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「親があなたを忘れる日」を乗り越えるために

2022-02-13 15:30:00 | 日記
下記の記事は日経ビジネス様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

施設に入ったお母さんとコロナ禍でしばらく会えず、久しぶりに顔を見せたら「あんた誰?」と言われ、お仕事に支障を来すまでに落ち込んでしまった松浦さん。
私は「松浦さんでさえも、そう思ってしまうのか……」と、考え込んでしまいました。
松浦さんが自宅での母親の介護体験を赤裸々につづった『母さん、ごめん。』において、認知症になった母親に対して、さまざまな葛藤を抱えながらトライ&エラーを繰り返し、受け入れていく様子が描かれていました。
以前、こちらの連載でも松浦さんと対談をさせていただきましたが(「人生の目的は『親の介護』。それでいいのか。」)、母親の介護によるさまざまな経験から、介護に対して客観的な視点もおありでした。
その松浦さんでさえも(何度もまな板に載せてしまいます、「松浦さん、ごめんなさい。」)、グループホームに入所している母親と、コロナ禍の影響で久々の面会となったとき「あんた誰?」と言われ、ショックを受けているのです。
でも、よく考えればそれが普通の人の正常な反応です。
実際に、自分が相談を受けてきた人の多くが、親に忘れられることへの恐怖や、忘れられた悲しみを打ち明けてくださいました。
というわけで、今回は認知症を患った親を持つ子どもが直面する可能性が高い「親が子どものことを忘れてしまう」という問題について、みなさんと考えていければと思います。
覚悟をしていても、なお
松浦さんは母親が認知症だと宣告されたときから、覚悟していたようですが、実際に「あんた誰?」と言われて、やはり強いショックを受けました。特に一生懸命に親の介護をしてきた方ほど、ダメージを受けてしまう傾向が強いです。
それは親子という関係性ゆえ、当然のこと。
一方で、冷たい言い方ですがどんなに子どもが嘆いても、親の認知症が治るわけではありません。認知症の親からの「あんた誰?」ショックから救ってくれる、いや、救うべき役目を担っているのも介護のプロの仕事だと私は考えています。
どんな状況においても、介護で一番に考えるべきは「認知症の親が穏やかな気持ちであること」。でも、ショックを受けた子どもがすぐに、それを考えることは不可能に近い。
介護のプロは、近くで親のケアをしている立場から、「今の親御さんの様子はこうで、最近はこういう生活を送っている」ということを説明し、家族が「今はそういう状態になっているのか」と理解できるよう力添えします。これによって、「あんた誰?」ショックは少しずつでも緩和されるのです。
私も現場で働いていたとき、認知症を発症した入所者のご家族に“今の状態”を細かくお伝えしていました。松浦さんの記事にも、施設のスタッフから今の母親の様子を聞く場面があり、松浦さんとスタッフとの信頼関係を見ることができます。
スタッフは松浦さんのお母さんが、結婚前の実家で暮らしていたころの状態に戻っていることを教えてくれました。それを受けて松浦さんが「意識が少女時代に戻っていたら『子どもなんか産んでいない。結婚なんてしてない』、だから自分が誰か分からないというのももっともだ。」と、少しずつ客観的にものを考えていく様子がうかがえます。
少女時代に戻ることで、今の母親が穏やかな気持ちでいられるのならば、と考えた松浦さんは、母親の当時の話をスタッフに伝えました。スタッフはそれをもとに今後の接し方を考えることができ、お母さんはさらに心穏やかに過ごすことができるはずです。
見事な対応だと思います。
でも
「私が介護しているのに!」
「こんなに心配しているのに!」
「老人ホームの費用は私が支払っているのに!」
「それなのに、自分は子どものことを忘れているなんて!」
と、理不尽に思われる方もいるかもしれません。
気持ちは分かります。でも、認知症の親にその怒りをぶつけたところで、親は「知らない人(本当は子ども)に、なぜ、怒られなければならないのか!?」と不安になり、認知症による症状が強くなってしまうこともあります。
自分が覚えていることが大事。とはいえ……。
39歳で若年性認知症と診断された丹野さんという男性がいらっしゃいます。以前、私が彼の講演を聞いた際に、こんなお話を伺いました。
「僕が友人たちのことを忘れてしまっても、友人たちが僕のことを覚えてくれていればいい。だから、僕は認知症になってみんなを忘れてしまっても怖くない」
私たちでは計り知ることができない混乱やつらさが、丹野さんにはおありだと思います。それでも「周りの人が自分を覚えてくれていることで、自分の記憶の代替えになってもらえる安心感」によって、心穏やかに過ごされていると感じました。
何が言いたいのかというと、認知症の親に自分の記憶を保ってもらうことに固執するよりも、自分が親との記憶を持ち続けていることのほうが大切ではないか、ということです。
それこそが認知症という病気を理解することに繋がり、認知症の人にとって究極の支援につながっていくのです。
よくある話なのですが、認知症の親が施設に入所したあとに「自分のことを忘れられては大変だ」と、面会の頻度を上げる方がいらっしゃいます。
でも、面会の回数を増やせば忘れないかといえばそうではないのです。
また、逆の話で、「忘れられてしまったのならば、もう、面会に行っても仕方がない」と来訪頻度が激減するケースもあります。
繰り返しになりますが、どちらも気持ちはよく理解できます。そして、どちらにしても、自分の心の中の「子どもとして覚えていてほしい」という気持ちが、逆にあなたをつらくしていることにも、気付いていただけたら、と思います。
子どもとして願うべきは親の平穏な生活。
であれば、いずれにしても「自分が親の記憶をしっかり持ち続けていればいい」。
そうはいっても自分の気持ちが波立つことはあるはずです。そのときにしっかり支えてもらうためには、介護のプロとの関係性をしっかり築いていくことが極めて重要になります。
自分の気持ちを介護スタッフと共有しましょう
どうか、気持ちをシフトチェンジしてください。
支える側のスタッフにとっても、入所者さんとご家族との関係性を把握しておくことはとても重要です。例えばスタッフが「この方は親御さんととても仲が良かったから、相当なショックを受けるだろうな」と認識していれば、自然と対応は丁寧になるので、ショックを受けたとしても、ご家族の心の癒え方が違ってきます。
家族の機微に触れる情報、悩みや苦しみを、心を開いてスタッフに打ち明けることができれば、考えたくない事態に直面しても、「ご家族はおつらいでしょう」とスタッフが理解し、共に支えてくれます。
ただ、社会的に立場のある方であればあるほど、そういった心の機微を表には出さす、第三者に隠す傾向があります。そのため、スタッフ側は「ご家族に対して、どういう声かけをすればいいのか……」とものすごく緊張することになります。
親があなたのことを忘れていようがいまいが、ショックを受けているあなたのことも含めてフォローできるような体制をプロと一緒につくっていくほうが、みんなが心穏やかにいることができるからです。
例えばスタッフから「今日はお母様の機嫌が良いので、面会にいらしたらお話ができるかもしれませんよ」「日中は息子さんの自慢話をされるときもありますよ」などと事前に教えてもらえれば、心穏やかに「自分を忘れた親」と接することができるのではないでしょうか。間にプロに入ってもらうことで、認知症の親と上手に心の距離を取っていくことが必要なのです。
間にプロが入ることで、徐々にでもショックは緩和されていきます。自分を忘れたり、疑ったりする親を一緒に支え、親が忘れてしまった記憶を共有する介護のプロと確かな信頼関係を築いていく。それができていれば、多くの人が恐れているであろう、いつかやってくる「その日」を、上手に乗り越えていけるのではないでしょうか。
川内 潤 他1名
NPO法人「となりのかいご」代表

