ご承知のように、2015年夏にシベリアのエドマ永久凍土層で出た2頭のホラアナライオンの子(ウィアンとディナ)のミイラは、歴史的な発見であるとして各学会を騒然とさせました。発見以来、ロシアとアメリカを中心とした国際研究チームが抽出された遺伝子情報の分析に当たっていますが、その最新知見をシベリアタイムスの英語版で閲覧することができます。
件のホラアナライオンの生息年代は、当初の推測よりもずっと古く、最大で55000年前にまで遡ることが判明したそうです。他にも、子ライオンが生後一、二週間であることや、胃内容物(ミルク)からの遺伝子的情報の抽出の可能性など、興味深い事柄が述べられています。
http://siberiantimes.com/science/casestudy/news/n0796-extinct-lion-cubs-found-in-siberia-are-up-to-55000-years-old-latest-test-results-reveal/
frozen cave lion
↑ところで、研究チームのプロジェクトポスターには、私のイラストが使用されています。
:追記:
2017年9月には、シベリア北東部のユカーティア永久凍土層で新たに幼獣の個体が見つかったという報告がありました。2015年の2体と同様、あるいはそれ以上に保存状態が良好だということです。これで合計3体ものホラアナライオンのミイラが得られたということで、大きなニュースとなりました。
Cloning hope for 50,000 year old cave lion
↑ 2017年9月に発見された個体
既に多方面で報道されていることもあり、詳細を付記することはしません。腐敗の程度が小さいため、遺伝子的情報の解読はもちろん、クローンによる(間接的な)「ユーラシア・ホラアナライオン再生」への期待も一部では浮上している模様ですが…
しかしながら、関係者のOlga Potapova博士に詳しく取材した Live Scienceの記事 を読むと、この3番目の個体は、更新世氷河期のオオヤマネコの死骸である可能性が否定できないと述べられています。ホラアナライオンの子である場合、年齢は生後1か月半から2か月程度であろうということですが…。クローンの可能性についても、限りなく低いという否定的な見解が見られます。はたして、どのような展開になるでしょうか。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます