さんぜ通信

合掌の郷・倫勝寺のブログです。行事の案内やお寺の折々の風光をつづっていきます。 

なんとかなる

2021-06-26 15:32:33 | お坊さんのお話

今月末発行の「合掌だより 第63号」から、巻頭言と管理事務所からのお知らせをお送りします。

でも、なんとかなる
       倫勝寺住職 馬場義實

今年も早いもので、もうお盆の時期になりました。
昨年春先からのコロナウイルスの影響で、お寺の行事も中止になったり縮小したりと、皆さまにはご迷惑をおかけしております。
そんなコロナに翻弄される日々ではありますが、この春、お寺ではちょっとした出来事がありました。
住職の長男であり弟子でもある義宗が、福井の永平寺に修行に出かけました。鶴見にある總持寺と並ぶ、曹洞宗の大本山です。

永平寺上山前のひと月は、師弟で準備や指導でてんやわんやの日々でした。
しかし、遅々として進まない作法の取得や荷物の準備に若干苛立ちながらも、自分が永平寺に修行に出た頃のことを思い出すことも多く、ある意味感慨深いものがありました。
想い起こせば三十数年前、髪を伸ばして屁理屈をこねる生意気なだけの兄ちゃんだった私は、修行の何たるかなどまったく分かっていませんでした。
駒澤で禅を学んだとはいえ、修行は全く違います。

雲水の格好をして門前に来なければならないと永平寺からの書類に書いてあっても、何をどうすればよいのかまったく解りません。
しかし「我」の強い私は、他人に聞くという事をしませんでした。
永平寺に行けばやさしい先輩が教えてくれると自分勝手に思っていました。
とりあえず法衣さえ着られればなんとかなるだろうとたかをくくっていた、そんな二十二歳のバカなワタシでした。

いよいよ上山。
頭髪を剃って法衣や雲水用具一式を包んだ唐草模様の風呂敷を背負い、作務衣姿で永平寺門前へいきました。
しかしそこには優しい先輩はいませんでした。
そしてそこから私の苦悩の、もとい、修行の真実とは何かを知る日々が始まったのでした。
あとで聞いたのですが、私のその姿を見た出迎えの古参の雲水は、怒りを通り越して呆れ果てたのだそうです。

朝三時半の起床から始まって、長時間の坐禅や朝のお勤め、永遠に続くかと思われる長いながーい階段や廊下の雑巾がけ。
体力的なことばかりではありません。
あちこちで鳴る鐘や太鼓などもそれぞれに意味があり、それを覚えないと次の行動に移ることができず置いてきぼりを食らいます。
また、お手洗いや入浴など日常の生活のほとんどすべてにも作法がありますから、覚えることが山ほどあって眠気と疲れで眼が回ります。
なかでもいちばん困ったのが応量器(雲水の食器)の使い方でした。
食器が使えないとご飯が食べられません。食事の仕方がわからず、ごはんが食べられなくてヘロヘロになるなんて…

応量器のつかい方も雲水の格好も、永平寺に行ってからのことも、地元のお寺さんや駒沢大学の同級生に聞けばよかったのです。
なのにヘンなプライドが邪魔してそういうことができないワタシでした。
このヘンなプライド、つまり強すぎる「我」が永平寺上山後、先に述べたような苦難の日々を招いたのでした。
旦過寮(たんがりょう 永平寺になれるため一週間ほど滞在し、日常生活の基本指導を受ける場所)に四週間近く詰めることになったのも、
たった一週間で十キロ痩せたのも「我」のせいでした。
私の性格をよく知っていた実父でもある師匠が、どれだけハラハラしながら私を見ていたかを、今しみじみと感じている還暦過ぎた住職であります。

さて、食器の使い方や修行生活の基本などをひと通り覚えた三月三日の朝、義宗は新横浜から雲水の旅姿で永平寺にむけて出発しました。
修行道場にウイルスを持ち込んだり、里心がついたりしても困りますので、ご本山へ面会に行くという事はできません。
最初のひと月は家族みんなあれこれ心配が続く日々でした。

