goo blog サービス終了のお知らせ 

皆さんのお役に立てば幸いです

色々の無料ホームページからお役に立て様な記事を探して掲載します。主に健康・くらしです。

「ウチには3000万円分の金塊がある」高齢者に資産状況をベラベラしゃべらせる詐欺犯の"巧妙な質問"

2022-02-05 15:30:00 | 日記
下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

今、自宅で保管している金(ゴールド)が特殊詐欺犯に狙われている。2022年1月、オレオレ詐欺で3000万円以上の価値がある金塊を詐取される事件が首都圏で続けて起きた。ルポライターの多田文明さんは「『息子』を名乗って高齢者宅に電話して、お金を振り込ませるのではなく、所有していた金塊を詐取するのです。過去には買わせた金塊の詐取もありました」。なぜ、そんなことが可能なのか――。


※写真はイメージです

2022年になって自宅の金塊を詐取される事件が続発
2022年に入って、「息子」を名乗ったオレオレ詐欺犯によって金塊を詐取される事件が続いています。こうした詐欺はいったん成功事例が生まれると、同様の手法がその後も繰り返し行われる傾向があります。読者の皆さんもオミクロン株感染防止同様に最大級の警戒をしてください。
今回の手口は具体的にはどんなものだったのでしょうか。
1月21日、千葉県に住む80代女性の自宅に、息子や医師などをかたった複数の人物から電話がかかり、その後、家にやってきた男性に金の延べ板10枚(計5kg)を渡してしまっています。3500万円相当といいますから、かなりの被害金額です。
10日ほど前にも都内に住む80代女性が、やはり息子をかたる人物からの電話を受けて、60万円と3000万円相当の計4個(約4kg)の金塊を詐取されています。
両事件とも、詐欺犯のアプローチは同じです。
「かばん(や携帯電話、財布)をなくしてしまった。すぐにお金が必要なので貸してほしい」
以前からオレオレ詐欺でよく使われる古典的なセリフであるにもかかわらず、なぜ、大事な金塊を差し出してしまったのか。
5年前と今回の金塊詐欺金の共通点・相違点
実は、この金塊詐欺は以前にもありました。約5年前にも、手口は若干違っているものの複数件、発生していました。
その時も、息子などの身内をかたった「オレオレ詐欺犯」からの電話がきっかけでした。
息子になりすました男は「かばんをなくした」と言い、「実は、そのなかに仕事の重要な契約書類が入っていた」と畳みかけます。そして「今日中に、支払い先へのお金を立て替えなければならないので、貸してほしい」と言います。
ここまでは定番のだましの手口ですが、ここからが違いました。
当時も、振り込め詐欺への警戒はかなり強まっていました。もしここで高齢者を銀行に行かせて、多額のお金を引き出させたとすれば、銀行側が「詐欺」を疑うことは間違いありません。そこで詐欺グループは一計を案じて、次のような手を打ってきました。
「銀行口座から、一度にたくさんのお金を下ろせないから、金(金塊)をまず買ってほしい」
そう高齢者に話したのです。都内に住む70代女性は、なりすました人物から指示された金の販売会社の銀行口座に5000万円以上を振り込みます。おそらく窓口でお金を引き出して振り込みを行ったと考えられますが、なぜ、容易にそれができてしまったのでしょうか。それは、この販売会社が詐欺グループとは何の関係もなかったと思われるからです。一般の会社との正規の取引であれば、よもや銀行もその背後に詐欺グループがいるとは想像もしなかったことでしょう。それに、資産防衛や投資目的のために、値上がりが期待できる金を購入する高齢者は少なくありません。


※写真はイメージです

その後、金の延べ板12本が自宅に届けられます。その頃を見計らって、詐欺グループは、「支払い先へのお金を払わないとクビになる」といった口実で高齢者を無理やり説得した宅配バイク便の業者を向かわせて、金塊をまんまとだまし取ることに成功したのです(その後、金の買い取り業者に転売したと思われる)。
当時、他にも同様の手口による被害者もいますが、やはり数百、数千万円の高額な被害になっています。
銀行側でも高額な引き出しであれば、詐欺との疑いを持てるでしょうが、このような金の購入をして、金品をだまし取る手口は知られておらず、しかも一般の会社へ正規の取り引き(振り込み)となれば、詐欺とは気づかなかったのも致し方ないといえます。まさに虚を衝く手口でした。
なぜ、資産状況をべらべら第三者にしゃべってしまったのか
今年に入って続発する金塊詐欺も、5年前に被害に遭った人たちと同じように「カバンをなくした」という電話がきっかけでした。しかし5年前と違う点は、タンス預金に何があるか、資産状況を聞き出したうえで、自宅にある金塊を持ち去る方法に変えてきていることです。
冒頭で触れた、1月上旬に現金60万円と3000万円相当の計4個の金塊を詐取された都内在住の80代女性。港区・麻布署によると、息子を名乗る男は「印鑑などが入ったかばんをなくしてしまい、お金をおろせないんだ」と言い、さらに「お金を貸してほしい」といった話をしてきたそうです。高齢女性は、その話を信じて「家に金の延べ棒がある」ことも伝えてしまいました。しかも、男は息子の名前だけでなく、職業についても知っており、それで女性も真実だと思ってしまったのでしょう。
これまで詐欺犯らがだまし取るものといえば、現金やキャッシュカードでしたが、そこに金塊も加わったといえます。


