リッチー・フューレイ脱退後のポコの中心メンバーだった彼の脱退はポコの壊滅を意味し、実際に解散コンサートも行なわれたらしい。(そのときの模様は後年「The Last Roundup」というアルバムで発表されている)
当時はそんな事情はよくわからなかったものの「ああ、ポコも終わっちゃったかあ」と思っていた1978年に発表されたのが、このアルバム。これは正にティムをイーグルスに奪われたポコの反撃の狼煙のアルバムである。
残ったメンバーは創立以来のメンバーであるラスティ・ヤング(g,vo)と「From The Inside」以来のポール・コットン(g,vo)の二人。後は英国人のメンバーを補充してのラインアップであったが、ベテランのバンドとは思えない溌剌としたサウンドにまずビックリした。
1. Boomerang
2. Spellbound
3. Barbados
4. Little Darlin'
5. Love Comes Love Goes
6. Heart of the Night
7. Crazy Love
8. Last Goodbye
9. Legend
このアルバムでは彼等の持ち味であるカントリーサウンドを封印して、ひたすらポップなアメリカンロックを指向している。
冒頭、歯切れの良いハードチューン「Boomerang」から快調に飛ばして、硬軟取り混ぜてバラエティに富んだ佳曲が次々と繰り出される。
特に最初のヒット曲となった「Crazy Love」は名曲。アコースティックギター1本をバックにラスティ・ヤングの甘酸っぱく切ないボーカルが心を打つ。もう、この時点では30半ばの親父なのに、こんなにも一生懸命にラブソングを歌っている姿に心打たれる。
「Heart of the Night」はポコ最大のヒット曲だが、これがヒットしたのも先行した「Crazy Love」のヒットがあればこそだろう。
ポコ発足時点ではスティールギターを黙々と演奏するだけだったラスティ・ヤングだったが、このアルバムで完全にポール・コットンと並ぶ、コンポーザー/ボーカリストとしての地位を確立した。
暫くしてティム参加後のイーグルスの「The Long Run」が発表された。
まず、真っ黒なアルバムジャケットからして不吉な予感。針を降ろすとジャケット通りの救いのないような音楽の羅列、ティムの「I Can tell You Why」も暗くて、僕はイーグルスの時代の終焉をひしひしと感じたものだった。それに対して真っ白なポコのジャケットの爽やかなこと!!そしてジャケットのイメージに相応しい清冽なサウンド。
それまで地道にやってきたポコがやっと報われたアルバムであり、ウエストコーストロックの名盤である。
(かみ)
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