(a) I was stolen my purse.(×)
(b) Someone stole my purse from me.
(c) My purse was stolen from me.
(d) I found the book easily. (私は簡単にその本を見つけた。)
(e) I found the book easy. (私はその本が簡単だとわかった。)
「私は財布を盗まれた」という日本語を英語に直してみよう。日本語の語順をそのまま英語に当てはめようとすると,(a)のようになるが,英語としては×である。stealを「盗む」という意味で用いる場合は,S steal X from Y 「S(人)はX(物)をY(人)から盗む」というFrameになる。このFrameに合うようにS,X,Yにそれぞれ表現を当てはめるだけで(b)のようなMSを生成することができる。これを受動態に変形すると(c)になるが,(b)のmeは文の目的語ではないので,(a)のような受動態の文に変形することはできない。
次に,英文解釈の場合を考えてみよう。(d)はfindの後が,X(名詞)+Y(副詞)になっているので,「SはXを見つける」という意味になる。(e)はfindの後が,X(名詞)+Y(形容詞)になっているので,「SはXがYだと分かる」という意味になる。このFrameを無視して,(d)を「その本が簡単に分かった〔理解した〕」のように解釈することはできない。
文型とFrame
「文型」は一般に全ての英文を5つの型に分類しようとするものであるが,「文型」という考え方だけでは不十分であり,さらに詳しいFrameによる分類が必要である。
(a) I see many sheep in the pasture. (牧場にたくさんの羊が見える。)
(b) I see what you mean. (あなたの言いたいことはわかります。)
(a)も(b)もどちらもSVO型(=第3文型)に分類されるが,(a)はOがsheepと名詞なのに対して,(b)はOがwhat you meanとwh節になっている。同じ文型でも,Oにくる表現の種類が変われば動詞の意味も変わるのである。
このCHAPTERでは,従来の文型による分類に沿いながら,より実用的な観点から動詞の種類ごとにそのFrameを分類していこう。
《mini-LECTURE① 辞書での動詞の調べ方》
辞書を調べると,動詞には[SVO]のような文型の表記が必ずある。さらに多くの場合,Oが名詞なのか,that節なのか,wh節なのかなど,さらに詳しい説明が載っているはずだ。動詞を辞書で調べる場合は,どのようなFrameで用いるのかをできる限り詳しく調べよう。英作文の場合は特に,どんな基本動詞でもFrameを調べるクセをつけよう。こうすることで,より早く英文解釈ができるし,より正確な英作文ができる。