追記:別件ですが日刊薬業に下記の記事が出ていました。
【中医協】湿布薬処方上限、63枚に引き下げ 22年度診療報酬改定を答申(現在は70枚です)


団塊ジュニアが直面する「親の75歳以降」4つの難題

2022-02-13 13:30:00 | 日記
下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

2022年は、戦後の「第1次ベビーブーム=団塊の世代」(1947~49年ごろに生まれた人々)と呼ばれる人々が、75歳の「後期高齢者」にさしかかってくる起点の年と言われる。
いわゆる「2025年問題」と呼ばれる現象で、2025年までに今後3年間で毎年200万人ずつ、ざっと607万人(総務省統計局、2020年10月現在)程度の人が後期高齢者になり、その人口が約2180万人に膨れ上がる。国民の4人に1人が75歳以上になる計算だ。
その団塊の世代は、これまでも日本の社会や経済にさまざまな影響を与えてきた。大学紛争に走ったかと思えば、社会人になってからはしっかりと会社人間となり、日本の高度経済成長時代を支えた。中年になって以降は「ニューファミリー」と呼ばれる新しい価値観を持った消費者として、広告やマーケティングのターゲットになってきた。
そんな人たちが後期高齢者になるにあたって、いま注目されているのは本当の意味での「老後」を迎えた彼らが、今後どんな影響をもたらすのか……、ということだ。
とりわけ、団塊の世代を親に持つ人たち、いわゆる第2次ベビーブーム世代=団塊ジュニア(1971~74年ごろに生まれた人々)が50歳前後にさしかかり、住居費や教育費の負担が重くのしかかってくる時期にさしかかってきている。団塊世代の親を持つ子どもたちの目線で、2025年問題を考えてみたい。
団塊の世代が抱えるリスクとは何か?
団塊の世代が本格的な老後を迎えるにあたって、いくつか指摘されているリスクがある。整理の意味も込めて再確認しておこう。
1 医療費の増大    厚生労働省の発表によると、介護を受けたり寝たきりになったりせずに日常生活を送れる期間を示す「健康寿命」は、2019年現在で男性は「72.68歳」、女性は「75.38歳」だそうだ。健康寿命は3年ごとに数値が発表されているが、まさに団塊の世代の年齢と符合している。団塊世代の男性の健康寿命はすでに平均値に達しており、女性も今年から健康寿命に達しようとしている。
今後は彼らが使う医療費が心配になってくる。75歳以上の後期高齢者1人当たりの年間医療費は92万円に達し、75歳未満の平均値21万9000円の約4.2倍にも達する(厚生労働省「令和2年度 医療費の動向」より)。実際に、国民医療費は2019年度には44兆3895億円、人口1人当たり35万1800円。前年度に比べて9946億円増えており、団塊の世代が後期高齢者になることで、今後は年間で1兆円ずつ増加していくのではないかと予想されている。
高齢者の医療費は原則1割の自己負担だが、残りの費用は国や自治体の財源すなわち税金によってまかなわれている。医療費の保険給付金額は2025年には54兆円になると厚生労働省は試算しており、2018年よりも約10兆円以上増えると見込まれている。
言い換えれば、健康保険制度そのものの崩壊の危機につながる可能性もあるわけだが、こうした団塊世代の特異現象に対して政府はこれまでもさまざまな手を打ってきた。
たとえば、団塊世代が60歳を迎えて一斉に退職を開始してしまう、2007年問題に対しても、企業に定年退職の時期を60歳から65歳に延長するように求めた。政府が退職延長を打ちだしたことで、少なくとも2007年問題は「2012年問題」に置き換わることができ、大きな混乱を食い止めることができたと言われている。
一定以上の収入がある後期高齢者の窓口負担が増加
今回も、同様のことが考えられており、政府は今年10月から単身世帯で年収200万円以上、複数人世帯で年収合計320万円以上の後期高齢者は、医療費の窓口負担が現行の1割から2割に引き上げられることになっている。後期高齢者の約2割にあたる370万人がこの制度の適用になるが、施行後3年間は1カ月当たり最大3000円の負担になるように抑えられている。
団塊世代の当事者からすれば不公平感があるかもしれないが、65歳以上の高齢者が2040年には約4000万人に達するという「日本の将来推計人口」のシミュレーション(2017年の推計)を見ると、これもやむをえないはずだ。
2 公的介護システムの崩壊危機    医療費の負担も大きいが、75歳を超えて行くことで現実になるのが「介護問題」である。団塊世代を親に持つ世代にとっては、最も大きな問題になるかもしれない。
これまでの日本の介護システムは、ギリギリの状態が続いているものの何とかニーズに沿える行政サービスを提供してきたのではないか……。街の至るところに介護施設の建物があり、街中をヘルパーや搬送用の車が走っているのを見る機会が多くなり、介護への支援体制が整えられてきたことを実感できる。
しかし、現在でも自治体によっては、なかなか介護認定をしてもらえないケースが多く、要介護状態になっても介護施設に入れないと言う現実が待っている。今後は団塊世代が一斉に年齢を重ね、厚生労働省が発表している生命表を見てもわかるように、急速に老いて要介護状態になっていく。