※写真はイメージです

その背景には、コロナ禍で金の価格が上昇し、それを購入する高齢者が増えたこと。さらに、詐欺グループも、金を高値で転売することができる状況があると踏んでの犯行ではないかと思われます。
歴史的にみて、詐欺は既存の手口に新たなものを加えアレンジしながら、常に“進化”しています。今回の手口も「カバンをなくした」という電話をかける従来のオレオレ詐欺をベースに「金塊詐取」というひねり技を混ぜて再登場させたということでしょう。
それにしても「なぜ古典的ともいえるオレオレ詐欺の手口でだまされてしまうのか」「なぜ資産状況をべらべら他人にしゃべったのか」と疑問に思う方が多いでしょう。
「役所の者」「NHK番組スタッフ」をかたり資産を把握する姑息な技
その理由のひとつに、詐欺の前触れ電話である、アポイント電話(アポ電)の巧妙化があります。電話をかけた相手に詐欺をしているとは思わせずに、役所などをかたり、情報をさりげなく抜き取っていく。このやり方が悪い意味で洗練化しているといえます。
以前に、NHKの番組アンケートを装った詐欺犯と思われる人物からのアポ電が報道されたことがありました。自称番組スタッフはまず「現在、お一人暮らしですか?」と問いかけます。そして「お買い物はお一人で行かれますか?」と尋ねて、銀行にお金を引き出しに行ける人物かを探ります。極めつきは、最後の質問です。
「(世の中の一般世帯の)預貯金平均額は600万円との数字が出ています。具体的な金額はお聞きするのは控えさせていただきますが、その金額より『上』か『下』かだけお答えください」
相手が「上です」と答えれば、「ありがとうございました」とさっと電話を切ります。番組アンケートの時間は全部で1分と少々です。すでにこの電話をかけているわけですから、名前、住所などの個人情報はある程度、わかっていることでしょう。そこに資産の状況が加わるわけです。


※写真はイメージです

今回の詐欺事件も、似たような洗練された聞き出しの手法によって金塊の有無を含む資産状況などの重要な個人情報の多くが丸裸にされてしまったなかで、被害者に遭った高齢の女性は相手が本当の息子であると信じてしまい、トラブルに巻き込まれた息子を救うためなら、と金塊を差し出してしまったのではないかと考えています。
被害を防ぐためには、やはり「電話の詐欺は電話で防ぐ」という発想が大事になります。
先日も80代女性の家に詐欺の電話がかかってきましたが、AI(人工知能)機能が付いた装置を電話機に取り付けていたために「詐欺」とのアラートが区役所職員のもとに伝わり110番をして、お金を受け取りにきた14歳の少年が警察に逮捕されています。まさに、電話機が本人も気づかない詐欺を見抜いたわけです。
振り込め詐欺の被害が深刻になってきた時から、玄関に鍵をかけるように「電話にも鍵をかける」ことが大事であると訴えてきました。しかし当時は、あまりこうした防犯意識は乏しく、留守番電話にして知らない電話番号には出ないくらいしか方法がありませんでした。しかし今は、多くの会社がさまざまな詐欺対策用の電話を発売しています。
筆者の親も、自宅に詐欺対策用電話をつけましたが、こちらが電話をかけると、その番号を認識して「文明さんです」といった音声が流れて、親に教えてくれるのです。呼び出し音がなるととっさに電話に出てしまう高齢者の方もいますので、こうした音声で相手が誰かを知らせる手立ても、不審な電話を取らないためにも有効だといえます。ぜひとも、詐欺対策用電話を設置していない方は、「電話の詐欺は電話で防ぐ」ためにも検討することをお勧めします。それがだまされないことにつながります。
このご時世、自宅に多額の現金を置いていなくても、金塊を置いている人は、案外多いかもしれません。くれぐれも警察、役所など何者かになりすましたアポ電を通じて資産状況を知られないようにしてください。これで個人情報を伝えてしまうと、詐欺に遭う確率はぐっと増してしまいます。約5年ぶりに手口を変えて連続して発生した金塊詐欺をぜひとも覚えておき、被害を防いでください。
筆者の思うところですが、金塊はそれなりに重量があり、それを受け取った詐欺犯が、長時間持って歩くことは疑われやすく、難しいかと思います。となれば、車内などで待っていた近くの人物に受け渡すなどしているのではないかと考えます。
そこで、見守る私たちも、不審な車両が高齢者宅の近くに止まっていないかを気にしてあげることも大事になります。
それに、なんとも世知辛い世の中ですが、重そうな袋を持参した見知らぬ人物が高齢宅から出てくれば、これまた詐欺かもしれないと疑うことも必要なのかもしれません。

  • 多田 文明(ただ・ふみあき)
  • ルポライター
  • 1965年生まれ。北海道旭川生まれ、仙台市出身。日本大学法学部卒業。雑誌『ダ・カーポ』にて「誘われてフラフラ」の連載を担当。2週間に一度は勧誘されるという経験を生かしてキャッチセールス評論家になる。これまでに街頭からのキャッチセールス、アポイントメントセールスなどへの潜入は100カ所以上。キャッチセールスのみならず、詐欺・悪質商法、ネットを通じたサイドビジネスに精通する。


仕事のできない人は「単純に考える」ができてない

2022-02-05 13:30:00 | 日記
下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

「オッカムのかみそり」という思考ツールをご存知でしょうか? 「ものごとを考える際、不必要な仮定をいくつも立てるべきではない」と述べた中世の論理学者ウィリアム・オッカムにちなんだ思考法で、思考をめぐらせるとき最も単純な解釈を選ぶべきというメソッドです。
この「シンプルな思考」を成功の要諦に挙げる成功者は多く、ウォール街で情報発信を続け支持を集めるシェーン・パリッシュ氏は「複雑な要素を削ぎ落としてこそ、最適解に近づく」と先人たちの頭の中を説きます。パリッシュ氏の著書『知の巨人たちの「考え方」を一冊で、一度に、一気に学びきる グレートメンタルモデル』より一部抜粋・再編集してお届けします。

