見出し画像

還暦おやじの洋楽日記

Duke / Genesis

3人組になったジェネシスが1980年代初頭に放ったこのアルバムは、「陰鬱、それでいてエキセントリック」という、それまで僕が持っていたイメージを完全に覆すものだった。初めて自分が買ったジェネシスのアルバムでもあり、今もって愛聴盤。

1. Behind the Lines
2. Duchess
3. Guide Vocal
4. Man of Our Times
5. Misunderstanding
6. Heathaze
7. Turn It On Again
8. Alone Tonight
9. Cul-de-sac
10.Please Don't Ask
11.Duke's Travels
12.Duke's End

まず、1曲目の「Behind the Lines」の重厚だけど疾走感溢れるサウンドでぐいぐい引き込まれる。その勢いのまま「Duchess」になだれ込み、「Guide Vocal」まで繋ぐ流れの心地良さ。冒頭のこの3曲でガツンとやられる。
「Man of Our Times」「Alone Tonight」がマイク・ラザフォード、「Heathaze」「Cul-de-sac」がトニー・バンクス、「Misunderstanding」「Please Don't Ask」がフィル・コリンズ、とそれぞれの作品となっているが、三者三様の個性の違いがよくわかる。トニー・バンクスはやっぱりクラシック志向だし、マイク・ラザフォードの作品には後のメカニックスの音楽の源流を感じる。(「Alone Tonight」なんてビートルズの匂いがぷんぷん)。当時のレコードの帯には「デューク、それはロックを、人生を超えたフィル・コリンズ自身!」なんて惹句が書かれていて、まるでフィル・コリンズのリーダーアルバムのような扱いだったが、ちょっと違うね。
そして最も好きなのは最後を飾る「Duke's Travels」と「Duke's End」のメドレー。多重録音されたシンセサイザーの絡み合いが気持ち良い。アルバムの最後にそれまでの収録曲のフレーズがリフレインされるのはこの頃のジェネシスのアルバムでの常套手段だが、このアルバムがいちばんキマっている。

当時は重厚長大なプログレに逆風が吹いていた時代。多くのバンドがポップ路線に転身したが、その後最も成功を収めたのはジェネシスであり、そのターニングポイントになったのが、このアルバム。これが「Invisible Touch」あたりになると、もはや売れ線のコツを覚えてしまって、あざとさを感じてしまうのだが、この頃は彼等なりに時代と向き合ったプログレを真摯に追求していたと思われる。
とにかく、初夏のドライブで聴きたくなるプログレなんてめったにないんだから。

(かみ)
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「Album Review」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事