goo blog サービス終了のお知らせ 

常識や空気に反して

学校やマスコミは本当のことを伝えないことが多すぎます

体操マット逆立ち事件 ① 主任検察官は11年後にみっともない捜査だったと吐き捨てた問題尋問

2016-09-11 14:04:58 | 体操マット逆立ち事故

小さな町(山形県新庄市)で、警察が中学生を夜中につぎつぎに呼び出して尋問したから、

翌朝は町中が蜂の巣をつついた状態になり、
冤罪でもその強烈な第一印象がこびりつき、
訂正記事を載せても先入観は消えず、
いまだに誹謗中傷のFaxやメールなどでの嫌がらせが続いています。



《 作った筋書きに合うように自白を強要する警察 》 
 無実の市民を誤って容疑者と公表した後に犯人でない証拠・物証が出てきた場合、
誤りを認める勇気あるまともな責任者がいれば別だが、
証拠がなくても自白調書で有罪にでき、
起訴有罪率が99%以上にもなる日本の司法では、
警察の面子や成績を重んじてか
大概の場合は無実の市民を犯人にしたまま、冤罪にしても平気です。

 冤罪と分かっても組織を守るためにはあらゆる手練手管を用いるから、
犯人に仕立て上げられても大概の人は
警察の作ったありもしない筋書きの自白に追い込まれます。
 裁判官も冤罪にしても責任取る必要もなく、
あえて同じ司法仲間の失敗を明かすには相当の勇気が要り、
無罪にはとてもできないことは、
「99%以上の起訴有罪率や冤罪が山ほど」と言う実態が示しています。 

 無実なら自白しないはずだ・・こう思うのが普通です。
しかし、頭が朦朧となるまで肉体的精神的に痛めつける「治安維持法式尋問」を用いると、
何度言っても認めてくれない警察官とは違って裁判官なら・・
との無駄な期待が生じて、
ひとまずは作られた偽りの自白調書に捺印してしまう・・・
これも普通にあることです。  

 17年間の服役後、再審で菅谷さんの無罪が証明された足利事件
厚生省の村木厚子局長が一年以上も留置所に入れられ
犯人扱いされた郵政不正事件などから、
警察が勝手に書いた筋書き通りに嘘の自白をさせるという、
かねてからの噂が実証されました。 

 《 まともな警察官は冷遇されないか 》
 山形県でも新庄市の明倫中学校でのマット事故も
警察により簀す巻き事件にされ、
やりもしないのにやったと偽りの自白をさせる「治安維持法的捜査方法」が
学校からスタートしました。
 しかし、事故か事件か、
署内ではかなり激しい論議があったと伝聞されているし、
事故を冤罪にした主任担当官は米沢警察署長に昇進しているので、
このまままではあくどい自白強制誘導尋問が受け継がれ、
まともな捜査を主張するよりおかしなことでも上司に逆らわない方がいい
とする署内風習が醸成され、
証拠を地道に積み重ねるまともな警察官が冷遇されるのではないか、
と言う点からも皆さんに考えてほしく、ここに記しておきます。           

《 なぜか食い違いの通報が・・ 》
1993年1月13日、午後7時30分頃、
1年生のY・K君のお母さんから
「6時に帰宅予定の子どもがまだ帰らない」旨の電話がかかってきて、
残っていた男先生と生徒数人で探し始めました。
 
 すると、体育館にY・K君のかばんを見つけ、
更に2人の生徒が運動用具室の扉を開けると、
巻いてしまってあった体操マット中から足が出でいるのを見つけ、
「アッ、居た居た・・」との叫びに先生が飛んで来て大慌てで、
ぐったりとして逆立ち状態になっているY・K君を引き上げ、
生徒が職員室に走り、 (画像をクリックすると拡大します)
居残って居たもう1人の女先生が消防署に8時15分に電話し、
救急車が駆けつけて来た8時20分には心拍停止の状態で、
搬送した病院で8時30分に死亡が確認されたが、
なぜか医師の診断は「両手足に縛られた痕があり」と表現していました。   

