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水曜どうでしょう 「迷走中」…最大の見所はエンディング?

『沙中の回廊 上・下』 宮城谷昌光

2009-02-10 02:09:47 | 読書
色々他の本にも寄り道したり、
何度も戻って読み返したりして、
けっこう時間かかってしまった。

でも、何かを一冊読むのに時間をかけるって
良いことかもしれないと思った。

というのも
これを読んでいるときに
たまたま会った相手や事件で
色々と考えさせられ、
それぞれにたいする自分の解釈が変わっていくのを感じることができたから。
いつも森先生の本だったりすると一気に読んでしまって
そういう経験はないけど、
宮城谷さんの本はそういうことが多い気がする。

今回は春秋時代の晋の国。
稀代の軍師、士会の物語。

楚の名君、荘王をもって「敵将は士会か・・」と
全軍を撤退させた軍師。
「士会を討とうとすれば、墓穴を掘ることとなる。」と言わしめた。
そのシーンは胸がすく。

常に徳を積むことを怠らず、
礼を忘れない偉人。
何よりも
自分の手柄をことさらに吹聴するのを嫌った。

真似できない人である。

すごいのは
彼が文公(重耳)に始まって、歴代の晋君に仕えた
一家臣であるということだ。
これだけの人物ならば
日本だったら自分が一国の主になろうと考えてもおかしくないかもしれない。
でもそんな考えは士会には一切なく、
彼が常に大切にしたのは
自分の道を誤らないこと、恩に報いることなんだ。
だからこそ
こうして後世まで語り継がれるのだろうけど。

考えてみると
日本という国は
豊臣秀吉が愛される国。
大恩ある織田信長の子孫を補佐したのではなく、
自分が殿様になった男。
家臣から王に代わってしまったんだよね。

働きに対して
当然のごとく報酬を期待するのではなく、
働きそのものを
自分の義務を果たしただけだと平然としていられること。

士会も“介子推”を手本としている。


すきあらば自分が取って代わろうと
私利私欲に走っていて、
誰かの揚げ足をとることばかり考えている政治家の皆さんは
士会の生きかたに清清しさを感じられるのだろうか・・と思う。

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