ただ、団塊世代の特性として子どもには頼りたくない、と考えている人の割合が比較的、これまでの世代より高い傾向がある。内閣府が2012年に実施した「団塊世代の意識に関する調査」でも、「あなた自身が介護を必要になった場合、主に誰に介護を頼むつもりですか。また、頼んでいますか?」の問いに対して、次のような回答になっている。
「子どもには頼りたくない」という傾向が強い
●配偶者……40.7%、
●施設や病院等の職員・看護師等……18.7%
●ホームヘルパーや訪問看護師等……15.5%
●とくにいない……10.5%
●子ども……9.4%    要介護状態になっても子どもには負担をかけまいとする人の割合は約9割に達するわけだ。もっとも、有料老人ホームなどは少なくても月額20万~30万円超の経費が必要になっており、問題は年金給付金を頼りに生きている団塊世代が、金銭的に維持していけるかどうかだ。
退職金などの預貯金があるにしても、介護保険が出ている状況でも、大きな経済的負担になりやすい。ちなみに、介護保険制度を継続的に維持していくことを目指して、以前から年金受給者の介護保険料は年金給付金から直接天引きされる仕組みに変わっている。あらかじめ予定していた老後の資金計画に狂いが生じている人は少なくないはずだ。
いずれにしても、団塊世代が公的介護システムを頼りにできない状況になれば、その家族である子どもの世代=団塊ジュニアに頼るしかなくなる。
ちなみに介護保険というのは、65歳以上の「第1号被保険者」と45歳から64歳までの「第2号被保険者」で構成されており、要介護状態や要支援状態になれば保険金が給付されてさまざまなケアを受けられる仕組みだ。
2018年度末現在の数字では、第1号被保険者3525万人(65歳から74歳1730万人、75歳以上1796万人)、第2号被保険者は4192万人となっている。現在の要介護認定者数は、第1号被保険者では645万人、そのうち75歳以上は572万人に達している。
ちなみに、人口に対する要介護の認定率は75歳以上では32.2%(総務省統計局、人口推計および介護給付費等実態調査、2017年10月審査分)だが、85歳以上になると60.1%に上昇する。90-94歳では71.4%、95歳以上では92.8%に達する。年齢とともに確実に、要介護状態になるわけだ。
3 団塊世代が頼る公的年金はもつのか?    現在の団塊世代の収入の大半は、年金給付金に頼っていると言われる。年金給付金の具体的な金額は、厚生労働省「令和元年度(2018年)厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平均年金受給額は年齢別に見ると次のようになっている。(厚生年金保険の平均年金月額、基礎年金額を含む。令和元年度現在。カッコ内は国民年金の場合)。
・73歳……14万5367円(5万6522円)
・72歳…… 14万5757円(5万6716円)
・71歳…… 14万6568円(5万6902円)
・70歳…… 14万7292円(5万6947円)
・69歳……14万2764円(5万6870円)8割程度が年金で暮らしている
2012年に内閣府が行った前出の意識調査によると「団塊の世代の世帯の主な収入源」は次のようになっている。
・年金収入……53.4%
・給与所得……31.6%
・事業や不動産の収入……10.2%    ちょうど団塊の世代が65歳にさしかかった頃の調査であり、まだ働ける人が多かった時期に当たる。おそらく現在では給与所得の31.6%は、その多くが年金所得に置き換わっているはずだ。つまり8割程度の人が年金をメインの収入として暮らしていると考えていいだろう。
団塊の世代の大学進学率は、当時約17%程度。そういう意味では平均的に見て決して豊かな年金給付金をもらっているとは言いがたいものがある。それでも、日本の場合は高度成長期を支えた団塊の世代に対して企業年金等手厚い福祉が充実しており、単純にこの年金額だけで団塊の世代の家計を判断してはいけない。
50兆円とも70兆円とも言われてきた団塊の世代の退職金の存在もある。そもそも団塊の世代の退職金が、使われずに銀行に滞留しているのも現在の日本経済の個人消費の伸び悩みと関係しているという説もある。その一方で、財務省の「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(2018年5月)」によると、年金などを含めた「社会保障給付費」を全体で見ると、2018年度の121兆円から2025年度には最大で140兆6000億円程度になると推計されている。自己負担分が増えていくのは目に見えているわけだ。
いずれにしても、現在の日本の公的年金制度が破綻せずに維持できるかどうかは正直わからない。新型コロナウイルスの影響で、日本銀行は相変わらず量的緩和政策やマイナス金利政策を維持しており、今後年金制度を維持させていくことができるのかどうかも含めて、将来は極めて不透明だ。世界的には、インフレが大きな悩みの種になろうとしているが、日本の場合、インフレになっても金利を上げることができない社会構造になっており、インフレには弱い社会基盤になっている。
年金受給者にとって、インフレは最も恐れる事態と言える。インフレが当たり前になったとき、団塊の世代もまたその混乱に巻き込まれることは確実だ。
団塊ジュニアの未来を気にして滞留する70兆円?
4 団塊世代亡き後に押し寄せる相続問題?    団塊世代にはもう1つ大きな問題が残っている。彼らの子ども、いわゆる団塊ジュニアの存在である。