 それはおそらく、女先生がお母さんには消防署通報とは違って
「・・逆さまに吊るされた状態で見つかりました・・」と
事故ではなく事件と勘違いするような事実に反する電話をしていて、
それが回り伝わって医師の判断を誤らせ、
警察でも事故を事件にする遠因の契機となったのではないかと思います。 

《 握りつぶした解剖結果 》
 警察は午後9時20分、僅か1時間もせぬうち、
当日体育館を使った生徒らを呼び出して尋問する強制捜査にすると決めています。
 
 しかし、運動用具倉庫の天上には吊るすものが無く、
縛り吊るしたとするならその紐もロープも見つからず、
更に医師の所見だけでは分らないので明日解剖することにしておきながら、
僅か60分後、すぐに強制捜査までやるからには
事故ではなく事件と看做して、犯人探しに取り掛かったものと思われます。  
 しかし素人から見れば、
解剖の結果を待たずに他殺と見なしたということは、
はじめから証拠は不要、自白調書だけでやる決意をした、
としか見えません。
 
 いや、それどころか勝手に描いた筋書き通りの自白に誘導すればよい、
筋書きを否定するような物証など要らない、
と思えてなりません。
 実際、採取した毛髪も指紋も照合結果は公表せず、
翌日の[他殺を示す積極的所見は無い]旨の解剖結果も
握り潰しているのですから・・。 

《 トップに逆らえなかったのではないいか 》

 これでは国民の安心を脅かす警察になりかねないので、
警察官らしきまっとうな警察官たちが異を唱えるはずで、
「激しい議論があった」と言われる通りだと思うが、
地道な捜査を主張する大勢を権力のあるトップが押し切った
のではないかと思います。 
 「新庄警察署主体ではなく、山形県管内での重大事件として
県警本部の要員が中心の捜査体制を組んだ」とも言われているから、
おそらく、中央から派遣され地方の本部長のキャリアを積んで
中央に戻るエリートコースの高級官僚警察官が、
山形県警のトップとして、
教科書通りに証拠を積み重ねて捜査しながら育った
まともな現場の署長や警察官たちの主張を抑えて押し切った
のではないか。
 厳しい競争教育で他人を蹴落として来た高級官僚なら、
自分の成績のために弱者を平気で踏み台にしてもおかしくなく、
事故にしたら成績にはならず、
少年ならたやすくウソの自白に追い込めるし、
事件にされて地域社会がかき乱されても引き揚げてしまうのですから、
穏やかな山形県人をダシにしたのかもしれません。

 いずれにせよ、事故かもしれないという視点を完全に排除し
強制的誘導尋問でありもしない偽りの自白をさせ、
有罪に持ち込みました。
 戦前は気に食わない者を狙い撃ちしてありもしない事件を作って
治安維持法違反との言いがかりで逮捕したが、
今もやりもしないことを嘘の自白をさせる点では同じで、
この場合、そうできる子どもたちの事故がたまたま起きたからそうしたのでしょう。

《 真夜中に女子を呼び出す異常 》
 捜査はその日部活で体育館を使った卓球部とバトミントン部の
全員23名が、真夜中の0時までに警察から学校に呼び出され、
ほとんどが立会人無しで30分~120分間、
事情聴取という名の取調べから始まりました。
3時ごろまで帰れない生徒もいました。
翌朝の町の蜂の巣状態をご想像下さい。 

 翌14日の解剖では、
「自殺か他殺かは死体のみからは不明であるが、
他殺を疑わせる積極的所見は無い」ことが明らかになったが、
面子或いは成績のためか不利な解剖結果をにぎり潰し、
犯人探しから犯人作りに覚悟したようだが、
詳しくは 高島昭著「明倫中事件を問いなおす」を見ていただくか、 
 「山形明倫中裁判・再審を支援する会」 090―5848―2278からの
ニュースレターを見ていただくかしてください。

