は老紳士にかけより 声をかけた 「グラハム医師ですか?」
老紳士は振り返った
レイはもう一度老紳士に訊いた 「グラハム医師ですか?。」 そしてその後、レイは老紳士のかつての愛称で彼を呼んだ。
老紳士は突然見知らぬ人に名前を呼ばれたにも関わらず 彼に笑顔を見せた その顔は幸せな過去を懐かしむようなものだった
彼は嬉しそうに言った 「その名前で呼ばれたのは50年ぶりだよ」
レイは訊いてみた 「お話をお聞かせ願えませんか?お訊きしたい事があるんです」 グラハムは答えた 「私の診療所に行こう」
グラハムの病院に招かれたレイは そこでグラハムが叶えたかった夢を彼に訊いた 彼は答えた
「私は打席に立ちたかった 相手投手を睨み付け ウインクする そして挑発に乗った相手の球を打つんだ 2塁で止まらず3塁に走り込み 滑り込む そしてベースを抱きしめる それが私の夢だ」
彼は言った 「あなたの夢を叶えられる所があります」
しかしグラハムは言った 「私には叶えられない夢だった 私にとってここは大切な所だ 私はここで生まれ ここで死ぬ」
レイは諦められず言った 「夢まであと一歩! 5分間試合に出て夢が叶うまであと一歩だった! それなのに夢を叶えられずに終わるなんて・・・それは悲劇です」
グラハムは静かに言葉を返した 「その「5分間」が医者に与えられた猶予だとしたらそれは悲劇を生むだろうね」
それはグラハムの「医者」としての信念だった
グラハムは言った 「もう帰らないとな アリシアが気を揉んでる」 そして笑顔を見せた
妻を気遣うグラハムはレイとともに病院を出た そして愛する妻が待つ家に帰った
レイはテレンスマンの所に戻った そして言った 「彼を連れていくのは無理だ 無駄足だった」
しかしテレンスマンは言った 「ミネソタの人は? もし彼が野球選手を続けていたら?」
そう 「野球選手を引退したグラハム」に命を救ってもらえた人がたくさんいたのだ
レイは家に帰る車中にいた テレンスマンとともに
レイは途中 ヒッチハイクを受けた レイは車を止め ヒッチハイクした少年を乗せた 少年は野球道具を持っていた
「昼間働いて夜野球ができるチームがあるって聞いたので今から行くんです」 少年はそう言った
レイが少年に自分とテレンスマンを紹介すると 少年は嬉しそうに言った 「僕はアーチー・グラハムです」
レイとテレンスマンは驚きの表情でお互いを見た 言葉は出なかった そしてそんな中 アーチーだけが無邪気な笑顔を見せていた
3人は家に着いた 家ではレイの妻のアニーと幼い娘のカリンが待っていた
家の目の前の野球場では既に選手たちが集まっていた
そこにいたのはまばゆい輝きを放つスターたちだった みんな昔の姿だった みんな昔と同じように野球を楽しんでいた
彼はスターたちを見て興奮した 「スモーキー・ジョーだ! メル・オットも! ギル・ホッジスもいる!」 それは彼にとっては夢のような事だった
「グラハム」 彼に声をかけた選手がいた 大スターの一人に声をかけられたアーチーは満面の笑みを見せた
「ウォームアップしようぜ」 そう言われたアーチーは大喜びで返事をし すぐに準備をしに行った
アーチーに声をかけた大スターは言った 「ルーキーだね」
そしてついにその時が来た
アーチーはバッターボックスへと歩いた ゆっくり しっかりと夢のフィールドを踏みしめて
「アーチー!」 小さなスタンドから大きな声援が彼に届いた
アーチーは相手の投手をしっかりと睨んだ そしてウィンクをした
挑発で怒った相手投手は彼の頭めがけて思いっきり投げた 2球続けて
「何とかしてくれよ」 そういうアーチーにアンパイアは言った 「殺されんように気を付けろ」
アーチーは仲間の所に行って話した 「インハイが2連発 次はどこに来ると思う?」 アーチーは答えた 「アウトローかビーンボールだと」 すると仲間は「ビーンボールなら満塁 アウトローだ」 そしてアーチーはバッターボックスに戻った
そして3球目 ついにアーチーのバットはその球を捉えた スターが投げた素晴らしいボール 「ルーキー」が振り抜いた「宝刀」はそれをまともに捉えた
ルーキーの宝刀に捉えられたスターのボールは遠くまで飛んだ そして点が入った 投手は思いっきり悔しがった
アーチーはベンチに戻ると仲間に頭を撫でられた そしてレイの方を見た その顔は夢を叶えた幸せと自信に満ちあふれていた
ある日 またみんなが集まってきた みんないつも通り試合をしていた そしてレイとアニー カリン そしてテレンスマンが一緒に試合を観ていた
しかしそこに頭のおかしい奴が現れた そいつはみんなが試合をやっているというのに平気でピッチャーとキャッチャーの間を横切った バッターは怒りのあまりそいつに殴りかかろうとしたがそいつは気にも留めない
「おい! 試合中だぞ!」
レイの言葉にそいつは返した 「夢を観るのはやめろ」
そう そいつには見えないのだ
彼らは「いる」と信じる者にしか見えない
