さんぜ通信

合掌の郷・倫勝寺のブログです。行事の案内やお寺の折々の風光をつづっていきます。 

支縁の心

2012-12-06 18:43:25 | 東日本大震災

 

(今回の記事は合掌の郷倫勝寺寺報「合掌だより」掲載のため、24年11月18日掲載の記事に修正加筆をしたものです)

『支縁』のこころ

11月5日から7日まで、倫勝寺の主催で「東北復興応援の旅」に行って来ました。
初日は松島や南三陸町周辺を巡り、二日目は塩釜から順次南下して福島県へ。
最終日は塩谷崎からスパリゾート・ハワイアンズをまわるという、南東北の被災地を巡礼してお買い物をしたり、飲んだり食べたりするバスツアーです。
倫勝寺の写経会や坐禅会のメンバーの方々が多く参加されましたので、和気藹々の中にも慰霊の気持ちのこもる、穏やかな旅行になりました。

初日は奥松島の野蒜地区にある長音寺さんを訪れ、参加のみなさんと慰霊法要をつとめさせていただき、続いて震災語り部ボランティアさんの案内で、長音寺さん近くにあるかんぽの宿と市立鳴瀬第二中学校の二か所を廻ってきました。
天井がはがれ、グシャグシャの窓枠がそのままになっている建物を間近で見ると、あらためて大津波の脅威、そして恐怖に胸が締め付けられる感じがしました。
その後、バスを走らせて南三陸町に赴き、夕闇の中ではありましたが、被災した町の中心部を車窓から御参りしてきました。
参加者の中に、最期まで防災庁舎で避難を呼びかけ続けた女性の親戚の方がいたのですが、骨組だけになってしまった庁舎をバスの窓からじっと見つめておられたことが心に残りました。

二日目は、松島から遊覧船に乗り、町を津波から守ってくれた島々を巡りながら塩釜に向かいました。
船内では若布売りの女性が震災後の松島や塩釜の様子をずっと話してくれましたが、その話にほだされてワカメや海苔を買い込んだ人がたくさんいました。
これも復興応援の旅ならでは、でしょう。
塩釜の「しおがまみなと復興市場」で新鮮な魚やカキなどの買い物をし、浦霞の酒蔵見学。その後、名取市の「閖上さいかい市場」に立ち寄って、福島の母畑温泉に向かいました。

仕事が入っていましたので、残念ながら住職は三日目の朝に新幹線で帰ることになりましたが、皆さんはいわき市の白水阿弥陀堂を参拝。
つづいて塩谷崎灯台で津波の被災跡をめぐり、スパリゾート・ハワイアンズでフラダンスを鑑賞して無事に横浜へ帰ってきました。

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東日本大震災が発生して、一年九カ月余りがたちます。今年も現地に何度か足を運びましたが、思うように復旧、復興は進まないというのが現実です。
みんながゆったり暮らせるようになるには、これからも永い時間がかかることでしょう。

被災された皆さんに私たちがしてあげられることも、震災当初とはだいぶ変わってきました。
被災地への想いをうまく伝えられないという方も多くおられると思いますが、現地でのお手伝いができなくても、忘れていないよ、いつも気にかけているよ、という気持ちでいることが大事なのです。

東北を旅することももちろん、お手伝いになります。東北には美味しいものや温泉はもちろん、観光するところがたくさんありますし、これからの時期であれば、本当に美しい雪景色も見ることができます。
旅行や買い物、交流を通じて被災地の方々と「縁」をつなぎ、たがいに「支」え合う、そんな「支縁」ができることを願っての企画でした。

おかげさまで、今回の旅行では震災語り部ボランティアさんや遊覧船の若布おばさん、市場の方たちだけでなく、行く先々で一生懸命頑張っている人たちにたくさん出会いました。

野蒜の長音寺では、秋山くんと一緒に読経することができました。以前倫勝寺に勤めていた秋山くんは、津波で亡くなった長音寺住職さんの弟です。
彼は毎日のように仙台から野蒜に通い、ひとりコツコツと長音寺の後片付けや法要をしています。

塩釜では、やはり津波の被害に遭った銘酒浦霞さんの酒蔵を見学してきました。
市街地まで流れ込んできた津波でかなりの量のお酒が被害にあったそうですが、いまは施設の復旧が進んで新酒仕込みのまっ最中でした。
静かな蔵の中、蔵人が情熱を注いでいるのが良く解ります。
蔵の中へは入れませんでしたが、蔵の建物全体がリンゴのようなさわやかな香りに包まれていて、日本酒好きにはたまらない見学となりました。
被災の様子など話しながら案内してくれた若い女性の凛とした姿も、とても印象的でした。

閖上さいかい市場で、市場の写真店店主・斎藤さんが撮った震災の記録写真集「東日本大震災 閖上地区の全記録」を買い求めました。
震災当日やその後に写した写真だけが載せてあり、文章は何もありません。
しかし、語りかけてくる写真に圧倒されます。
変わり果ててしまった故郷に向かって、泣きながらシャッターをきったであろうことが、その一枚一枚から伝わってきます。
あの日のことを忘れてはいけない、伝え続けなければいけない、という齋藤さんの気持ちを強く感じたことでした。

宿泊した南三陸町のホテル観洋や福島県・母畑温泉の八幡屋も、気持ちのいい露天風呂や、美味しい料理が堪能できるお勧めの宿です。
値段もそんなに高くは無いし、関東からもそう遠くありません。そして何より、働いている方たちの笑顔が素晴らしいと思いました。

震災後、八幡屋では宿泊客が激減して従業員を半分以下に減らさざるをえなかったそうですし、観洋では避難所として部屋を提供していた時期もありました。
今は震災前の6、7割まで客数が戻り、かなり忙しくなって来ているそうですが、一生懸命笑顔でサービスしてくれる若い仲居さんたちのきびきびした動きを見ていると、
こちらまで元気になるような気がします。

倫勝寺によくお出で頂く三部義道さんの震災に関する随想に、次の一文があります。

『災害に合わなかった地域の人は「ここは幸せだね」と思ったことでしょう。
だとしたら、その幸せの何割かを被災された方々と分け合うようなお気持ちで、この災害と向き合って頂きたいと願います。
「分け合う悲しみは半部の悲しみ、分け合う喜びは二倍の喜び」という言葉があるように、喜びや幸せは、分け合うと減るのではなく、
分けたぶんだけふえるものだと実感しています。「豊かさ」とはその心を指すのではないでしょうか。』

ともに喜び、ともに悲しむ。その心を忘れずにいることが、私たちにできる一番の「支縁」だと感じています。

 

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12月1日、保田の昌龍寺に行って来ました。
保田はポカポカ、小春日和です。

      

      

倫勝寺の前のハゼの木も紅葉が進んだのですが、今日(12月6日)の強風で、だいぶ葉が落ちてしまいました。
ちょっと残念。

ハゼの床紅葉を写そうと思ったのですが・・・・

 

今日はここまで。

 

 

 



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