IBMを救った意外すぎる社是
1990年代前半にルイス・ガースナーがIBMのCEOに就任したとき、同社は創業以来最悪ともいえる苦境にありました。多くのビジネス評論家からガースナーがトップとしてビジョンを示す声明を発表するよう求める声が上がります。どんなマジックを使ってガースナーはビッグ・ブルー(IBMの愛称)を救うのか、と。
それを受けたガースナーは次のように発言します。「素晴らしく優秀な人々が働くIBMという組織は、成功するための大胆なシナリオがあれば喜んだだろう。そのシナリオが知的で複雑なものになればなるほど、みながそれを気に入ったはずだ」
しかし、彼はシンプルなアプローチが最も効果的であることにも気づいていました。そこで彼が出した声明が、「今のIBMにとってもっとも必要ないものはビジョンだ」です。
IBMにとって本当に必要なのは、顧客にきちんとサービスを提供し、現在行っているビジネスの競争力を強化し、すでに利益を出している事業に注力すること。言ってみれば、「なりふり構わず、目の前のことに集中する」という宣言のもと、1990年代末までガースナーはIBMを牽引し、壮大なビジョンや大規模な技術変革を伴うことなくIBMを窮地から立て直すことに成功したのです。
私たちは、何かを解釈する際、ついつい不必要に複雑な考え方をしてしまいがちです。
夫の帰りが遅い。交通事故に遭っていたらどうしよう?
息子の身長の伸びが去年より1センチ少なかった。体のどこかおかしい?
つま先が痛い。骨肉腫?
こうした最悪のシナリオが当てはまる場合もありますが、夫は仕事が忙しくて帰れなかったり、あなたが子どもの身長測定をミスしていたり、靴がきつすぎる可能性のほうがはるかに高いのです。
要素が多いほど「不正確」になりやすい
自分の周りの出来事を解釈するとき、私たちはしばしば長い時間をかけてとても複雑なストーリーを考えだします。これは人間にとって一般的な傾向。そのため、できる限り単純な解釈を見つけてそれに従う「オッカムのかみそり」は、人間の思考につきまとう不必要な複雑さを回避し、より本質的なことに集中して考える優れた思考の指針です。
複雑な説明のほうが真実である可能性が低いのはなぜか? 数学的に考えてみましょう。
特定の現象に対して、いずれも同じくらい説得力がある2つの説明があるとします。片方が3つの要素から、もう片方が30個の要素から成る説明です。
各要素が99%の確率で正しい状態にある場合、1つ目の解釈が間違いである可能性はわずか3%。しかし、より複雑な2つ目の説明が間違いである可能性はその約9倍、26%になります。不確実な状況下では、より単純な説明のほうが信頼性が高いのです。
科学者のカール・セーガンは「ほぼすべてのことにおいて、単純で地味な解釈のほうが当てはまる傾向にある」と説きます。「ひまわりが空を横切っていく太陽を追うことでさえ、光屈性と植物ホルモンのことがわかるまでは奇跡にほかならなかった」と述べ、奇跡とされるような現象であっても、その背後にはシンプルなカラクリが働いているものだとしています。
ここで、複雑な解決策がうまく機能せず、反対にシンプルな解決策が効果的だった2つの実例を紹介しましょう。
ただ「ボール」を浮かべる水汚染対策
ロサンゼルスにある約4万平方メートルの広さを誇るアイヴァンホー貯水池は、60万人以上の住民に飲料水を供給する貴重な水源。そこに貯められた6000万ガロン近くの水は、一般的なやり方にしたがい、塩素で消毒されています。一方で、臭化物と呼ばれる化学物質が高濃度で含まれていて、塩素と臭化物が混ざり合って日光に当たると臭素酸塩と呼ばれる危険な発がん性物質が発生します。
ロサンゼルス市水道電力局(DWP)は、水源の臭素酸塩汚染を避けるため、貯水池の表面を覆う手段を必要としていました。しかし、会議でブレインストーミングを重ねた結果、4万平方メートルのシートを池に被せるか、巨大な開閉式ドームを建設して覆うという2つの実行不可能な解決策しか考え出せないでいました。
そんなあるとき、DWPの生物学者が「バードボール」の応用を提案します。バードボールとは、空港で滑走路近くに鳥が集まるのを防ぐ「水に浮かべるボール」です。工事も、建設資材も、労働力も、メンテナンスも不要で、費用はボール1つあたりわずか40セント(約44円)。
このアイデアが採用され、紫外線をカットする黒いボールが貯水池に浮かべられ、低コストかつ迅速に、深刻な事態につながる問題を解決することができたのです。
次の例は生死に直結する問題をシンプルな方法で解決した事例です。
1989年、インドのガンジス・デルタ地域でベンガルトラがおよそ60人の村人を殺害しました。送電線を巻きつけた人形にトラをおびき寄せ、電気ショックを与えて人間の住む場所から遠ざけようとするなど色々な方法を試しましたが、どれも効果はなし。
複雑なものをシンプルにするのが創造性
そこで、カルカッタ科学クラブに所属するある学生が、虎は獲物に自分の姿が見えていないと判断したときにしか攻撃しないと気づき、蝶や甲虫、毛虫の一部の種は大きな目に見える模様を持ち、捕食者に対して「獲物も自分を見ているのだ」と思わせていることを思い出します。

『知の巨人たちの「考え方」を一冊で、一度に、一気に学びきる グレートメンタルモデル』(サンマーク出版)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら
それを応用して作ったのが、後頭部に装着する「人面マスク」。それからの3年間、マスクを着用した人は誰もトラに襲われませんでした。その期間、トラに殺されたのは、マスクの着用を拒んだか仕事中にマスクを外した人だけ。シンプルな「マスクをかぶること」以上のトラ対策はなかったわけです。
不必要な複雑さは、誤りを覆い隠してしまうことがあります。要素が増えるほど、道筋が複雑になるほど、最も大事なことがぼやけてしまうのです。アメリカの作曲家チャールズ・ミンガスが言うように、「シンプルなものを複雑にするのは誰にでもできる。創造性とは、複雑なものをシンプルにすること」なのです。
問題にぶつかったり解決策に悩んだりしたときには、複雑に考えすぎていないか、もっとシンプルに考えられないか、「オッカムのかみそり」を思い出してみるといいでしょう。
シェーン・パリッシュ : 「Farnam Street」創設者

