🌸徒然日記🌸

日々の出来事を綴ります

移植ー38

2023-05-21 01:09:49 | 日記
手術から4日目、かずは

Hの付添いでますます元気になり

すべてが順調に進んでいると感じていた。

先生たちは毎日病室に来て

かずの様子を注意深く観察する。

日々欠かさないのは血液検査と

エコーだが、それも問題ない

とのことだった。

突然かずが「歩きたい」と言い出した。

通常、ドナーの場合は早く歩くように

勧められるのだが

たくさんの血管を縫い合わせたかずが

はたしてこんなに早く歩いても

いいものなのか。

私は不安だった。

しかし看護師さんの「じゃ、歩いてみよっか」

という言葉を受けて、私は

言われるがまま看護師さんの指示に

従うことにした。

移植ー37

2023-05-20 01:47:49 | 日記
かずと私は、普段の鬱憤をはらすかのように

Hにあれやこれやと頼みごとをした。

「お父さん、携帯取って」

「お父さん、テレビつけて」

「お父さん、ジュース買ってきて」

「お父さん、洗濯しとってね」

「テレビカードなくなったけ、買ってきて」

「お父さん、布団かけて」

Hは文句も言わずに動いてくれていたが

さすがに疲れて

「お前らね、退院したら覚えとけよ」

と言い返した。

窓越しに日差しを浴びながら

わたしはふと考え込む。

すべてが実体のない白昼夢なのではないだろうか・・・

時間はゆっくりと流れていた。

きらきらしたもの

2023-05-19 01:10:11 | 日記
小雨が降ったり止んだりの一日でした

昨日今日と娘の体調、さやの体調に

不安があり気が休まらない日々でした

こんな時は自分自身の心を落ち着かせるためにも

芦屋の海を見に行きます

小雨交じりの天候だったので人が少なく

絶好のチャンスだと思いました

思ったとおり周りには誰もいなくて

集中して海をみていると

目の前をきらきらしたものが現れました

これがミスマルノタマかな、と思い

まずは娘に届けと願いを送りました

移植ー36

2023-05-19 00:15:23 | 日記
それは、健康な子に産んで

あげられなかったばかりに

かずにだけつらく痛い思いをさせて

しまっていることに対する

負い目みたいなものが

あったからかもしれない。

かずの心を雲らせるものは

それが誰であっても決して

許すことはできない。

そういう強い気持ちでいた。

だから、口にすることはなかったものの

Hがかずのそばで休まなかったことに

私は内心不満でいた。

「お母さん、お腹痛くないと?」

「もう、痛すぎ」

「おれ、そうでもないよ」

「すごいね、お母さんは痛み止めを

肌身離さず持っておきたいくらいよ」

「おれの方が先に退院するかもね」

「そうかもね」

かずは笑顔でそう言った。

移植ー35

2023-05-18 00:23:04 | 日記
前夜、夫のHは私のベッドの横に

置いてあった

空ベッドで休んだ。

どうしてかずの横で休まなかった

のは疑問だが

かずのことは看護師さんに任せて

私に付き添う気でいたのかもしれない。

私たちには子供が3人いた。

しかし私はそのなかでも

かずにだけは特別な思いを持っていた。