 確かに亡くなった1年生のY・K君は日頃からイジメにあっており、
「逆さに入ってみろ。入れないのか、この意気地なし目が」
と脅されています。
 自分から入ったとしても、イジメが遠因には変わりないが、
直接押し込んではおらず、
その夜事情聴取された部員らの供述では、
誰も誰かが押し込んだところを見ておらず、
入っていたと知っていた者もいません。

 イジメを問題にすべきだが、イジメが遠因とはいえ、
知らぬ間に入って死んだことにを犯行にするのは、
筋違いではひどすぎます。
 それとも彼らは嘘を言っているのか、彼らの供述を調べなおす必要があるが、
これも先の「明倫中事件を問いなおす」にゆだね、
ここでは被疑者にされた少年らが後日、記したものを寄せ集めて、
捜査の断片が判るようにしておきます。

《 ガラス細工を扱うように、少年たちの人権を尊重した訊問と言うが 》
「・・『バカヤロー、そんなことを聞いているんじゃないんだ・・』と
机を叩きながら怒鳴られた。
自分が犯人にされている!、
目の前が真っ暗になりました。
それから1時間ほど同じ話の繰り返しが続いたでしょうか。
狭い取調室の圧迫感、
怒鳴られ続ける恐怖、刑事が発する乱暴な言葉、叫びまくり
怒鳴り散らされ『家に帰さないからね』・・
疲れきって親に会いたい一心の子どもには何よりの脅しでした・・」

「・・・『お前は、それでも人間か』『お前の目は腐っている!』『その顔は何だ!本官は経験しているから分る。その顔は犯人の顔だ!』
泣き面らの面前で容赦なく薄汚くののしった・・
『嘘つくな!お前のは嘘の涙だ!』灰皿を床に叩きつけ威嚇した。
・・取調べが5時間ほど経過していた頃
もう一人取調官が部屋に入ってくるなり
『有力な証言を得た!これからは重要容疑者として取り調べる。調べはきつくなるぞ!』・・
隣の部屋からも叫ばれているのが聞こえた・・
これからどうされるのかと言う不安と恐ろしさで泣きっぱなしだった。
風邪を引いたのか寒気がしたのと取調べの不安で
夜はほとんど寝ていなかったので身体がだるかったが
何を言っても信じてくれないことが分かり、
認めたら楽になれるのかなと思うようになって、
家に帰りたいとしか思い浮かばなくなってきた、
一人でも怖いのに、もう一人の警察官が取り調べに着き、
2日続けての長い取調べに頭が朦朧として
その場を逃れたい思いしかしなかった、

悔しかったけどどうにもならない、認めてしまう・・・」

 ・・法律については何の知識もありませんでした。
私たちは警察がウソをつくはずがない。裁判所が間違うはずがない。
そう信じていました。でも違っていた。
 警察の言うことは絶対だと盲信していたのです。
弁護士さんに会うまではどうすることもできず、
ただただ警察の言いなりになるしかなかった・・・・」

(このように追い込むのが戦前と断絶していない日本の尋問方法)
( 下線のように他人の供述をもとに追及するのだが、安倍政権で、
警察に有利な他人の供述で自分の刑が軽くなるように司法取引が改悪されました。
 ウソで他人を売って、それを貫けば、自分が処罰されないってことであれば必死に
頑張って罪を逃れようとする虚偽証言者は出るが、
どうしても真実しか言わず「ウソの自白強要」を強固にこばむ被疑者をせめ立てるには絶好の材料になります。
「お前の知人が証言しているのだから…」と、売った知人のウソの供述で本人の事実の証言を絶対認めさえすればいいのだから…。)

 以上は少年たちが後日つづったものからの抜書きを寄せ集めたものだが、主任検察官は11年後にみっともない捜査だったと吐き捨てた不十分な問題捜査( ③で後述 )でしたが、

初日から女子生徒らを真夜中に呼び出したり、
立会人もつけず、後日には5時間も取り調べ続けたり、
解剖報告は握り潰しているのに、
記者会見では
『ガラス細工を扱うように、少年たちの人権を尊重して・・・』
と言っています。
 この嘘が警察はウソで固めて起訴したことを物語っており、
取調べは偽りの自白を引き出すための『治安維持法的人権無視尋問』を駆使した、と言っていいと思います。
 それでも、やっていないのに自白させられることなどありえない
と思うなら、
戦後最大の冤罪事件を映画化した、山本薩夫監督の「松川事件」(主任取調官は元特高です。冤罪作りの功績でか警視総監にまで昇進しています)を見れば、
「百聞一見・・」分かり易いので是非ご覧願います。

 以上、「マット逆立ち事件は事故ではないのか ①」は終わり。続きの②はここを!