「第6波でコロナ感染の私」が肌で感じた深刻実態

2022-02-05 12:00:00 | 日記
下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

筆者が療養していたホテル。1棟ごと宿泊療養を受け入れている(筆者撮影)
「今から20分でお迎えに行きます」「手違いでキャンセルになりました。申し込みからやり直してください」――。東京都の対応は二転三転し、混乱していた。
1月22日、患者が急増する東京都内でコロナ陽性の判定を受けた。重症化リスクが高い家族がいる私は一日も早い隔離を求めたが、その道のりは長く感じた。いまコロナに感染すると、わが身にどんなことが起きるのか。“万が一”への備えとして、それをみなさんにお伝えしたい。
のどの痛みと寒気から数時間後に発熱
異変の最初はのどの痛みと寒気だった。
1月20日午前8時ごろ、自宅で寒気を感じた。体温を測ると、36度3分。のどが少し痛い。市販の風邪薬を飲んで寝込んだところ、午前10時半には38度8分まで上がった。その後、体温はさらに上がり、39度6分に。このころになると、もうろうとしており、何時だったのかもわからない。目が潤んで体温計の表示がにじんでみえる。足の関節が痛い。
抗原検査キットを求め、家族が薬局に走ってくれた。しかし、承認済みは品切れ。やむなく、研究用の「未承認」セットを購入し、それを試した。陰性だ。それでも「念のために」と思い、近くのクリニックへ発熱している旨を告げ、指定された時間に駆け込み、PCR検査を受けた。結果判明まで1~2日かかるという。
翌21日には、のどの痛みが激しくなり始めた。何を飲んでも食べてものどが痛い。おかゆをゆっくり噛んだうえで、しょうが湯で胃に流し込む。夜はのどの激痛で眠れなかった。そして、22日午前10時20分、クリニックの医師から電話が入った。
「陽性でした。保健所に発生届を出します」
私には、重症化リスクの高い家族がいる。ワクチンは2回打った。幸い、勤務先は在宅勤務の措置を取り、私自身、人に会わないように気をつけてきた。それでも感染した。
どこで感染したかと問われても、思い当たるふしはない。
クリニックの医師は、電話診療で炎症をやわらげる薬や解熱剤を処方してくれた。これまでも風邪の際に処方されたことがある薬だ。
新型コロナ用の飲み薬「モルヌピラビル」が処方できるようになったのではと思ったが、それは重症化リスクが高い人のみ。通常の風邪よりも段違いにつらくても、私には通常の薬しか出ないようだ。
陽性判定後に処方された薬(筆者撮影)
咳もでてきた。発作のような咳でしばらく止まらない。この先、どうなるのか。高熱の中、あれこれと思い巡らせた。
東京都のホームページによると、保健所は、発生届に記載された陽性者の電話番号に連絡し、療養先を調整するとなっている。感染者に対する注意書きには、こう書かれていた。
「ご家族や周囲の方に感染させないことが大切です。そのため、感染した方のうち、入院治療の必要のない軽症や無症状の方には、都が用意した施設での宿泊療養をお願いしています」「自宅から宿泊療養施設に入所する場合は、保健所からご本人に連絡があります」
このとおりだと、私は隔離され、宿泊療養することになる。
昨年9月、同世代の知人男性がコロナで亡くなった。医療崩壊で入院できず、自宅療養していたところ、悪化して、緊急入院したときには手遅れだった。私も咳で息苦しいが、彼の苦しさはこの比ではなかっただろう。
家族が感染したらと思うと、気が気ではない
発熱から4日目の1月23日。正午すぎ、私のスマホにショートメールが届いた。厚労省と区保健所からだ。クリニック医師の「陽性です。発生届を出します」の連絡から26時間過ぎている。
ショートメールの指示は、HER-SYS(ハーシス)という健康管理システムに入り、質問に答えるようにという内容だ。指定された通りにアクセスし、体温や体調を記入。「息苦しさはありますか」「食事は困難ですか」などの質問が並ぶ。
酸素飽和度の記入も求められた。パルスオキシメーターを持っていない人はどうするのだろう? 保健所のホームページには「必要と判断される方」にはパルスオキシメーターを貸し出すと書いてあるが、ショートメールに貸し出し案内は見当たらなかった。
私は昨年ネット通販で買ったメーターを使って測定し、記入した。正常値は96%以上のところ、私は95~98%の間を行き来した。
このころになると、のどの痛みで声が出なくなった。激しい咳を繰り返し、炎症が進み、声が枯れてしまったのだ。しょうが湯やコーンスープなど温かいもので水分を補給し、うがいをして、痛みを少しでもやわらげようとした。そして、保健所からの連絡を待った。咳が止まらない自分を早く家族から隔離したかった。
これだけ患者が急増しているのだから、簡単に対応できないだろうと頭では理解していた。でも、家族が感染したらと思うと、気が気ではない。家族にうつって重症化した場合、医療逼迫の中で入院先を見つけるのは大変だろう。保健所の対応を待っているうちに患者が亡くなったという昨夏のニュースをいくつも思い出した。今回は重症化率が低いと言われているとはいえ……。
保健所からの連絡を待つ間、自分の部屋から出ないようにし、部屋にたらいを置いた。ここでうがい、歯磨きを行う。洗面所には行かない。部屋を出るのはトイレだけ。トイレに行く際は手指を消毒したうえでビニール手袋をし、マスクをし、短時間で戻った。洗濯物は家族と別にした。
家族は濃厚接触者で外に出られないため、買い物はネットしかない。生活費は高くつく。生活のことが心配になり、傷病手当金や保険で出るものはないかを調べた。このままだと、少なくとも10日の間は仕事を休むことになる。これは大きい。
寒気から5日目、陽性判定から3日目の1月24日。少し回復してきた。声が出て、体も動かせるようになってきた。東京都のホームページを見ていると、保健所から連絡を受ける前に、陽性者が自ら宿泊療養を申し込める電話窓口がある。早速、電話した。重症化リスクが高い家族がいることを告げ、早く自分を隔離してほしいと申し込むためである。
受付時間は9時から16時。話し中でなかなかつながらなかったが、5回目で男性の係員が出た。事情を訴えると、相手はこう言った。
「混みあっていますので、最短で明日、または明後日に保健所から連絡が来ると思います」
やっと気持ちが少し楽になった。保健所から連絡がようやく来るのだ。
搬送車のドライバーから唐突な連絡
1月25日。保健所から連絡はない。自室にこもっているため、テレビのニュースも見られず、スマホで情報を集めた。
そんな中、ネットで「東京都の自宅療養者3万人超! ホテル療養施設2000室も空いているのになぜ入れないのか」という記事に行き当たった。この日の午後2時にアップされたばかりだ。
それによると、自宅療養者は24日に過去最多の3万1963人、それとは別に「入院・療養等調整中」が2万9490人。一方で宿泊療養者向けに用意されたホテルでは2000室以上が空いているという。使用率の低さは1年以上も前から報道や議会で指摘されてきたが、まだ改善されていないのか。
すっかり暗くなった午後6時9分、スマホに着信があった。表示された番号に覚えはない。男性だった。
「ドライバーです。午後6時35分にお迎え予定です。今から20分後です」