「レイ こいつにサインしろ」
気違いはほざいた そう こいつはレイの親戚だった こいつは球場を潰し レイの土地を売り払ってカネにしようとしていた
レイは畑を潰して野球場を造った事で巨額の借金を背負う事になってしまっていた そしてその親戚はカネの事しか頭に無い そいつにとって「夢」などというものはバカげたものであり どうでもよかった
そばにいたカリンが言った 「売らなくてもいいじゃない お客さんを呼んでお金をもらえばいいのよ」
テレンスマンも言った 「みんな来るさ」
テレンスマンは続けた 「あらゆるものが創られ 壊されていった でも野球だけはずっと残り続けた 野球はこの国の一部だ」
しかしそんな事は気違いにはどうでも良かった 気違いの頭の中には「今すぐ大金を手にする事」しか無かった
レイはみんなを見た 夢のフィールドにいる男たち 夢を捨てられず 夢のフィールドに戻ってきた男たち 彼らが愛する野球ができるのはこのフィールドだけ そしてその「夢のフィールド」の運命を決められるのはレイだけだ そしてそれは彼らの運命を決められるのもレイだけだという事だった
みんなはレイを見ていた みんながレイの一言がどちらになるかを心配していた レイの「一言」がどちらになるかで彼らの運命は決まってしまう みんな愛する野球を失いたくなかった
レイは気違いに言った 「断る!」
親戚は激怒した レイを罵った 「イカれてる!」
その場にいたカリンが言った 「イカれてないよ!」
気違いはついに一線を越えた 幼いカリンをつかみ上げ レイを罵倒した 「見ろ!ガキまでこの有様だ!」
レイは慌てて娘を助けようとした 「バカ!やめろ!」
その時 「カリン!」
気違いがカリンを地面に投げた
「息をしてない!」 レイがそう言うとアニーは救急車を呼ぶため家の電話へと走り始めた
しかし突然レイが止めた 「アニー!待て!」 アニーは驚いて返した「何でよ!?」
レイの視線の先には選手たち その選手たちの中の後ろの方から一人の少年がカリンを見ていた
少年はカリンの元へと走っていった しかし少年はカリンたちの手前で止まってしまった
少年の目の前には砂利の線 そう 少年たちはここに足を踏み入れてはいけないのだ
目の前には気を失い 呼吸が止まった少女 しかしここに足を踏み入れたら自分の野球人生は終わってしまう しかし今助けないとカリンはそのかけがえのない命を失ってしまう 取り返しのつかない事になってしまう
少年は力無くグラブを夢のフィールドに落とした そしてとうとうその線に足を踏み入れた それはまさに「処刑」だった
少年が足を線に踏み入れた瞬間 少年の姿はあの老紳士に戻ってしまった スパイクは革靴に ユニフォームはスーツに変わってしまった そして彼の手にはグラブではなく鞄が握られていた
驚きと悲しみの表情を見せるレイたちに彼は言った 「どうしたんだい?」 レイは答えた 「落ちたんです」
「何か詰まってる」 グラハムは気を失ったカリンの口の中を見るとレイと一緒にカリンの背中を起こした そしてグラハムがカリンの背中を2回叩くとカリンは咳き込み 喉に詰まっていた物を出した
「ホットドッグだよ 喉に詰まってたんだ」 グラハムはそう言い カリンの喉に詰まっていたホットドッグのかけらを捨てた レイがフィールドを見ながらアニーを止めた事で誰かの存在を意識した気違いにもグラハムが見えるようになった
「もう大丈夫だ」 グラハムは笑顔でそう言った 気違いは「俺知らね」という感じでグラハムにもカリンたちにも一度も謝らなかった しかしグラハムはそれを気にする様子も見せなかった
「ありがとうございます」 そう言ったレイにグラハムはこう返した 「礼を言うのは私だよ ありがとう」
レイの娘の命を救ったグラハムが言った「ありがとう」 それは自分の夢を叶えてくれたレイへの感謝の言葉だった
レイはショックを隠せず言った 「でも・・・あなたはもう戻れないのでは・・・本当にすみません」 しかしグラハムは笑顔で言った 「いいんだ」
グラハムは優しい笑顔で言った 「帰らないとな アリシアが気を揉んでる」 そう言うと小さく 優しくウィンクした
彼はあの線を越え 夢のフィールドへと戻っていった しかし彼の姿はもう少年には戻らなかった
選手たちはみんな手を帽子のつばに当てたり彼と握手したりして彼への敬意を示した みんな分かっていた グラハムの無念を
かつてグラハムのウィンクに怒り グラハムの頭にボールを投げた投手は人目も憚らず泣いた
「元気でな」 グラハムは手を差し出した 投手は泣きながらグラハムとの最後の握手をした そして彼の背中を軽く叩いたグラハムの背中を軽く叩き 「仲間」との別れを惜しんだ
「寂しくなるな」 そう言った仲間にグラハムは言った 「私のために勝ってくれよ」
そこにはもう敵も味方も無かった あるのは野球への愛 自分と同じく野球を愛する者たちを大切にする想い 一人の少年の自己犠牲を厭わない崇高なおこない 一人の少女を助けなかった自分たちの目の前で愛する野球を諦め 老紳士に戻り 少女を救った少年への敬意 そして取り返しのつかない事になってしまった事での悲しみだけだった