体操マット逆立ち事件 ② 煽情的誤報が尾を引く

2016-09-11 13:50:36 | 体操マット逆立ち事故

《 国策弁護人さえ無罪・冤罪を確信した 》  
 その後、国選弁護人に吉村和彦弁護士がつきました。
彼は国選弁護人でありながら起訴の異常性を見抜き、無罪を確信して弁護に努めたが、
山形地裁での少年らの無罪判決を聞くことなく、45歳の若さで無念の病死をしてしまいました。

 その奥さんが吉村美栄子山形県知事で、無罪を見抜いて闘ったことを誇りにしていると思うが、追悼集「虎落笛」を綴っています。(山形が誇る米 「つや姫」宣伝用に扮した知事↖。画像クリックでかくだいします)
 その中で・・「本件事件は明確な物証が無かったこと、中学1年生から3年生までの少年達の供述のみが手がかりになっていることが最大の特徴である。少年たちは捜査段階で全員自白している。又、少年らの関与を裏付ける目撃少年らの調書もそろっていた。
 しかるに、(少年)審判では結果的に7少年全員が非行事実を否認し、目撃少年らも員面(警察調書)と検面(検察調書)とで異なる供述をした。 その過程の中で、ほとんどの少年らが警察官から強圧的な取調べを受けたと述べている。しかも保護者の立会いがまったくといってよい程確保されていなかった。
 基本的な防御能力に欠ける少年の取調べという面で、基本的に配慮が欠けていたという外はない。
14才の少年3名を身柄拘束したことも極めて異例なことである。Aは代用監獄に留置された。これも極めて異例のことである。 年端も行かぬ少年を身柄拘束し、強圧的な取調べを行ったことに対し、怒りを禁じえない」と述べています。  

 しかし、警察・検察は7人の犯行と看做して、14才以上の3人を山形地裁に、14才以下の4人を山形家裁に送ります。
 地裁では自白調書の信頼性を認めず、当時はマットに逆さまに入る遊びも行われており、(逆立ちで入ったら出られず事故死します。絶対単独では検証しないで下さい)事件性すら認定できないとして無罪にしたが、家庭裁判所では有罪にしました。
 しかも、仙台高裁では7人全員の犯行と認定し、最高裁でも上告棄却で有罪が確定しました。
 当然少年らは再審を請求するが少年法には再審の道がなく、これを契機に再審の道を開く法改正が成されました。にもかかわらず、改正以後の事件にしか適用しない改正にしたから、少年らには適用できず、再審の道が閉ざされたままです。

 これは「法の下での平等」という民主主義の精神に反するからと、更なる法改正で無実の罪を晴らそうと、支援者と共に少年らは長い闘いを続けています。
 しかし、簀す巻きという最初のセンセーショナルな報道が頭から離れず、未だにFax・電話・ネットなど、姿が見えないイヤガラセが続いています。
    
 ブッシュ大統領は後日「9・11は結局、誰の犯行は分らなかった」と発表しているが、アルカイダがやったと思っている人の方が圧倒的。最初のセンセーショナルな一撃はなかなか消えません。

なお、7人は同じグループ同士ではありません。友人として当日一緒に行動していた2人のうち、社会的に弱い家庭の生徒だけが犯人にされているのも異常です。それなのに仙台高裁の判決では七7人まとめて有罪にしたから、「みんなでいじめて・・・・」との初回報道での誤解が定着して、未だに市民は誤解しています。  
 以上が、事件にされた概要です。ついでながら、一般論を次の③に記しておきます。