陽性者を宿泊施設まで連れて行く搬送車の運転手だという。
私が聞いていた手順では、宿泊療養が決まった場合、前日夜に行先と迎えの時間を電話で知らされ、搬送車の到着直前にドライバーから電話があるはずだった。ドライバーから電話がいきなり来て、しかも20分後に来ますと言われても……。
「保健所から1回も電話をもらったことがなく、(この時間に迎えが来るとは)聞いてないんです。大丈夫でしょうか」
私はそう尋ねた。ドライバーさんによると、搬送車にはもう1人陽性者が同乗するが、その人も保健所から何も聞いておらず、搬送会社を通じて確認中だという。私は、急いで荷造りを始めた。行先はホテルなので着替えがあればなんとかなりそうだ。
ところが、今度は迎えの時刻を過ぎても、どこからも連絡がない。私はドライバーさんに電話してみた。
「どうなりましたか」
「(会社から)連絡が来ないんです。自分も待機しているんです」
電話を切った。5分後に電話が鳴った。ドライバーさんだ。
「キャンセルになりました」
「え? どういうことですか?」
「わかりません。この時間以降の搬送はありませんので、きょうはないということです」
同じ搬送車に乗る予定だったという、もう1人の陽性者もさぞかし驚いたことだろう。すると、30分後にまた電話があった。今度は別の男性だ。
「都です。手違いで連絡がいっていませんでした。申し込みがキャンセルになりましたので、明日以降、もう一度申し込みをお願いします」
キャンセル? どういう意味だろうか。
「また最後の順番で申し込めと言うのでしょうか」
「はい。きょうはもう窓口がやっていませんので」
宿泊療養申し込み窓口は午後4時までだ。今はもう午後7時。
「何が起きたのですか。保健所に問い合わせますので、電話番号を教えてください」
「お伝えしますが、保健所はもうこの時間は電話に出ません」
「すみませんが、咳がとまらないので、重症化リスクが高い家族にうつる前に私を隔離したいのです」
「検討します」
電話を切った後、激しく咳き込んだ。電話で話すと、咳がひどくなる傾向がある。念のため保健所に電話した。確かに誰も出ない。呼び出しコールは自動音声に切り替わってしまった。
ようやく保健所から初めての電話
午後8時50分、また私のスマホが鳴った。今度は女性だ。
「区の保健所です。都から、あなたが宿泊療養をキャンセルしたいとのことで話があったんですが」
初めての保健所からの電話だった。しかも、私が宿泊療養のキャンセルを申し出たことになっている。
「違います。逆です。早く入れてくださいと言っています」
「わかりました。都に確認します」
約40分後、午後9時半に再び保健所の女性職員から電話。
「明日から入れます。都から連絡が来ます」
しばらくすると、またスマホが鳴った。
「都です。明日から入所です。(迎えの)時間は明日の午前に伝えます。(入所は)午後からになります」
ホテル名を告げられた。ここまで確定すればたぶん大丈夫だろう。どっと疲れた。服はホテルの部屋で手洗いすることになるから、その準備も要る。のどを痛めている人は小さい加湿器を持って行ったほうがいいというネットの体験談も見た。荷造りを本格化させていると、また電話が鳴った。もう深夜の午後11時近い。
「遅くにすみません。都です。明日からの入所のお知らせです。行っていただく宿泊施設が決まりました。施設は……」
「あ、先ほど同じ内容のお電話をいただきました」
「そうなんですね。重複してすみません」
かなり混乱していることがわかった。1月25日のこの日、東京都内での新規感染者数は1万2813人に達し、過去最多を記録している。
翌1月26日の午前9時22分、見知らぬ番号から着信があった。男性が「これから食料を届けます。本日中に届きます」と言う。食料を届ける区のサービスだ。7日目になって、ようやく……。
正午ごろに届いたのは、カロリーメイトのゼリー、スープ、スポーツドリンクなど。ありがたかった。もし、のどが最悪だった初めの5日間にいただければ、さらに助かっただろうと思った。
届いた食料やトイレットペーパー(筆者撮影)
この日の午後2時半に白いワゴン車で迎えに来た。先に女性1人が乗っていた。車内はビニールで運転席と後部座席を仕切ってある。運転手がホテル側に到着予定時間を電話する以外、車内は終始無言。感染リスクを考えてのことだ。
ホテルに着くと、入り口にカードキーが入った封筒が置いてあり、職員からガラス越しに部屋に行くように案内された。このホテルの宿泊療養者は20代、30代が目立ち、軽くせき込んでいる程度の人が多かった。
1日3回の食事は、それぞれ自力で1階ロビーに取りに行く。衛生上、館内アナウンスがあってから1時間以内に弁当を受け取って自室で食べ、空き箱を1階に捨てる。エレベーターは2基。数十人がエレベーター待ちの行列をつくることもあった。もちろん、言葉を交わす人はほとんどいない。
宿泊療養期間は発症から10日間で、11日目の午前に退所すると決められている。発熱が続いた場合は延長になる。私の発症は1月20日だったから、療養は1月30日までの5日間となった。
この間、「宿泊療養者向けのホテルが都内で2000室空いている」というニュースが気になっていた。この記事では、都が確保したのは24日時点で4940室、そのうち使用しているのは2700室未満となっていた。都の30日更新のデータでは宿泊療養は3359 人となっている。部屋のやりくりは、実際はどうなっているのだろうか。
私の療養先は高層の大型ホテルだった。1月27日段階で見ると、ある階では68室のうち空きが19室で、使用率は7割程度だった。別の階では空き53室・使用率2割程度だったが、その階は29日になると、空き室が13室に減っていた。
空室が発生するのは「部屋の消毒・清掃で、患者が療養を終えた部屋ごとではなく、1つのフロアの患者全員が退所するのを待って消毒と清掃を行っている」「リネンの交換を行う業者などから感染への不安の声がある」(NHKニュース、1月17日)ことが大きな要因とされている。このホテルでも1階以外でスタッフを見かけることはなかった。
状況は刻々と変わっている
感染力が強いオミクロン株の影響で、新型コロナの状況は刻々と変わっている。東京都の小池知事は1月23日、「感染者が増えている流れの中で、軽症や無症状の人はできるだけ自宅にいていただく」と述べ、それまでの原則宿泊療養の方針を転換させている。
重症化リスクの高い家族がいるため私は隔離を認められたが、宿泊療養待ちの人は数多いだろう。家族を心配する気持ちは同じ。宿泊施設の利用方法を改善したり、連絡に関わる事務作業の効率を上げたりといった工夫の余地はもうないのだろうか。
感染しても自宅療養を強いられるとなると、備蓄は必須だ。液体で栄養を取れる食品、保温ポット、生理用品、パルスオキシメーター……。品薄だが、承認済みの検査キットもあったほうが安心だ。
もしかしたら、コロナに罹患していない多くの人は、まだどこか他人事かもしれない。だが、この感染爆発は尋常ではない。重症者やそのリスクが高い人以外は、国も自治体も支援できないというフェーズに入っている。状況はそれこそ時間単位で変化しているし、私のこの経験すら読んでいただいたころには古びてしまっているかもしれないのだ。
青木 美希 : ジャーナリスト