選手たちと別れ 夢のフィールドから去ろうとした彼に一人の選手が叫んだ 「おい!ルーキー!」
彼は振り返った 叫んだのはジョー・ジャクソン 世界の野球史上最高のスターの一人 所謂「シューレス・ジョー」だった
あまりの悲劇にジョーはショックで何と言葉をかけたらいいか分からないという感じだった しかし彼は言葉を絞り出した
彼はたった一言だけ言った 「いい選手だった」 それを聞いたグラハムは名残惜しそうな笑顔を返した
そして彼は去っていった グラブも残さず 帽子も残さず そして彼の後ろ姿さえも残さずに
しかしたった一つ 彼が残したものがあった それは彼が自分の愛する野球人生と引き替えに救った「カリン」という小さな「花」の命だった
かつてたった一度しか夢のフィールドで咲けず 二度と夢のフィールドに帰ってくる事ができなかった月下草 あまりにも美しく そして短い野球人生を全力で駆け抜けた「一人」の月下草 その最も美しい月下草を愛した人々は 愛を込めてその「月下草」をこう呼んだ
Moonlight Archie Graham
この作品は私が子供の時に観た「フィールド・オブ・ドリームス」という映画を想い出して作りました。私は今回のポエムで多くの人が「フィールド・オブ・ドリームス」を知り、観ていただきたいです。なお、グラハムの経歴は作品に合わせて変えられています。
今日はグラハムさんの命日です。グラハムさんのご冥福を心からお祈りいたします。そして老紳士の頃のグラハムを演じた人はバート・ランカスターさんですが、彼は劇場公開の映画作品ではこの作品が遺作となりました。バート・ランカスターさんのご冥福を心からお祈りします。
グラハムの写真が現在でも残っています。これはグラハムの現役の時の写真です。
そして老紳士の頃のグラハムを演じた時のバート・ランカスターさんの写真はこちらです。
1905年 6月29日
8回裏 彼は飛び出した 最強のチームの一員として 夢のフィールドに
足にはスパイク 手には「グラブ」という名の「盾」 そして「野球帽」という名の「兜」には最強の証たるエンブレム 月明かりというスポットライトは遅咲きの「月下草」をまばゆく照らしていた
それは彼が夢を叶えた瞬間だった 生まれてから27年経つまで努力し続けた「一人」の美しい月下草が満開に咲き誇った瞬間だった
そして9回表 彼はもう一つの「その時」を待った 彼は「宝刀」を手に「その時」を待った
しかしその時が来る事は無かった 「夢の時」は彼の1つ前の打席で終わってしまった
月夜の光を浴びて満開に咲き誇ったその「月下草」はその後 二度と夢のフィールドに咲く事は無かった
彼はその後 自分以外の「花」の命を救う事で多くの人の夢を叶えるのを支え続けた そして1965年8月25日 彼は「人生」という「フィールド」から去っていった 自らが救った多くの「花」の命を残して そして彼は次第に「花たち」の記憶から消えていった
1975年 野球を愛するある男はある本を読んでいた。
彼の名はW・Pキンセラ 野球好きの教授だった
彼は読んでいた本からある1人の選手を知った
3年間マイナーリーグでプレー
1905年にニューヨーク・ジャイアンツの選手として登録
1905年6月29日 8回裏 メジャーリーグベースボールの試合 ニューヨークジャイアンツ対ブルックリン・スパーバス戦に出場 ジョージ・ブラウンに替わってライトの守備につく
9回表 ジャイアンツの攻撃 彼の打席の1つ前で試合終了
そしてこれが彼の最初で最後の夢のゲームだった 彼は1度も打席に立たないままその試合を終えた そして彼は二度と夢のフィールドに帰ってくる事は無かった
野球を愛しながら最強チームに入ったばかりに主力となる事無く夢のフィールドから去っていった一人の選手。彼の名前はこう記されていた。
「アーチボルド・ライト・グラハム(Archibald Wright Graham)」
彼の経歴を知ったキンセラは それを取り入れた小説を書いた そしてこれによってグラハムの経歴は多くの人に知られる事となった 彼はその作品の主人公に自分と同じ名字を付けた
主人公のレイ・キンセラは野球場にいた 隣にはレイに誘われて一緒に行った男 テレンスマンがいた 2人は一緒に野球を観ていた
レイは大の野球好きだった 彼はある不思議な声を聞いた事がきっかけで自分のトウモロコシ畑の大部分を潰してまでして野球場を造った程だった
レイはオーロラビジョンを見た するとそこに不思議なメッセージが出た
「アーチー・グラハム ミネソタ チゾム」
そのメッセージは 彼が自分の農場を潰してまでして野球場を造った時と同じように 誰からのものかも分からないものだった 更にグラハムの名前の前には彼の愛称が付けられていた
(「アーチー・グラハム」?)