1990年代の不況期に青春時代を過ごした彼らは、フリーターやニートといった形で社会人にならざるをえなかった「就職氷河期世代」とも重なる。雇用者の4人に1人は非正社員と言う状況の中で、「下流社会世代」という言葉までが流行語となった。さらには、自立できずに親に依存して生きる「パラサイト・ジェネレーション」とも言われた。
つまり団塊世代の中には、50歳前後になって、いまなお自立できない子どもたちを抱えている世帯が少なからずあるのではないか。「8050問題」とも言われており、団塊世代の退職一時金が団塊ジュニアの未来を危惧して銀行に眠ったままとなって、日本の個人消費の伸びを抑圧していると言う分析もある。団塊世代を親に持つ世代にとっては、自分の親たちが今後歳を重ねていくにしたがって、これからは自分たちの自立も考えなければいけない人が、ある一定数に上るのではないか。
そんな状況の中で、最近クローズアップされつつあるのが、団塊世代が亡くなった後のリスクだ。日本の持ち家比率から考えると、団塊世代の8割程度は持ち家を持っている勘定になるが、これがまた大きなリスクになっていくと考えられる。これが第4のリスク「団塊世代の相続問題」である。
幸いなことに団塊の世代の大半は、相対的に豊かな人が多い。月々の年金は大した事はなくても、前述のように彼らは豊富な貯蓄を持っていることが多い。加えて不動産を抱えている人が多い。実際に、団塊世代の持ち家率は86.2%(出所:内閣府、2012年現在、以下同)であり、そのうち一戸建ては75.3%、分譲マンション等の集合住宅が10.9%となっている。まさに大半の人が家を持っていると思っていいだろう。
相続税のほかにも維持費用がかかる
ところが、この不動産が団塊ジュニアにとっては大きな重荷になる可能性があると指摘されている。とりわけ都心部に不動産を持っている人は、まず相続税の問題があり、さらにそのまま相続して保有する段階になったときには「固定資産税」や「都市計画税」が重くのしかかり、大きな負担になる可能性が出てくる。
マンションであれば、「管理費」や「修繕積立金」が月額数万円の単位でランニングコストとしてかかってくる。不動産にはランニングコストがつきものであり、極端なケースで言えば、たとえば温泉付きの別荘を持っている親がいるとしよう。その場合には温泉の管理費やメンテナンス費用などもかかってくる。しかも、保有している限りついて回るコストだ。
地方の別荘地の物件が、10万円とか20万円の激安価格でよく売り出されているが、それらの大半は温泉の管理費用などで毎月一定のコストを負担しなければならず、保有しているだけで大きな負担になるために、処分を急いでいると考えるべき物件なのである。
最大で70兆円ともいわれる団塊世代の預貯金をそのまま遺産として残してもらえれば、不動産に少々コストがかかっても問題はないのかもしれない。しかし、団塊の世代も長寿であることに変わりはない。
人口統計からみれば、団塊世代の場合、男性の8割、女性の9割は現在も健在だが、その数字は80歳代では男性の6割、90歳では2割、95歳では5%になると予想される。それまで子どもに頼らずに有料老人ホームなどに入居していた場合、団塊世代の現預金は大きく目減りしている可能性が高い。
そもそも親の住んでいる不動産を相続したとしても、首都圏の平均的な住居の場合、敷地面積が200平方メートル以下の部分の住宅用宅地について適用される「小規模住宅用地の特例措置」がある。この特例措置があったとしても、固定資産税と都市計画税で年間15万円から20万円程度は覚悟しなければならない。この特例措置では、200平方メートル以下の部分は固定資産税が課税標準の6分の1、200平方メートル超の部分は同3分の1に、都市計画税もそれぞれ3分の1、3分の2に軽減されるのだが、これが適用されなければその金額はさらに大きなものになる。
空き家として放置しておけない
さらに大変なのは、空き家として放置しておくわけにいかないということだ。一戸建てであれば庭の雑草駆除や庭木の剪定をしなければならないし、ネズミなどの小動物が住み着いて近隣に迷惑をかけるような状態になれば、駆除費用などもかかる。むろん、メンテナンスもしなければならない。
マンションの場合も、住んでいなかったとしても、毎月数万円程度の管理費や修繕積立金は負担しなければならない。賃貸住宅として貸し出せばいいと考えているかもしれないが、人口減少の波はこれからさらに進んでいくことになり、簡単に賃貸住宅として埋まると考えるのは甘い。よほど立地のいいところでないとなかなか難しい。また賃貸に出そうとすれば、リフォームなどにお金がかかる。
社会は、住宅余剰の時代にさしかかっており、団塊世代が残してくれる財産は、ひょっとしたら団塊ジュニアの負担にしかならない場合もあることを忘れないことだ。
ちなみに相続放棄をすればいいと思うかもしれないが、相続放棄は不動産だけ放棄するというわけにはいかない。現金などの財産も一緒に相続放棄しなければならない。預貯金だけ相続して不動産は放棄するというわけにはいかないことを覚悟しておくことだ。
対策としては、生前贈与して賃貸物件化しやすいようにあらかじめリフォームしておく、あるいは亡くなる前に現金化してしまう方法などがある。不動産の専門家に相談しておくことだ。
団塊の世代は、これまでもさまざまな場面で新しいトレンドや時代の変革を演出してきた。いわば時代の転換点の主役となってきた部分がある。本格的な老後を迎えてきた団塊世代がさまざまな仕組みを大きく転換させてしまうきっかけになってしまうかもしれない。
岩崎 博充 : 経済ジャーナリスト 

