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還暦おやじの洋楽日記

But Seriously, Folks...(ロスからの蒼い風) / Joe Walsh

バニー・レドンの後釜としてジョー・ウォルシュがイーグルスに加入するという報を聞いたのは、ちょうどウエストコーストロックに目覚めて色々なアルバムを買い漁り始めた頃だったが、大方のリスナーと同様、ウエストコースト系のバンドとハードロッカーとの取り合わせに「何だ、そりゃ」という違和感を覚えたものだった。でも後から思うとウォルシュという人はハード一辺倒の人ではなかったし、実際に「Hotel California」には適度なハードさが加わり、あれだけ大ヒットしたのだから彼の加入は大正解だったんだよな。

…と偉そうな感想を綴ったけど、加入前のウォルシュについて僕はせいぜいラジオで聴いた程度で、初めて買った彼のソロアルバムはこのアルバムなんだ。月並みでスミマセン。その後に彼のアルバムを遡って聴いたが、ウォルシュの曲ってギターオリエンテッドなハードチューンにとどまらず、クラシカルな作風だったり、ミステリアスで重々しい作風だったり、かと思うとおちゃらけた作風だったり、さながら多重人格者のよう。それがアルバムにランダムに詰め込まれると、とっちらかった印象になってしまう。その点、このアルバムはそれらが抑制されてまとまりも良く、やはり代表作だけのことはある。月並みでスミマセン。
1978年にリリースされたときの邦題は「ロスからの蒼い風」。”蒼い”というのは水中撮影のアルバムジャケットの色合いからの連想だろうか。なかなかカッコいい邦題とは思うけど、このアルバムはもっと乾いた陽性なサウンドなので、中身とちょっと合わないな。

1. Over and Over
2. Second Hand Store
3. Indian Summer
4. At the Station
5. Tomorrow
6. Inner Tube
7. Theme from Boat Weirdos
8. Life's Been Good

イーグルス加入後の作品なのでバンドの全メンバーがゲスト参加し、プロデューサーのジム・シムチク。そのおかげでサウンドもイーグルス寄りのウエストコーストっぽいものになっている。
軽快な「Over and Over」で始まり、カントリータッチでのどかな「Second Hand Store」に流れ、「Indian Summer」で引き締めて、ウォルシュらしいギターリフが印象的な「At the Station」に繋がる前半(アナログLPのA面)がとても良い。
後半の「Inner Tube」~「Theme from Boat Weirdos」のインストゥルメンタルメドレーは、彼のミステリアス趣向が顔を覗かせるけど決して重たくない。そして「Life's Been Good」はシングルでもヒットし、それ以降のイーグルスのライブでは派手なパフォーマンスで披露される彼の代表曲となった。しかし成金ミュージシャンの金満生活自慢を歌った曲が最大の代表曲ってのも、本人はどう思っているのかしらん。まあ、この曲がこのアルバムの中で唯一の、おちゃらけどころ。後はせいぜい水中撮影写真におちゃらけ精神が垣間見える程度だったが、CD化に際して「Life's Been Good」の後に隠しトラックとしてオマケの音声が追加された。

このアルバムが出た頃、一匹狼っぽかったウォルシュはどうせすぐに脱退するんじゃないかと思ってたが、全然そうならなかったのは意外だった。あれから40数年、ソロ活動と並行しながら人数の減ったイーグルスと今もお付合いしているんだものなあ。

(かみ)

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