レイはテレンスマンに聞いた 「今のは?」 しかしテレンスマンから返ってきた言葉は「「今の」って何だ?」
レイは彼と一緒に帰る事にした
テレンスマンを家まで送り届けた そしてレイは家に帰るため 車を動かし始め ハンドルをきった
しかしハンドルをきった先にはテレンスマンが立ちふさがっていた
彼は言った 「アーチー・グラハム ミネソタ チゾム」
レイは驚き 車から降りて叫んだ 「あんた見たのか!」
テレンスマンは言った 「ああ 私も狂った」
2人はチゾムにいた ホテルで泊まった
テレンスマンが家族と電話で話すという事でレイは外に出た 独りで 何かを探しに出るように
彼は不思議な物を見つけた ポスターや映画の看板だった それらはあまりにも古いものだった
彼は近くにあった車の前でかがんだ 彼には今 何が起きているのか分かっていた
彼は車のナンバープレートに付いた泥を手で落とした そしてそこに書かれていた年を見て 彼は自分が今「いつ」にいるのか確信した
彼は周りを見渡した まるでこれから何が起こるか予想していたかのように
彼は見つけた 一人の老紳士を 彼は気付いた (彼だ!間違いない!)
彼は老紳士にかけより 声をかけた 「グラハム医師ですか?」
老紳士は振り返った
レイはもう一度老紳士に訊いた 「グラハム医師ですか?。」 そしてその後、レイは老紳士のかつての愛称で彼を呼んだ。
老紳士は突然見知らぬ人に名前を呼ばれたにも関わらず 彼に笑顔を見せた その顔は幸せな過去を懐かしむようなものだった
彼は嬉しそうに言った 「その名前で呼ばれたのは50年ぶりだよ」
レイは訊いてみた 「お話をお聞かせ願えませんか?お訊きしたい事があるんです」 グラハムは答えた 「私の診療所に行こう」
グラハムの病院に招かれたレイは そこでグラハムが叶えたかった夢を彼に訊いた 彼は答えた
「私は打席に立ちたかった 相手投手を睨み付け ウインクする そして挑発に乗った相手の球を打つんだ 2塁で止まらず3塁に走り込み 滑り込む そしてベースを抱きしめる それが私の夢だ」
彼は言った 「あなたの夢を叶えられる所があります」
しかしグラハムは言った 「私には叶えられない夢だった 私にとってここは大切な所だ 私はここで生まれ ここで死ぬ」
レイは諦められず言った 「夢まであと一歩! 5分間試合に出て夢が叶うまであと一歩だった! それなのに夢を叶えられずに終わるなんて・・・それは悲劇です」
グラハムは静かに言葉を返した 「その「5分間」が医者に与えられた猶予だとしたらそれは悲劇を生むだろうね」
それはグラハムの「医者」としての信念だった
グラハムは言った 「もう帰らないとな アリシアが気を揉んでる」 そして笑顔を見せた
妻を気遣うグラハムはレイとともに病院を出た そして愛する妻が待つ家に帰った
レイはテレンスマンの所に戻った そして言った 「彼を連れていくのは無理だ 無駄足だった」
しかしテレンスマンは言った 「ミネソタの人は? もし彼が野球選手を続けていたら?」
そう 「野球選手を引退したグラハム」に命を救ってもらえた人がたくさんいたのだ
レイは家に帰る車中にいた テレンスマンとともに
レイは途中 ヒッチハイクを受けた レイは車を止め ヒッチハイクした少年を乗せた 少年は野球道具を持っていた
「昼間働いて夜野球ができるチームがあるって聞いたので今から行くんです」 少年はそう言った
レイが少年に自分とテレンスマンを紹介すると 少年は嬉しそうに言った 「僕はアーチー・グラハムです」
レイとテレンスマンは驚きの表情でお互いを見た 言葉は出なかった そしてそんな中 アーチーだけが無邪気な笑顔を見せていた
3人は家に着いた 家ではレイの妻のアニーと幼い娘のカリンが待っていた
家の目の前の野球場では既に選手たちが集まっていた
そこにいたのはまばゆい輝きを放つスターたちだった みんな昔の姿だった みんな昔と同じように野球を楽しんでいた
彼はスターたちを見て興奮した 「スモーキー・ジョーだ! メル・オットも! ギル・ホッジスもいる!」 それは彼にとっては夢のような事だった
「グラハム」 彼に声をかけた選手がいた 大スターの一人に声をかけられたアーチーは満面の笑みを見せた
「ウォームアップしようぜ」 そう言われたアーチーは大喜びで返事をし すぐに準備をしに行った
アーチーに声をかけた大スターは言った 「ルーキーだね」
そしてついにその時が来た
アーチーはバッターボックスへと歩いた ゆっくり しっかりと夢のフィールドを踏みしめて
「アーチー!」 小さなスタンドから大きな声援が彼に届いた