「悠仁さま」高校進学 宮内庁からあがる「特別ルート批判」以上の懸念材料とは?

2022-02-05 11:00:00 | 日記
下記の記事はデイリー新潮オンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

日本屈指の伝統ある名門校
秋篠宮家の長男・悠仁さま(15)の筑波大附属高校への進学が取り沙汰される中、特別ルートと呼ばれるその進学方法が批判の対象となりかねないことに宮内庁は気をもんでいるという。その一方で、それ以上の懸念材料も存在するとされる。一体どういう問題なのか。
【特集・写真33枚】愛おしい眼差しで愛子さまを見つめられる雅子さま。愛子さまのあどけない表情が愛くるしい
まず、最近にわかに話題にされることが増えた「特別ルート問題」についておさらいしておこう。
お茶の水女子大は中学まで共学で高校から女子校となるため、男子は外部に進学することになる。悠仁さまも例外ではなく、本命は筑波大学附属高(筑附)だとされている。
筑附は日本屈指の伝統ある名門校で、卒業生は政財官から芸術の世界までまさに多士済々である。
筑波大とお茶の水女子大との間には2017年から導入された「提携校進学制度」というものがあり、悠仁さまはこの制度を利用しての筑附進学を検討されているという。
「この制度は面接や書類審査などを経て両大学の附属校への転入が可能となり、学力テストは必要ありません」
と、社会部デスク。
将来の天皇陛下を迎える環境として不足するところがなく、両大学附属校の在校生にとってメリットになるのなら外野があれこれ口を挟むべきではないはずだが、どうしてこの制度が冒頭に記したように「特別ルート」と呼ばれ、批判の対象となりかねないのか。
仮に進学された際に
この制度が設けられたのは、悠仁さまがお茶の水女子大附属小に在籍され、中学への進学を控えておられた時期にあたっていた。
「さらに、5年間の時限的な試みという位置づけがされていたこともあって、悠仁さまのための制度ではないか、皇室特権ではないかという声がくすぶってきたわけです。中学進学の際にもこの制度を使って筑附への転入を模索されたものの、一連の『小室問題』が持ち上がっていたこともあって回避されたと言われていました」(先のデスク)
それが今回、特別ルートによる高校進学が現実味を帯びてきたというわけだ。
「宮内庁の人たちに話を聞いてみると、その進学方法が国民からの批判の対象となりかねないことに気をもんでいるようでした。宮内庁が特別ルートの策定などに関与した事実はなく、秋篠宮家からも情報が細かく入ってくるわけでもなく、さらに心配を募らせている様子でした」(同)
もっとも、懸念材料はそれだけではないという。
「仮に筑附に進学されることになった際に、勉強についていけるのかという点です」
と、宮内庁担当記者。
実現しないのではないか
悠仁さまの学力は非常に優秀だとも言われているようだが、
「うーん……どうでしょうか。東大をはじめとする難関大はもちろん、海外の有名大に挑戦するであろう同級生らに伍していくことができるのかと疑問を呈する宮内庁の面々は少なくありません。加えて、現時点ですでに東大への推薦入学が取り沙汰されているわけですが、その理由として”実力的に現役合格が難しいからではないか”と指摘する声があるのは事実です」(先の記者)
大学進学という岐路まではまだ3年の時間がある。「ドラゴン桜」を例に出さずとも、ここからはいくらでも伸びる可能性はある。それだけに今から現役合格を危ぶむというのは、ちょっと問題だろう。
「確かにそうですね。ただ、東大も推薦入学についてはウェルカムだという話がまことしやかに流れていますが、そのあたりについて秋篠宮家として、国民からの批判に抗しきれず実現しないのではないかとの意見も聞こえてきています」(同)
つまり、小室問題が浮き彫りにした「皇室特権」に関する記憶が、3年後に再び盛り上がりかねないというわけだ。しかし結婚が当人の自由であるのと同様、何を学びたいかについても、まずは個人の意思が尊重されてしかるべきだろう。そもそも多くの国民は天皇陛下の学歴を気にするはずもない。
悠仁さまの場合、過去、リアルな信号機やトンボのオブジェを製作するなど、工作の腕、美術センスには目を見張るものがある。果たしてご本人の素直な気持ちはどこにあるのだろうか。
デイリー新潮編集部