もの忘れやミスが増えたらMCIかも…認知症の手前で見つけ、進行遅らせる

2022-02-13 12:00:00 | 日記
下記の記事はヨミドクター様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

もの忘れが目立つ、仕事や家事でミスが増えた――。そんな記憶力や判断力の低下がみられても、日常生活への支障が少ない状態を「軽度認知障害(MCI)」と呼びます。この時点で生活習慣を見直すなどして、認知症への進行を遅らせる取り組みが始まっています。(影本菜穂子)
生活習慣見直し

MCIと認知症との境目は、自立して生活できるかどうかです。脳に異常なたんぱく質がたまるアルツハイマー病でも、ほぼ、これまで通りに過ごせている段階ならば、認知症ではなくMCIとされます。
国内では、2025年に約700万人が認知症になると推計され、MCIの人も同じ規模になるとみられています。金沢大の調査では90歳以上の約9割が、認知症かMCIでした。
国内外の研究によると、MCIの人は、年5~15%が認知症に進む一方、年16~41%は正常に戻ります。
九段坂病院(東京都)は昨年6月、MCIの人を対象とした「認知症予防外来」を始めました。脳神経内科医が診察し、認知機能検査や脳の画像検査、血液検査などで状態を確かめます。
MCIの原因は様々です。ビタミン不足や、甲状腺機能低下、正常圧水頭症などが見つかれば、薬や手術で、根本的な治療を行います。
予防外来では、禁煙や運動、バランスのとれた食事など生活習慣の見直しも助言します。英医学誌「ランセット」は、高齢者が抱える認知症のリスクのうち、喫煙や運動不足、糖尿病、社会的な孤立などは対策ができるとしています。
東京都の80歳代女性は、昨秋、予防外来を受診し、MCIの状態と診断されました。幻視が特徴のレビー小体型というタイプでした。もの忘れのほかに、壁のシミが虫に見えたり、窓の外から人がのぞいているように感じたりして、家に閉じこもりがちになっていました。「コーラスや体操教室に出かけ、生活にメリハリを付けるように心がけるなどして、幻視も減りました」と話します。
症状が軽い段階で医療機関を受診する人はまだ限られます。同病院副院長の山田正仁さん(脳神経内科)は、「認知症に進む手前で見つかれば、症状の改善や、進行の抑制が目指せます。おかしいと思ったら、早めに受診してほしい」と呼びかけます。
研究・薬開発進む

MCIの人を対象とした研究や薬の開発も進んでいます。アルツハイマー病では、進行を長期に遅らせることを狙う複数の薬が実用化に向けて大詰めを迎えています。
国立長寿医療研究センター(愛知県)などは、国内4か所の医療機関と「J―MINT」研究を始めています。MCIの約500人を対象に、運動、栄養指導、認知機能トレーニングを続けた効果を確かめます。
2015年に発表されたフィンランドの研究では、MCIの人に、定期的な運動やバランスの良い食事といった複数の対策を行えば、認知機能の低下を抑えられました。同センター病院副院長の桜井孝さんは「日本でも実証することで、MCIの人が長期的に取り組める根拠のある予防法を確立して、広めていきたい」と話しています。