アーチーは相手の投手をしっかりと睨んだ そしてウィンクをした
挑発で怒った相手投手は彼の頭めがけて思いっきり投げた 2球続けて
「何とかしてくれよ」 そういうアーチーにアンパイアは言った 「殺されんように気を付けろ」
アーチーは仲間の所に行って話した 「インハイが2連発 次はどこに来ると思う?」 アーチーは答えた 「アウトローかビーンボールだと」 すると仲間は「ビーンボールなら満塁 アウトローだ」 そしてアーチーはバッターボックスに戻った
そして3球目 ついにアーチーのバットはその球を捉えた スターが投げた素晴らしいボール 「ルーキー」が振り抜いた「宝刀」はそれをまともに捉えた
ルーキーの宝刀に捉えられたスターのボールは遠くまで飛んだ そして点が入った 投手は思いっきり悔しがった
アーチーはベンチに戻ると仲間に頭を撫でられた そしてレイの方を見た その顔は夢を叶えた幸せと自信に満ちあふれていた
ある日 またみんなが集まってきた みんないつも通り試合をしていた そしてレイとアニー カリン そしてテレンスマンが一緒に試合を観ていた
しかしそこに頭のおかしい奴が現れた そいつはみんなが試合をやっているというのに平気でピッチャーとキャッチャーの間を横切った バッターは怒りのあまりそいつに殴りかかろうとしたがそいつは気にも留めない
「おい! 試合中だぞ!」
レイの言葉にそいつは返した 「夢を観るのはやめろ」
そう そいつには見えないのだ
彼らは「いる」と信じる者にしか見えない
「レイ こいつにサインしろ」
気違いはほざいた そう こいつはレイの親戚だった こいつは球場を潰し レイの土地を売り払ってカネにしようとしていた
レイは畑を潰して野球場を造った事で巨額の借金を背負う事になってしまっていた そしてその親戚はカネの事しか頭に無い そいつにとって「夢」などというものはバカげたものであり どうでもよかった
そばにいたカリンが言った 「売らなくてもいいじゃない お客さんを呼んでお金をもらえばいいのよ」
テレンスマンも言った 「みんな来るさ」
テレンスマンは続けた 「あらゆるものが創られ 壊されていった でも野球だけはずっと残り続けた 野球はこの国の一部だ」
しかしそんな事は気違いにはどうでも良かった 気違いの頭の中には「今すぐ大金を手にする事」しか無かった
レイはみんなを見た 夢のフィールドにいる男たち 夢を捨てられず 夢のフィールドに戻ってきた男たち 彼らが愛する野球ができるのはこのフィールドだけ そしてその「夢のフィールド」の運命を決められるのはレイだけだ そしてそれは彼らの運命を決められるのもレイだけだという事だった
みんなはレイを見ていた みんながレイの一言がどちらになるかを心配していた レイの「一言」がどちらになるかで彼らの運命は決まってしまう みんな愛する野球を失いたくなかった
レイは気違いに言った 「断る!」
親戚は激怒した レイを罵った 「イカれてる!」
その場にいたカリンが言った 「イカれてないよ!」
気違いはついに一線を越えた 幼いカリンをつかみ上げ レイを罵倒した 「見ろ!ガキまでこの有様だ!」
レイは慌てて娘を助けようとした 「バカ!やめろ!」
その時 「カリン!」
気違いがカリンを地面に投げた
「息をしてない!」 レイがそう言うとアニーは救急車を呼ぶため家の電話へと走り始めた
しかし突然レイが止めた 「アニー!待て!」 アニーは驚いて返した「何でよ!?」
レイの視線の先には選手たち その選手たちの中の後ろの方から一人の少年がカリンを見ていた
少年はカリンの元へと走っていった しかし少年はカリンたちの手前で止まってしまった
少年の目の前には砂利の線 そう 少年たちはここに足を踏み入れてはいけないのだ
目の前には気を失い 呼吸が止まった少女 しかしここに足を踏み入れたら自分の野球人生は終わってしまう しかし今助けないとカリンはそのかけがえのない命を失ってしまう 取り返しのつかない事になってしまう
少年は力無くグラブを夢のフィールドに落とした そしてとうとうその線に足を踏み入れた それはまさに「処刑」だった
少年が足を線に踏み入れた瞬間 少年の姿はあの老紳士に戻ってしまった スパイクは革靴に ユニフォームはスーツに変わってしまった そして彼の手にはグラブではなく鞄が握られていた
驚きと悲しみの表情を見せるレイたちに彼は言った 「どうしたんだい?」 レイは答えた 「落ちたんです」
「何か詰まってる」 グラハムは気を失ったカリンの口の中を見るとレイと一緒にカリンの背中を起こした そしてグラハムがカリンの背中を2回叩くとカリンは咳き込み 喉に詰まっていた物を出した