「南アでピークアウトしたから日本でも」は本当か?

2022-02-05 10:00:00 | 日記
下記の記事はヨミドクター様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

外的妥当性について考えてみよう


南アフリカのオミクロンが早期に収束したから、日本のオミクロンも早期に収束するだろう。そういう意見をあちこちで耳にします。そうなればよいとは思いますが、そうなるとは限らないのが、難しいところです。
これはつまり、「他人に起きることは、自分に起きるとは限らない」という話です。専門的に難しく言えば、「外的妥当性(がいてきだとうせい)」ということです。
外的妥当性とはどういうことか。
例えば、ある人のある病気にAという薬を使いました。患者さんがよくなりました。別の患者さんが同じ病気でやってきました。はたしてAという薬は効くでしょうか。
このとき、この患者さんにもAという薬が効くのであれば、外的妥当性はあり、ということになります。しかし、前の患者さんでは効いたのに、次の患者さんでは効かなかった場合は、これは外的妥当性がなかった、ということになります。
厳密に言えば、ぼくらはみんな、別々の人で、一人として「まったく同じ」な人物はいません。たとえ一卵性双生児であったとしても、生まれた後の生活はまるで同じ、ではありませんから、この双生児の二人も「別の人」です。よって、「あの人に起きたことがこの人に起きる」、100%の保証はどこにもありません。
南アで感染が収束した特有の理由とは

ましてや、国レベルとなると、かなりバラバラです。僕は南アには2回、短期訪問しただけで、そんなに詳しいわけではないですが、それでもデータを比べてみると日本と随分違う国なのが分かります。例えば、 かなり高齢者が少ない、とか。
南アがオミクロンに対して、何もしなかったわけではありません。 昨年末までは夜間外出禁止令を出していましたし、現在もロックダウンレベル1ということで、一定の集団形成の禁止など、様々な社会抑制策を取り続けています。
南アが「何もしなくても」「自然に」オミクロンを制圧したわけではないのです。 地域的にもヨハネスブルクのあるハウテン州中心の感染だったことも幸いしたのかもしれません。
そんなわけで、南アはオミクロンをうまく抑え込んだのですが、「だから日本もそうなる」とは限らないのです。もっとも、同じ理由で「日本は南アとは異なる帰結をたどる」と断定もできないのですが。
英国では下げ止まり傾向 流行の経過は各国各様
そこで、 英国です。英国も南ア同様、オミクロンの激しい感染爆発が起きました。そして南ア同様、わりと速やかにピークアウトしたのですが、そのピークアウトもさーっと下がっていくのではなく、下げ止まり、停滞状態が起きています。
 英国と似たような時期に流行拡大が起きたフランスでは、英国のようなピークアウトはしませんでした。 ずっと患者が増え続けたのは、ゆるい感染対策のためだったのでしょう。ここ数日でようやくピークを越えた感がありますが、あまりにピークが高すぎたので、これが収まるには相当時間がかかりそうです。
というように、感染の経過は各国各様です。これは、流行がオミクロンの特徴のみならず、「人の活動のありかた」も加味されて決定されるからです。そりゃ、そうですよね。人の活動と感染の流行が全く無関係、というのなら、僕らが感染対策をするのは全くのムダ、ということになりますから。
南アと英国とフランスと日本では人口動態も違いますし、各国の感染対策も、国民の防護態度も異なります。あちらで起きることがこちらで起きるとは限らない、は当然なのです。
感染力が強く重症化しにくい特徴は共通


じゃあ、外的妥当性なんて、言っても仕方のないことだよん、とニヒルになってはいけません。外的妥当性を担保する条件は、それなりにあるのです。
例えば、再現性です。異なる条件でも繰り返し観察される出来事は、外的妥当性が高まります。
南アでも、英国でも、フランスでも、日本でも、その他の国でも、オミクロンは感染力が強く重症化しにくいことが分かっています。あと、ワクチンを打っていない人よりも2回打っている人の方が感染しにくく、3回打っている人はさらにかかりにくいことも分かっています。
条件が違う複数の地域で同じ現象が繰り返し再現されれば、それは「一般法則」として採用し、外的妥当性を活用したほうが便利です(厳密に言えば外的妥当性は完全には保証されていないのですが、そういうポパー的な議論は現場的には役に立たないので、ここでは棄却します。役に立つのが、大事です)。
「2回接種なのに入院」が多いのは分母の人数が多いため
そうそう、こんな話をすると、「病院に入院してるオミクロン患者はほとんどワクチン2回打ってるらしいやんけ。ワクチンなんか効かへんわ」と怒られることがあります。が、これは分数の数え間違え。確かに、「入院患者」を分母にすると、ワクチン2回群が最多となるのですが、これは日本ではワクチンを2回打ってる人がめっちゃ多いという、ただそれだけの話です。
 「ワクチンを何回打った」を分母にして、「ワクチン2回接種群の感染率」「ワクチンを打っていない群の感染率」という数え方をすると、ワクチンを打ってない群の方が感染率は高いです。 分数を扱うときは、分母に注意する。基本です。
最良の策はブースター接種