愛子さまが“女王の時代”に続くか 欧州では女性君主が次々誕生へ

2022-02-13 11:00:00 | 日記
下記の記事は女性自身様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

史上最長にして、最強のイギリス君主。2月6日、エリザベス女王は即位70年を迎える。25歳で即位した女王は、イギリス史上最も長く君主の地位に就いていることになる。
 
10年前の在位60周年の際には、上皇ご夫妻がイギリスでの午餐会に招かれている。
 
「今年6月にはバッキンガム宮殿でコンサートが開催されるなど、さまざまな祝賀行事が予定されています。コロナ禍でなければ、天皇皇后両陛下がイギリスに招かれたはずですし、ひょっとすると愛子さまもご一緒に訪英されたかもしれません。おそらく今回は、天皇陛下の名前で祝電を送られることになると思われます」(皇室担当記者)
 
エリザベス女王は、誕生時から君主になることを期待されていたわけではない。伯父のエドワード8世が離婚経験を有するアメリカ人女性のウォリス・シンプソンと結婚するために王位を放棄したため、エリザベスの父・ジョージ6世が国王に。10歳で王位継承権者第1位となり、女王となる運命となったのだ。
 
「天皇陛下はエリザベス女王をはじめ、英国王室の方々とも何度もお会いしています。雅子さまも外務省職員時代に留学されていましたから、愛子さまはご両親からイギリスという国、そして英国王室についても詳しくお聞きになっているようです」(宮内庁関係者)
 
陛下はイギリス留学時に、女王の招待でスコットランドのバルモラル城を訪れ、チャールズ皇太子夫妻らとバーベキューやサケ釣りを楽しまれた。そのときのことを「自分で言うのもなんですが、家族の一員に加えてもらったような印象を受けた」と語られている。
 
「“運命のいたずら”ともいえる経緯で即位したエリザベス女王は、皇位継承問題で将来を左右される愛子さまの境遇と重なるところがあります。両陛下は愛子さまに、国民に尽くす姿勢をエリザベス女王から学んでほしいと思われているのではないでしょうか」(前出・宮内庁関係者)
 
1953年6月2日に行われた戴冠式で、エリザベス女王は次のようにスピーチした。
 
「命ある限り、私はこの身を捧げてあなた方の信頼に応えられるよう努めます」
 
その言葉どおり、エリザベス女王はイギリス国民に尽くしてきた。英国王室に詳しいジャーナリストの多賀幹子さんはこう語る。
 
「即位70年を迎えるエリザベス女王は、いくつもの戦争や王室スキャンダル、そしてコロナ禍を経験したにもかかわらず、今も国民から絶大なる信頼を得ています。それは、どんなときでも“国民ファースト”を貫いてきたからです。
 
このコロナ禍でも、先が見えない不安や恐怖に怯えていた国民に対して《We will meet again.(またお会いしましょう)》と、激励のメッセージを送ったことで、国民は高く評価しました。’20年4月、世界的な感染拡大が始まってすぐのことでした。常に国民の声にも耳を傾けていて、元首という公のお立場を強く自覚されています」
■愛子さまの同世代が開く“女王の時代”
 
愛子さまは高校2年生の夏にもイギリスに短期留学されているが、
 
「陛下と同じく、イギリスの大学院への留学もお考えかもしれません。そうなれば、エリザベス女王をはじめとする英国王室のメンバーとも親交を深めることになるでしょう」(前出・皇室担当記者)
 
日本では、皇位継承問題に関する議論が国会で進められることになっている。現在のところ天皇に即位できるのは“男系の男子”に限られているが、
 
「ヨーロッパで王室を持つ国は7カ国ありますが、イギリスのエリザベス女王やデンマークのマルグレーテ女王に続き、今後は愛子さまの同世代の王女方が次々に即位されていく『女王の時代』を迎えようとしています」(多賀さん)
 
日本でも、世論調査では女性天皇への賛成派が約8割。愛子さまに期待する声は日に日に大きくなっている。著書に『王室外交物語』(光文社)などがある関東学院大学教授の君塚直隆さんはこう語る。
 
「日本では女性に皇位継承権がないため、愛子さまが即位されるということに現実味を感じない国民もいるかもしれません。しかし、イギリスでは女性にも王位継承権がありますし、エリザベス女王以外にも、たとえば女王の長女であるアン王女は350以上の団体のパトロンを務めるなど、たいへん活躍しています。すでに世界では男女という性別にかかわらず、国王や王族が国民のために何をするのか、それこそが王室にとっていちばん大事なことになっているのです」
 
エリザベス女王は「人類の厳しい進化の中に、優しさと気遣いを注いできたのは女性たちです」と、女性たちを勇気づける発言も残している。“女王の教え”を胸に、愛子さまは道なき道を歩み続けるーー。


コロナボケ解消には「魚」がいい? 脳を活性化させる食事のツボ

2022-02-13 08:30:00 | 日記
下記の記事は日経グッディ様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