おかげさまでもう三ヶ月。
ようやく書けるようになって時おり届く手紙には、これまで口にしたことの無い日常生活の反省や家族への感謝なども綴られていて、
少しずつ「我」の垢が剥がれ落ちているのを感じております。
修行生活の厳しさもあって、だいぶ痩せたようです。

修行への出発に際して、彼は沢山の方から励ましやお祝いの言葉をいただきました。
本人もそのひとつひとつの言葉を胸に抱きながら、日々精進を重ねているのでしょう、そう思いたいところです。
2年後か3年後か、彼が何を捨て、何をいただいて帰ってくるか楽しみです。
その日までこちらも一日一日大事に過ごしてまいりましょう。

こんな私でもなんとかなったのですから、彼もまた、なんとかなるでしょう。
結果自然成、なんとかなる、でありますね。

管理事務所よりお知らせ 

1)各種変更届について 
 墓地名義人の死亡等による名義変更や住所の変更は、速やかに管理事務所までお届けください。
 ☆ 墓地名義人の変更は下記六点をご持参の上、ご来園下さい。
  1、新旧名義人の関係が判る戸籍謄本
  2、新名義人の印鑑登録証明書
  3、新名義人の実印
  4、墓地永代使用承諾証
  5、墓地使用変更依頼書
  6、確認書
  (5、6は事務所にございます)

 ☆ 住所変更(住居表示変更、転居など)は、ご来園いただくか、お電話でもお受け致します。

2)墓前法要の申し込みについて 
    菩提寺様や神主様、牧師様等同行で墓前法要を営まれる場合は、必ず管理事務所までお申し込み下さい。
    同じ区画で納骨等が重なると、法要に不都合が生じて菩提寺様や参列の皆さまに迷惑がかかることもあります。
    また、管理者の許可なく埋葬はできませんので、ご注意下さい。
    墓前法要の予約は本堂やホール等と同様に、予定日二ヶ月前の月初めからお電話などで受け付けています。

3)鳳鳳倫閣のコロナウイルス対策について
  管理事務所での手続きや、本堂、鳳倫閣ホールで法要葬儀を行う際のウイルス対策についてお知らせいたします。
  感染症拡大防止、密集、密接、密閉を防ぐための基本的な対策ですので、暫くの間は下記の要領で進めてまいります。
  皆様のご理解ご協力をお願いいたします。
  ● 建墓や法要申込などで管理事務所にお出での際は、受付の密集を避けるために来園時間をご予約頂くと安心です。
  ● 法要中はマスクの着用をお願いします。消毒液による手洗い、咳エチケットもお願いいたします
  ● 法要中は室内の換気のため、排気窓を開けさせていただきます
  ● 密集を避けるため広く間隔を開けて椅子を配置しますので、参列者の減員にご協力願います
  ● 葬儀の通夜振る舞いや葬儀後の会食などはお弁当によるお持ち帰り、または火葬中のお食事をお勧めします。
  ● お通夜の晩の御守り(仮泊)はご遠慮願います。

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「合掌だより」は倫勝寺が東戸塚に越してきた平成元年から発行しているお寺の新聞です。
今号で63号なりました。前はモノクロームだったのですが、少しずつ体裁を変え色を付け、
今は神林印刷さんのお手を煩わせて知恵をお借りして、ちゃんとした編集をしてもらえるようになりました。
有難いことでございます・・前は印刷以外ほとんど一人でやっていたので、〆切近くになると焦りまくってました。

餅は餅屋、です。

お寺の池の前の蓮。つぼみが膨らんできました。



あと何日かで咲くのではないかしら・・台風でやられないと良いのですが。

庫裡に植えてあるアガパンサスも咲きました。

お祖母ちゃんが播いた?ピーマンが見事に育って、花を咲かせました。

今日はここまで。



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