このように、「外的妥当性が使えるもの」と「使えないもの」があります。「あちらで起きたことが、こちらでも起きる」のか、「そうとは限らない」のかを、区別できることがとても大事なのです。
さて、第6波が「さっと」静まってみんなが楽になるか、それともなかなかピークアウトせずに中長期戦を強いられるかは、我々次第です。ウイルスの方は変えられませんから、ヒトの方が変わるしかないのです。
まずは、3回目のブースター。接種できるチャンスがあれば、これを活用するのが最良の手です。
一般に、感染力が強くなればなるほど、「普通の」感染対策の効果は目減りしていきます。そして、ワクチンの効果が相対的に強くなります。感染力の強い病原体ほど、ワクチンが効力を発揮するのです。前回も同じことを言いましたが、大事なことなので繰り返します。最良の策は、ワクチンです。
重症者や死亡者は増えている
あとは、結構、難しい。社会全体に抑制をかけるほど、オミクロンの病原性は高くない。しかし、だからといって、ぶらりノーガードでほったらかしにしていると、感染爆発が起きて重症者や死亡者は少しずつ増えていきます。数週遅れで。時間をずらして。
今回の波でも「重症者全然出てないやん、死亡者全くいなかったやん」という主張をするインフルエンサーがいましたが、この話は何度繰り返せば……。
厚生労働省のデータを見ても、重症者・死亡者は増えています。今後もしばらくは増え続けるでしょう。
ただし、英国やフランスがそうだったように、絶対的な重症者数・死亡者数は、第3、4波のそれより小さくなる可能性が高いです。可能性が高いので、そのようなシナリオに流行を収める必要があります。強すぎず、弱すぎない、中くらいの感染対策です。
新たな変異株のタイプは予想できず

さて、予想できないことが一つあります。それは、新たな変異株の誕生です。
いや、変異株が誕生すること「そのもの」は容易に予想できるのですが、これが「いつ」「どこで」誕生し、どのような変異株になるのか。これは全く予測できません。地震や津波の発生予測にちょっと似ているかもしれません。
変異株が誕生するたびにウイルスは弱毒化するという、これまたインフルエンサーが言いそうな説がありますが、この話は根拠薄弱です。
事実、ワイルドタイプから発生したアルファ株やその後出てきたデルタ株は、むしろ病原性が高まり、重症化しやすかった可能性があります(論文によってデータがいろいろなので決着がついていません)。
ウイルスが弱毒化するというのは一つのシナリオに過ぎず、そうなるという保証はどこにもないのです。ここでも外的妥当性の適用可能性の検証は必要です。オミクロンでそうだったから、次もそうだとは言えないというわけで。
いずれにしても、今回紹介した「外的妥当性」の概念は、めっちゃ重要です。このことだけ知っておけば、日々のニュースや、インフルエンサーの主張の見方が、少し変わると思いますよ。(岩田健太郎 感染症内科医)

岩田健太郎(いわた・けんたろう)
神戸大学教授
1971年島根県生まれ。島根医科大学卒業。内科、感染症、漢方など国内外の専門医資格を持つ。ロンドン大学修士(感染症学)、博士(医学)。沖縄県立中部病院、ニューヨーク市セントルークス・ルーズベルト病院、同市ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院(千葉県)を経て、2008年から現職。

下記の記事は日刊ゲンダイヘルスケアデジタル様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

3回目接種「あり」の症状が出る確率は「なし」より66%低くなる 米で論文が

 オミクロン株によるアメリカのコロナ感染はピークを越えましたが、先週の時点で1日の死者が2400人と、昨年のデルタ株の記録を更新。まだまだ予断は許しません。そんな中「ブースターショットがオミクロン株に効果あり」というアメリカ人の実感が数字で証明されました。

 アメリカのコロナの99%はオミクロン株に置き換わり、ワクチンを打っていても感染するブレークスルー感染が当たり前になっていますが、CDC(米疾病対策センター)がその状況下で数百万人のデータを分析しました。それによるとブースターが入院を防ぐ確率は90%、それに比べ、ブースターなしで2回目から半年経っていた場合は57%。また、ブースターありだと医者にかからずにすむ確率は82%、なしだと38%。さらに10万人当たりの感染は、ブースターありだと149人、なしだと255人という結果でした。

 さらにJAMA(米国医学会雑誌)に発表された別の論文では、ブースターショットを打っていた場合に症状が出る確率を1万3000人を対象に調査した結果、症状が出る確率はブースター「あり」は、「なし」に比べ66%低いことがわかりました。
アメリカでは12歳以上ならブースターを打つことができますが、実際に打ったのはその5割にとどまっています。でもこの数字を見る限り多くの人は今回ブースターに救われたと言えそうです。

一方で、2回のワクチンを完了していない人も人口の4割近くいて、それが死者や重症者の数につながっています。

ただ、気になるのはニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載された記事で、オミクロン株に対しては今のブースターショットの効力も半年後には落ちてくるとのことで、4回目の接種が現実味を帯びてきました。

一方、モデルナとファイザーがオミクロンに特化したワクチンを開発中で、すでに臨床実験の段階と報告されています。またあらゆる変異種に効果がある万能ワクチンも開発されていますが、こちらはまだまだずっと先になりそう。いずれにせよ今後かなり長い間コロナとワクチンとの共生が続くのは間違いなさそうです。
シェリー めぐみ
ジャーナリスト、テレビ・ラジオディレクター
横浜育ち。早稲田大学政経学部卒業後、1991年からニューヨーク在住。