るんるんの体験記
【まえがき】
1年前の今ごろ、しこりを感じながらも病院に行かなかった。自分が癌患者なんて思ってもいなかった。
長い長い1年だったように感じる。
さりちゃんから、さりちゃんのHPに私の体験記を載せないかというお誘いがあった。
時と共に記憶が薄れていくであろう自分の体験記を残してみたいという想いと、良く似た経験を持つ方の励みにすこしでもなれればという想いから、私も体験記を書いてみ . . . 本文を読む
【緊急入院・出産】
総合病院に着いた。
ストレッチャーに乗り、外来診察室で内診。
点滴の薬が強すぎたらしく吐き気がした。ガタガタ震えが止まらない。
先生から「武者震いか?」と言われたが笑う余裕さえない。
産婦人科病棟の分娩室に移り、尿の管をつけられた。
「絶対安静で入院すると思うから」と看護師さんに言われた。
病室に移り、駆けつけた夫と父と母と共に先生からの説明を受けた。
「赤ちゃんはまだ約180 . . . 本文を読む
【外科診察】
3月、しこりは消えるどころか、また大きくなった気がする。時折針を刺すような痛みを感じた。
一度思いきって外科へ行くことにした。
外科の先生は胸を診て、「まあ、お乳のかたまりでしょうねぇ。」と言った。
しかし診察台に上がり両手をバンザイしてみたら
「なんだこれは」と脇の下のしこりを見つけた。そんなところについこの間まで、こんな大きなしこりはなかったのに。
「いつからあるの?」と聞かれ . . . 本文を読む
【告知】
3月24日、結果を聞きに夫と行った。夫は仕事を休んだ。
随分待たされた。待合室では夫と楽しくおしゃべりしていた。普段子育てに追われて、夫婦の会話の時間も充分にとれない。おしゃべりの材料はたくさんあった。
途中、先生が忙しそうに廊下に出てきたが、私の顔を見て、「もうちょっと待ってて」と言った。そのときの表情が妙に厳しかった。
名前を呼ばれた。
まずは診察。
そのあと先生は夫に向かって申し . . . 本文を読む
【入院】
3月31日。入院グッズを揃え、大きな袋をいくつも抱えて入院した。また夫が半日休んでくれた。年度末日で、しかも4月異動が決まっていたのに。入院くらい一人で出来るし、
明日の手術も付き添わなくていいよと言っておいたのだが。異動初日の明日も休むらしい。職場で大丈夫なのだろうか。心配だ。
個室は希望しなかったので、四人部屋に案内された。おばちゃん3人と同室になった。
パジャマに着替えてほっと一 . . . 本文を読む
【母親】
親戚のおばさんたち(母の姉妹)は、毎日訪ねてくれた。毎日違う果物を持って。
「ありがとう。おばちゃん。でも、もう私はいいから。お母さんのほうが心配だからお母さんの力になってください。」
母は、精神的に弱い。すぐくよくよするタイプだ。今回のことでどんなに参っているかわからない。しかも手のかかる子供を預けているのだ。実際、何キロも痩せた。
自分のことよりも母のことが気にかかって仕方がなか . . . 本文を読む
【生存率】
ある日先生に聞いてみた。
「私は何年生きられますか。」
「…。生存率っていう言葉があってね、再発・転移するかどうかは別として10年後に生きている可能性が80%くらいだ。抗癌剤の治療をすればそれが10%ほどアップする効果がある。
そう考えれば抗癌剤の受ける意味があるだろう。」
10年後に再発も転移もしていなければ、一応の治癒とみなす。そういう病気なのだ。
【抗がん剤】
腕のリハビリも順 . . . 本文を読む
【退院】
4月27日。
白血球が2800になり、待ちに待った退院。夫が迎えに来てくれた。
入院中、夫は毎晩来てくれた。ありがとう。
パジャマを着替えて、ナースステーションでお礼を言って、36万円払って、外の空気を吸った。
さわやかな風が頬をなでる。息をいっぱい吸いこんだ。太陽の光がまぶしく感じられる。
帰る途中、ミスタードーナツへ寄った。私は車の中で待っていて、夫が店の中へ入っていく。私は車の . . . 本文を読む
【第2回目】
あっという間に一ヶ月が過ぎ、第2回目抗癌剤投与のための入院。
先生「それ地毛?」
私「はい」
先生「たくさんあるね。」
多くの人はつるっぱげになっているのだろう。つるっぱげになってしまったほうが、枕の掃除もいらないし、シャンプーするたび手についてくる髪の毛もないのだし、いいのではと思い、いっそ坊主にしちゃおうかと思ったりもしたのだが、やっぱり勇気は出なかった。
また例の点滴セットが . . . 本文を読む
【夢パート?】
将来の夢ではなく、眠っている時に見る夢の話。
この頃、何度も(毎晩のように)、夢の中で私は浮遊していた。
ふわふわと浮きながら生活している夢だった。
周りの登場人物はちゃんと歩いているのに、私だけが浮遊していた。だけど浮遊しながら特段それを気にせずに日常生活が送れていた。足はちゃんとついていた。
あまり続けて見るので、だんだん私は気持ち悪くなってきた。
もしかして予知夢?浮いている . . . 本文を読む
【ステージ】
ネット友達が、みんな結構自分の病状を把握しているのに比べ、私は何も知らないということに気付いた。
私の自分で知っている情報は、しこりの大きさが4センチくらいだということ。リンパ節転移が1個。
この情報で調べてみると、私のステージは、2bだと思っていた。そう勝手に思いこんでいた。
定期検診で、改めて主治医に聞いてみた。
私のステージは3aだった。
2期と3期では、生存率もグッと変わって . . . 本文を読む
【乗り越えてみせる】
私は、健康にうるさくて、煙草は大嫌いで夫にもやめてもらったくらいだし、職場でも煙草の煙を避けていた。
食事はご飯党で、野菜が大好き。好き嫌いは多く海産物が苦手だが、海草等のミネラルは摂るように心がけていた。
歯磨き粉には発ガン性物質が含まれていると聞き、ほんのちょっとしかつけないようにしたし、たっぷりつけて磨く主人の心配をしたりもした。
母は「あんたみたいな健康に気を遣う子が . . . 本文を読む