
「Simone(シーモンの涙)」はちょうど50年前の1972年の今頃にさんざんラジオで流れていた曲。でもこの曲がヒットしたのは日本のみで、本国アメリカでは全く売れなかったらしい。こういう現象は70年代には度々あって、日本のレコード会社が現在のような垂れ流しではなく、当時は如何に知恵を絞って売り込みをかけていたかが偲ばれる。
ピアノによる軽快なリズムのイントロに導かれて歌われるのは、シーモンという女性への慰めと励まし。メロディは爽快でありながら抒情的で、たしかに大方の日本人なら好みそうなメロディ。歌っているのはイングランド・ダンとジョン・フォードという男性二人組で、あの時代に男性デュオと言えばサイモン&ガーファンクルが通り相場ではあったが、それよりももっと軽快でフレッシュで、どちらかと言えばビージーズ(ディスコ路線に走る前)のサウンドに近い印象を受けた。
Simone, why do you cry?
Don't you know your tears will dry?
And take away the loneliness
There inside, oh, if you try
Simone, why do you cry?
Don't you know the sun will shine?
And on your merits all you find
Reflections go, oh, I said you would
You've been searching everywhere
For something to believe in
You've been searching, it's never there
Reach your own, look and you'll know
彼等はその年の暮れにスリードッグナイトの来日公演に帯同して前座を務めた。前述のよう本国では売れていなかったが、この曲のヒットのお蔭で日本の観客は熱烈に迎えたため、彼等は感激して後年まで良い思い出として語っていたそうだ。そんな話を聞いてしまうと、自分もその観客の一人として彼等を励ますことができたことを嬉しく思う。たしか7~8曲ぐらい歌って、知っている曲はこの曲と次のシングルだった「Casey(ケーシー)」しかなかったけれど、美しいハーモニーのステージだった。
そんな彼等も1976年に「I'd Really Love to See You Tonight(秋風の恋)」で大ヒットを飛ばしてようやく報われたのだが、1979年のアルバム「Dr. Heckle and Mr. Jive」を最後にデュオとしての活動を終えてしまう。最後のアルバムについては数年前にこのブログで紹介したが、かなりのAOR路線でAORの作品としては良いけれど、その代わり彼等の素朴さみたいな魅力は薄れてしまっていた。
実は数年前に、そのひとつ前のアルバム「Some Things Don't Come Easy」(1978年)を中古レコード屋で購入したのだが、これがなかなか良かったので機会があればまた紹介したい。
(かみ)
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