「ホットドッグだよ 喉に詰まってたんだ」 グラハムはそう言い カリンの喉に詰まっていたホットドッグのかけらを捨てた レイがフィールドを見ながらアニーを止めた事で誰かの存在を意識した気違いにもグラハムが見えるようになった
「もう大丈夫だ」 グラハムは笑顔でそう言った 気違いは「俺知らね」という感じでグラハムにもカリンたちにも一度も謝らなかった しかしグラハムはそれを気にする様子も見せなかった
「ありがとうございます」 そう言ったレイにグラハムはこう返した 「礼を言うのは私だよ ありがとう」
レイの娘の命を救ったグラハムが言った「ありがとう」 それは自分の夢を叶えてくれたレイへの感謝の言葉だった
レイはショックを隠せず言った 「でも・・・あなたはもう戻れないのでは・・・本当にすみません」 しかしグラハムは笑顔で言った 「いいんだ」
グラハムは優しい笑顔で言った 「帰らないとな アリシアが気を揉んでる」 そう言うと小さく 優しくウィンクした
彼はあの線を越え 夢のフィールドへと戻っていった しかし彼の姿はもう少年には戻らなかった
選手たちはみんな手を帽子のつばに当てたり彼と握手したりして彼への敬意を示した みんな分かっていた グラハムの無念を
かつてグラハムのウィンクに怒り グラハムの頭にボールを投げた投手は人目も憚らず泣いた
「元気でな」 グラハムは手を差し出した 投手は泣きながらグラハムとの最後の握手をした そして彼の背中を軽く叩いたグラハムの背中を軽く叩き 「仲間」との別れを惜しんだ
「寂しくなるな」 そう言った仲間にグラハムは言った 「私のために勝ってくれよ」
そこにはもう敵も味方も無かった あるのは野球への愛 自分と同じく野球を愛する者たちを大切にする想い 一人の少年の自己犠牲を厭わない崇高なおこない 一人の少女を助けなかった自分たちの目の前で愛する野球を諦め 老紳士に戻り 少女を救った少年への敬意 そして取り返しのつかない事になってしまった事での悲しみだけだった
選手たちと別れ 夢のフィールドから去ろうとした彼に一人の選手が叫んだ 「おい!ルーキー!」
彼は振り返った 叫んだのはジョー・ジャクソン 世界の野球史上最高のスターの一人 所謂「シューレス・ジョー」だった
あまりの悲劇にジョーはショックで何と言葉をかけたらいいか分からないという感じだった しかし彼は言葉を絞り出した
彼はたった一言だけ言った 「いい選手だった」 それを聞いたグラハムは名残惜しそうな笑顔を返した
そして彼は去っていった グラブも残さず 帽子も残さず そして彼の後ろ姿さえも残さずに
しかしたった一つ 彼が残したものがあった それは彼が自分の愛する野球人生と引き替えに救った「カリン」という小さな「花」の命だった
かつてたった一度しか夢のフィールドで咲けず 二度と夢のフィールドに帰ってくる事ができなかった月下草 あまりにも美しく そして短い野球人生を全力で駆け抜けた「一人」の月下草 その最も美しい月下草を愛した人々は 愛を込めてその「月下草」をこう呼んだ
Moonlight Archie Graham
この作品は私が子供の時に観た「フィールド・オブ・ドリームス」という映画を想い出して作りました。私は今回のポエムで多くの人が「フィールド・オブ・ドリームス」を知り、観ていただきたいです。なお、グラハムの経歴は作品に合わせて変えられています。
今日はグラハムさんの命日です。グラハムさんのご冥福を心からお祈りいたします。そして老紳士の頃のグラハムを演じた人はバート・ランカスターさんですが、彼は劇場公開の映画作品ではこの作品が遺作となりました。バート・ランカスターさんのご冥福を心からお祈りします。
グラハムの写真が現在でも残っています。これはグラハムの現役の時の写真です。
そして老紳士の頃のグラハムを演じた時のバート・ランカスターさんの写真はこちらです。
産経新聞
「ここは天国か」映画のロケ地でMLB公式戦 劇的結末(2021/8/13)
https://www.sankei.com/article/20210813-YVELI3H4VNPU5AMWIUBZZHGX2M/
やっぱり「フィールド・オブ・ドリームス」を題材にしたって分かったんですね。私はミソラさんなら「フィールド・オブ・ドリームス」をご存じだろうと思っていました。
グラハムは自分の夢を叶える事はできませんでしたが、野球選手を引退した後、医者として多くの人の命を救い、彼に命を救われた人たちが夢を叶えるのを助け続けていましたね。
