マニフェスト
現代アートと呼ばれている戦後のアートの現場では作家達はいったい何を問題とし何をテー
マとして活動してきたのでしょうか?
コンセプチャル? 無意味? 偶然性? 匿名性? 主体の解体? こういったキーワードは
私達を混乱させてしまいがちですが、現代美術家がやってきたこととは要するに「日常」であ
ったのではないかと私は考えています。
もちろん現代美術といっても多種多様であり「日常」という一言で括れるものではありません
が、少なくとも戦後のネオダダと呼ばれる運動に同時代的シンパシーを抱き、その胎動から
生み出されてきた芸術運動に関してはそのベースに「日常」があったと考えられます。
戦後のフルクサスの活動においては「芸術と日常の垣根を取っ払った」という一つの解釈が
あります。が、これはまた「日常を芸術の高みに引き上げた」あるいは「日常こそが芸術」と言
い換えることもできるでしょう。
フルクサスだけではありません。「アンフォルメル」や「具体」「もの派」ジョン・ケージの音楽な
ど、戦後のアートシーンに変革をもたらした運動に地下水脈の如く流れていた意識とは「日
常」の再認識あるいは再発見であったと考えられます。それはまた今日のアートにも脈々と
受け継がれているでしょう。
今後メタモルフォーゼでは上記解釈による「日常」をテーマとして作品展を実施してゆきたい
たいと思います。
まず、皮切りに山下克彦氏にお願いしております。
メタモルフォーゼ企画展「日常」~山下克彦の場合~ 2011年6月20日(月)~7月2日(土)
但し6月2日は搬入日です。