のり丸が今、試験勉強をしとる。
ハッキリ言って、ものすごく迷惑じゃ。
ハッキリ言って、ものすごく迷惑じゃ。
のり丸の勉強方法は一言でいうと「うるさい」。
のり丸は(姿の見えない)透明な誰かに向かって「授業(説明)をする」というやり方で記憶を強固にしておる。
(人には見せられない姿じゃの)
「自分が把握していないことは人に教えることはできない」という原理を応用しとるらしいが…。
「ここまでで何か質問はありますか?…では、そこのロミさん」
(やめてけれ)
【逃げるに限る】
すたこらサッサとウチは逃げていく。
【ん。窓の外には…】
【窓のすぐ側まで近づくこともあるカラス】
このカラス、ウチが外に出れないことを知っている上で、ウチをおちょくっている。
「ぐぐぐぐぐぐ…うるるるるる…んけけけけけけ……」
カラスを見つけるとウチの喉から変な音が出る。
「ねぇ、のり丸、ちょっとお願いがあるんやけど」
ある日、知人の舞さん(仮名)が唐突にのり丸に言った。
「太郎(仮名)の数学を見てやってくれへん?」
太郎というのは舞さんの息子で、不登校気味の中三じゃ。
「えぇーっ…いやだよ。無理だよ。そもそも自分がバカだったのに人に教えられるわけないよ」
のり丸の率直な気持ちである。
「だからよ。のり丸がバカだったのがいいんや。できない子がどこでつまずくか、すぐにわかるやろ?」
舞さんが言うには、何度か優秀な大学生の家庭教師を雇ったけれど、全員太郎と合わなかったらしい。
そんなこんなで太郎の家庭教師?を始めたのり丸じゃったが、ひどい先生じゃった。
まず太郎に薄っぺらい「自由自在中学数学問題集」を与え、「これだけを完璧にすればいいからな」と言う。
そして自分は「わからんところあったら聞いて」と言いながら、太郎のベットに寝転がってマンガを読む。
ちょうどヤングジャンプで『ゴールデンカムイ』が連載を始めた頃じゃ。
「ここわからん…」
と太郎が言えば、のり丸は毎回のように変な図を描いて説明する。
(変な図の例:マイナス×マイナスがプラスになる図。)
🌓マイナスを半月に例え、🌕プラスを満月に例える。
🌓×🌓=🌕
🌕×🌕=🌕
🌓×🌓×🌓=🌓
「それ、全くつじつまが合ってないけど。ただのイメージで捉えろってこと?」
と太郎に言われる。
「んじゃ、太郎だったらどう説明する?」
と聞くと、グラフを書いてマイナスがこう移動するから、こっちになっていく、などと言う。
「太郎、めちゃくちゃ説明うまいな~」
どうやら太郎は原理をわかっていたようじゃ。
いつもすごくいい所まで解いているが、最後ら辺でつまづいていたようじゃ。
もともと自力でクリアできる能力を持っておったらしい。
のり丸がしていたことは、太郎の部屋でマンガを読んだり、寝たり、おやつを食べたりしながら、
太郎が問題を解くと「(どういう風に解いたか)説明して」と言葉をかけていただけじゃ。
太郎はほぼ自力で成績がアップした。
のり丸はその時の経験から、自分が勉強する時は「説明する」ようになったのじゃ。
まぁ、だれも聞いてないのじゃが…。
【隙間にネズミを置かれると】
【狩猟本能が刺激される】
【ウチも単純じゃの】
【それにしても、今日は特にのり丸がうっとおしかったの~】
【…やれやれな一日じゃったわい。(トイレ初公開)】
じゃあ、またの。