私はそんなグラハムにこそ自分の夢を叶えてほしかったですが、グラハムは心残りはあっても自分が命を救った多くの人が夢を叶える事ができた事が嬉しかったでしょうね。
あとミソラさんがご紹介してくださった記事も読みました。この試合があった事は以前何かで読んだと思います。また、他の試合もあの野球場でおこなわれました。選手たちがトウモロコシ畑から出てくるのが本当にすてきですし、本当に感動しました。そして試合が最後にホワイトソックスの逆転勝ちだった事も本当にすてきでしたね。
私は「フィールド・オブ・ドリームス」を小学校の時に観ました。私の父親が野球が好きで、特にシューレス・ジョーとかが大好きでした。あと日本の選手では大下弘さんや中西太さん、そして稲尾和久さんが大好きでした。特に私の父親は出身が九州なので子供の時は西鉄を応援していましたし、それで私の父親は当時西鉄にいた大下弘さんや中西太さん、そして稲尾和久さんが大好きでした。
そして西鉄が九州から離れ、九州から球団が無くなってしまい、私の父親はそのチームも応援しなくなっていましたが、ホークスが九州に行った事でホークスを応援するようになりました。ホークスが九州に行く事が決まった時、父親は凄く喜びました。また、ホークスは元々は関西のチームですし、私は小学校に入った頃からホークスが好きでした。関西出身の私にとっては関西からいなくなるチームがあるのがショックでしたし、しかもそれがホークスだったので凄くショックでした。でもホークスの移転先は私の両親の出身地である九州でしたし、それまで長い間九州にプロ野球チームが無かったので、九州にプロ野球チームができる事は私にとっても嬉しい事でした。「九州出身の両親の間に生まれた大阪人の私。」は今、「大阪から九州に行ったホークス。」を応援し続けています。
https://www.excite.co.jp/news/article/E1478048537783/
九州には行ったことがないので、何年か前に旅行しようと思い、観光ガイドブックも買いました。熊本地震などもあり、その一人旅は中止になりましたが、機会があれば行ってみたいですね。北海道の千歳から福岡は、飛行機で2時間くらいでしょうか。…ちょっと遠いかな。大阪にも行ったことがないので、大阪城とか通天閣とか見てみたいですね。さくらさんは、修学旅行とかで、北海道に来たことはありますか?
ホークスがダイエーに売却された時、私は小学生でした。当時近くにはダイエーはありませんでしたし、大阪市に来てもダイエーは近くにはありませんでした。大阪市のダイエーで私が行った事があるのは京橋のダイエーだけです。そして今はそこも無くなりました。今も私が住んでいる所のすぐ近くにはありません。
ホークスにはケビン・ミッチェルのいとこのトニー・ミッチェルもいましたね。トニーはケビンほどは問題は多くは無かったそうですが、乱闘したりしてましたね。そしてケビンはカネと共に去りましたしね。ちなみにトニーの代理人はブーマーだったそうで、ブーマーはトニーがケビンのいとこである事を本人から言われるまで知らなかったそうです。あとブーマーは阪急にいた時、神戸に住んでいて電車で球場に通っていたそうですが、体が大きすぎて電車のドアをくぐるようにしていたそうです。また、阪急の選手だったからだと思いますが阪急電鉄からは無料乗車券をもらっていたそうですが、特に機嫌のいい時は自動改札は通らずに有人改札を顔パスで通ることが多かったそうです。
あと私はまだ北海道には行った事がありません。北海道は私の両親の新婚旅行先でもありますし、中学と高校の時の吹奏楽部の先生の出身地でもありますし、行ってみたいですね。
さくらさんは野球といいサッカーといい
潜水艦といい運動神経も良さそうですね。
私も北海道は行ったこと無いです。
というか行ったこと無いとこだらけです。
九州も宮崎県だけです。
宮崎・・なつかしいなぁ~・・
宮崎は良い思いでしかなかったし。
また過去に戻って母と宮崎へ行きたい。
今回題材にした「フィールド・オブ・ドリームス」は野球を通して人の心を描いた作品でした。主人公が昔プロの野球選手だった親を想い出したり昔の野球選手たちが夢を諦められずにこの世の野球場に来て野球をやったりしていました。そしてこの物語の最後は最高に感動するものでした。
私が宮崎に行ったのは母方の祖父が亡くなった時です。もう12年以上も経ってしまいました。