コロナ禍で毎日の通勤生活から週に数回のテレワーク業務へシフトしている企業も少なくない。そんな中、「久しぶりに会社で会う同僚は、コロナ前より太った」という「コロナ肥満」や「毎日通勤していたときよりも頭が回らない」「うっかりすることが増えた」と、「コロナボケ」を訴える声も耳にする。
どうやら社会的な刺激が減ると、体形や脳の働き方に影響が出るようだ。この「肥満対策」や「脳の活性対策」には運動はもちろんだが、「魚」と「咀嚼(そしゃく)」が大きなカギになるらしい。
健康ジャーナリスト・結城未来が「コロナボケ」や「コロナ肥満」などのコロナによるストレス解消のルールを咀嚼と栄養学の専門家・和洋女子大学の柳澤幸江教授に聞いた。
食欲の秋には、おいしい魚を食べて頭もリフレッシュ? 写真はイメージ=(C)Sergejs Belovs-123RF
「かむ」ことは脳の働きや肥満にも関係していた?!
体形の変化に食生活が大きく関わることはイメージできるが、果たして「食」を見直すことは「頭の働き」にも関係するのだろうか?
――柳澤教授「もちろんです。家時間が長引くと、どうしても『楽な食べ物』に偏りがちになるので、脳の働きにも影響が出てきてしまいます」
「楽な食べ物」とは、「作るのが楽」ということだろうか?
――柳澤教授「『楽に食べられる軟らかいもの』ということです。たとえば、脂肪の多い肉などには軟らかいものが多いですよね。軟らかい食べ物は舌触りがよく嗜好性も高い。しかも口に入れて簡単に飲み込めるので、楽にエネルギー補給ができる。気を付けていないと好んで口にしがちなのです。『肥満』はもちろん、『脳の活性』という点でも注意が必要です」
「軟らかいもの」といえば、「ご飯を炊くのが面倒臭い」「パッと食べられるから」と、パン食や麺類などですますこともある。それが脳の働きとどう関係するのだろう?
――柳澤教授「『咀嚼』つまり『かむ』ことが、脳の働きに関係してくるのです。たとえば歯の本数が少ない人ほど、記憶・計算・思考をつかさどる脳の部位の容積が加齢とともに小さくなりがちだということが分かっています。つまり、『かまない』生活を続けてしまうと、記憶力や思考力にも影響が出るリスクがあるため、『軟らかいもの』ばかりの食生活はお勧めできません」
そういえば、私は原稿執筆の際に「よくかむ」ものを口にする。特に堅めのせんべいは必需品。ガリガリとかむことで、考えがハッキリすることも少なくないように思う。
現在の食卓では、堅いものや、かみ切れない食品はだんだんと少なくなっているのかもしれない (c)bbtreesubmission-123RF
――柳澤教授「『かむ』行為が脳に良い影響を与えるというデータは数多く存在しています。かんでアゴをしっかりと動かすことで、三叉(さんさ)神経から脳へと信号が送られて脳は覚醒状態をキープ。血流量が増えて活性することも分かっています。逆に、緊張感は下がるというデータも出ています」
しっかりと「かむ」ことで、脳は不要な緊張を取り除いて働きやすい状態になるということらしい。車の運転中に眠気覚ましのガムをかむことも、同様の効果を生むようだ。つまり「コロナボケ」対策にも、「かむ」ことは大切なのだ。
――柳澤教授「『かむ』ことは『肥満』とも大きく関わります。食事時間が短い早食いの人ほど太りがち。時間をかけてよくかめば満腹中枢も刺激できますので、過剰に食べることなく肥満予防にもなります。唾液分泌量も増えますので、口の中をきれいに保つこともできますよ」
「よくかむ」ことは、「コロナ肥満」対策にもなるようだ。
――柳澤教授「義務感ではなく自然に『かむ』回数を増やすには、『おいしい』と思えること、『五感でしっかりと味わうこと』も忘れないでください。味や香り、食感をしっかりと感じる、つまり脳で認識することも、脳への刺激として重要とされています」
確かに、急いで食べる時には味わっていないうえに、「キチンとかんでいる」とは言い難い。「おいしい」と感じて味わいながら食べれば、いつの間にか「しっかりとかむ」ことにもつながるようだ。
――柳澤教授「おいしくかめるようにするには、単調ではなくさまざまな食感にするのもポイント。たとえば、とんかつにキャベツを添えるのも、食感の違うものがあることで飽きずにおいしく食べられる一例です」
「栄養」はもちろん、「食感」という点から毎日のメニューを見直すだけでも、おいしく「かむ」行為を増やして脳を活性化できそうだ。
魚介類でさまざまな食感を楽しむ
――柳澤教授「食材の中でも、特に『魚介類』はおすすめです。やわらかい刺し身から堅い干物、うなぎのようになめらかな皮からカリカリの骨、かむほどに味わい深い貝まで食感のバリエーションが実に豊富。栄養面でも『おいしくかむ』という点からも、注目すべき食材です」
周知のように、魚介類は非常に栄養価が高い。魚の脂質に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などのn-3(オメガ3)系多価不飽和脂肪酸が、胎児や子供の脳の発育に重要な役割を果たすことは明らかになっている。
