5時を少しまわった頃俺の携帯電話が震えた。液晶画面で相手を確認する。ノブからだった。俺は松にノブからの電話だと告げ通話ボタンを押した。
「首藤さん、今新幹線降りたです。ホテルに戻っていいですかね?」
俺はこのホテルの部屋の状況を見回し、ほんの少し考えて、ノブに言った。
「もうあとちょっとで約束の時間やけ、気付かれんように張り付いとけよ。俺達が行くまでに何かおかしい事があったら連絡せーよ」
ノブは嫌そうだったが、知った事じゃない。警戒して警戒しすぎる事はない。
ノブの電話から少しして、今度は松の電話が震えた。佐々木からの電話らしい。松はあまり言葉を発せず、2,3度短い返事をして電話を切った。松は椅子から立ち、ベッドの上に放り投げていた俺の煙草を無断で取り火を点けた。それを深く一服して、電話の内容を俺達に話した。
「坂本のヤツ、案の定、筋者に頭下げに寄ったらしいわ。でも、分が悪いけ断られたみたいやの。まー、こっちの裏の情報も入っとるやろうしの。とりあえず一応警戒はしとって損はないけ、用心だけはしとこう。それからパクの兄弟、坂本がまるっきりこっちの条件を呑んだままでおったら、坂本には手ぇ出したらいかんよ。向こうがちょっとでも反故にしたら、そん時はやらなしょうがないけど。」
俺はその話を聞いて少し背中が寒くなった。この韓国人達は念を押しとかないと、すぐ行動に走る連中なのだと、改めて解ったからだ。俺はコイツ等と違って堅気のシノギもあれば家庭もある身だ。2週間後には俺のバンドのライブもある。大変な事になる前に逃げ出したいのが本音だった。でももうそれも叶わないだろう。あとは何事もなくすんなりと事が終わるのを祈るしかない。
「首藤さん、今新幹線降りたです。ホテルに戻っていいですかね?」
俺はこのホテルの部屋の状況を見回し、ほんの少し考えて、ノブに言った。
「もうあとちょっとで約束の時間やけ、気付かれんように張り付いとけよ。俺達が行くまでに何かおかしい事があったら連絡せーよ」
ノブは嫌そうだったが、知った事じゃない。警戒して警戒しすぎる事はない。
ノブの電話から少しして、今度は松の電話が震えた。佐々木からの電話らしい。松はあまり言葉を発せず、2,3度短い返事をして電話を切った。松は椅子から立ち、ベッドの上に放り投げていた俺の煙草を無断で取り火を点けた。それを深く一服して、電話の内容を俺達に話した。
「坂本のヤツ、案の定、筋者に頭下げに寄ったらしいわ。でも、分が悪いけ断られたみたいやの。まー、こっちの裏の情報も入っとるやろうしの。とりあえず一応警戒はしとって損はないけ、用心だけはしとこう。それからパクの兄弟、坂本がまるっきりこっちの条件を呑んだままでおったら、坂本には手ぇ出したらいかんよ。向こうがちょっとでも反故にしたら、そん時はやらなしょうがないけど。」
俺はその話を聞いて少し背中が寒くなった。この韓国人達は念を押しとかないと、すぐ行動に走る連中なのだと、改めて解ったからだ。俺はコイツ等と違って堅気のシノギもあれば家庭もある身だ。2週間後には俺のバンドのライブもある。大変な事になる前に逃げ出したいのが本音だった。でももうそれも叶わないだろう。あとは何事もなくすんなりと事が終わるのを祈るしかない。