昔母親の実家に行くと、家の敷地の端に木がたくさん立っていて、そこに小さな隙間がありました。そしてそこから敷地に入れるように水路の上に小さな橋がかけられていました。私も小さい時はそこを余裕で通れましたが、大人になってからはもうその隙間はかなり小さく感じました。そして長い年月が経った事をそれで感じました。
小学校の時は毎年宮崎に行っていました。そして母親の実家に行くと、母親の弟が帰ってきて会いました。その人は母親の弟なので私の叔父ですね。叔父は音楽が好きで、ピアノを弾いていました。母親の実家にもアップライトのピアノがありました。
叔父は私が高2の時に亡くなりました。交通事故でした。警察からの話では、車で走っていた時に目の前に動物が飛び出してきて、それを避けようとして街路樹に激突したそうです。
叔父は職場に近い所の家を買って普段はそこに住んでいましたが、まだ結婚していなくてたまに実家に帰っていました。叔父は亡くなった日も実家から出勤したそうで、おばあちゃんに言った「今日大淀川で花火あるらしいよ。」が最後の言葉だったそうです。
その叔父は私が今一番会いたい人の一人ですね。長生きして幸せでいてほしかったですね。
・・・本当に懐かしいですね・・・小学生ぐらいに戻ってまた会いたいですね・・・
ポエムにその感情がたっぷり出ていました。
叔父さんを無くされ寂しい思いもされましたね。
思い出って素晴らしいです。
いつまでも消えないですし
映像は勿論、
風の匂いや手触りまで記憶に残るものまであるから不思議ですね。
子供の頃に記憶した九州の宮崎。
前足の欠けた三本足の黒い野良犬。
私が歩くとどこからともなく現れました。
もう一度会いたいです。
あの時は頭を撫でただけでした。
出来るものなら思いっきり抱きしめ
家に連れて帰りたいです。
想い出って大切ですよね。自分にとって大切な人の事の想い出は自分がその人と一緒にいた証だったりしますよね。
私たちが宮崎に行くと叔父さんが車で迎えに来てくれたりしました。あと母親の実家に行くと、叔父さんが自分の部屋のテレビにDVDのレコーダーを付けていて、それでスターウォーズを再生して使い方を教えてくれたりしました。母親も妹もそれを見て喜んでいました。本当に楽しくて幸せな時でした。
もし叔父さんが帰ってきてくれたらまた一緒に宮崎の街を見たりしたいですね。私は叔父さんたちと一緒にお祭りに行ったりした事が無いのでお祭りも一緒に行きたいですね。特に花火大会は一番一緒に行きたいですね。叔父さんが最後におばあちゃんに教えたのが花火大会でしたから・・・。
あと私は小3ぐらいの時、学校のすぐ近くで大人のシェルティーについてこられました。
その子は私が走ると自分も走って私を追いかけました。その子は怒ってたり噛みつこうとしたりしていたのではなく、飼い主さんがいなくなったか何かで独りでいた子でした。その子は凄く可愛い笑顔で私の方に走ってきました。その子は凄く人に慣れていて、凄く人懐っこい子でした。
私はその子を家に連れて帰る事も学校に入れる事もできないので学校に入って門を閉めたのですが、その子は私が門を閉める直前に私と一緒に学校に入りました。なので私はその子と一緒に学校の外に出て、頭を撫でながら「ここ入ったらあかんねんで。飼い主さんのとこ戻り。」って言いました。すると近くに来た大人の男の人の方に走って行きました。その人が飼い主さんだったのかは分かりませんが、その人はその子を追い払ったりせず、その子の頭を撫でてその子と一緒に歩いていきました。
そして私が高校の時、妹が「犬飼いたい」と言い出して犬を飼ったのですが、その時妹が選んだのがシェルティーでした。私はその時その場にはいなくて後でその子がシェルティーだと言われました。その子はまだ子犬で、小学校の時に見たあの大人のシェルティーとは見た目が全然違っていました。ですがその子が大きくなると、昔会ったあのシェルティーのようになり、あの子を想い出しました。
今この想い出を書いて、私は昔飼っていたあのシェルティーが、小学校の時についてきたシェルティーの生まれ変わりだったのかもって思いました。
うちにいたシェルティーは、散歩の時、ハーネスを付けていましたが、その子が走って私の手からハーネスのリードが離れると、それに気づき、勝手に走りました。そして少し走ると止まって私の方を笑顔で見ました。まるで「一緒に走ろう!。」って言ってるみたいでした。私はその子が車にぶつかったりしないかが心配でしたが、その子が嬉しそうに私を見てくれて嬉しかったです。
うちにいたシェルティーは16歳ぐらいで亡くなりました。最期の頃はもう足腰も弱くなっていましたが、穏やかに過ごしていました。もしあの子が帰ってきたらまた一緒に散歩したりご飯を食べさせたりしたいですね。