肝臓がんや膵臓がん、男性の糖尿病予防、肥満の抑制、心臓や大動脈疾患リスクの低減等、期待されている効果も多い。
さらに、魚のたんぱく質は、大豆や乳たんぱく質と比較しても消化されやすく、人間が生きていくうえで必要な9種類の必須アミノ酸もバランスよく含む。
肝機能強化や視力回復効果が期待されているタウリンはイカやカキに多く、カルシウムの吸収を促進するビタミンDが豊富なサケ・マス・イワシ類、ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富な海藻類など、魚介類は健康維持に欠かせない食品だ。
水産物の摂取による健康効果に関する研究例
出典:「令和元年度水産白書」(農林水産省)
魚はおやつにも! 少しの工夫で無限の楽しみ方
「魚をしっかりとかんで食べる」ことで脳の活性と同時に、脳や体に良い栄養面もサポートできる。
まさに、「コロナボケ」「コロナ肥満」対策にピッタリだ。
――柳澤教授「魚介類は栄養価の高さに加えて、部位や調理法によってさまざまな食感を引きだせる『かむことも楽しめる』マルチ食材です。たとえば、朝食にご飯・海藻ミソ汁・焼き魚は、栄養面でもとてもバランスのとれた組み合わせ。さらに魚を「シシャモ」などにすれば、しっかりと『かむ』ことができます。もし、パンがお好みなら、ジャコにピザチーズを混ぜてトーストにのせて焼けば、ジャコの栄養とかみ応えに加えてチーズのカルシウムも加わった脳も体も喜びそうなパン食にできます。オリーブオイルを少しかけたり、黒コショウや七味唐辛子で味に刺激を加えたりしても、おいしいですよ」
ジャコのピザトースト
朝から「魚をしっかりとかんで食べる」ことから一日をスタートすれば、脳はフル回転し、一日の作業効率も上がりそうだ。ただ、家時間が増えると、三食以外にもついつい食べ物を口にしてしまいがち。間食時にもよい食べ方はないだろうか?
――柳澤教授「『かむ魚おやつ』として、丸ごと食べられる小アジや小イワシなどのみりん干し、小袋に入ったアーモンドやピーナツ入りの小魚などもお薦めですね。かみ応えがありますので少量でも満足感がありますし、たんぱく質やカルシウムも豊富。たとえば、イワシとアーモンドでしたら、10グラム当たりに含まれるたんぱく質は卵の1/2個分、カルシウムは牛乳約1/2本分。イワシには日本人に不足しがちなカルシウムの吸収率を高めてくれるビタミンDも多く含まれていますので、栄養面でも優等生といえます」
そういえば、私はしらす干しを買ってきて食事時に食べることが多い。時にはフライパンでカリカリにして、間食や原稿執筆時のお供にすることも少なくない。
――柳澤教授「良い食べ方ですね。小魚なら丸ごと栄養を取れますし、調理法によって食感を簡単に変えられます。イワシやアジなども骨を油でじっくり揚げると、とっても香ばしい骨せんべいになりますよ」
煮る、焼く、ご飯と共に食べるだけではもったいないくらい、魚介類には工夫次第で無限の楽しみ方がある。毎日の「食」をおいしくしながら脳の活性や栄養面をサポートできるのだから、あらためて見直す必要がありそうだ。
――柳澤教授「本来、魚は内臓から皮まで丸ごと食べられる無駄のない食材です。海に囲まれた日本は魚の食文化レベルも高い国。せっかく歴史や文化があるのですから、普段の食生活を見直して、魚介類でさまざまな食べ方を楽しんでいただきたいですね」
令和元年度の水産白書によると、魚介類をあまり購入しない理由は、「嫌い」ではなく、「肉類を家族が求めるから」「魚介類は価格が高いから」「調理が面倒だから」という理由が上位を占める。その一方で、「魚を食べる量や頻度を増やしたい」という回答が6割以上。魚料理が「好き」「やや好き」という回答は9割以上(*7)にもなる。
今年はサンマ、アジなどの一部の魚は不漁のため高めの価格だが、コロナ禍で営業自粛や時短営業を強いられた外食産業での使用量が減り良質な食材が手軽に手に入るチャンスの時でもある。
この機会においしい魚をしっかりとかんで味わい、楽しみながらコロナストレスを解消してはいかがだろうか。
<コロナボケ・コロナ肥満解消のルール>
ルール1
「しっかりとかめる」食品を食べるように心がける

ルール2
食感のバリエーションを増やしておいしさ感もアップ

ルール3
魚介類を工夫して食べることで「栄養もしっかりとかむこと」も一挙両得
*7 大日本水産会「2019年(令和元年)度水産物消費嗜好動向調査」。この調査は「令和元年度 水産白書」にも記載されている。
柳澤幸江(やなぎさわ ゆきえ)さん
和洋女子大学教授・和洋女子大学大学院 総合生活研究科研究科長・博士(栄養学)
女子栄養大学博士後期課程修了。2007年、和洋女子大学教授。2016年、和洋女子大学家政学部長。2020年、和洋女子大学大学院 総合生活研究科長。主な研究内容は、食品物性・テクスチャーと咀嚼性との関連。「かみごたえ早見表」を発表し、よくかんで食事をすることの大切さを栄養的視点・食事学的視点から研究。「育てようかむ力」(少年写真新聞社)など著書多数。