竜華「大変やみんな」

泉「どないしたんですか、部長。」

怜「せわしないな、竜華。」

セーラ「部長なんやからもっとどっしり構えてもらわんとあかんわ。」

浩子「セーラ先輩の言う通りですわ。
部長なんやからもっと落ち着いてもらわんと。」竜華「落ち着いとる場合やあらへん。
今年の麻雀大会は野球をやると連盟から通知が来たんや。」

一同「はあ？」

竜華「今年の麻雀大会は野球をやると連盟から通知が来たんや。」

怜「もう一度言ってくれて意味やあらへんで。」

泉「そうですよ。部長冗談もいい加減に。」竜華「冗談やとうちも願いたいわ。
ほれ、通知や、見てみ。」ピラー

一同「今年の麻雀大会は野球をやります。
え、え、えーー！！んなアホな。
プロ野球でコリジョンルールが作られたり、Jリーグがj3制になったりと時代に合わせルール変更される中高校麻雀も時代の変化に合わせ今回暫定的なルール変更で麻雀部による野球大会とさせていただきます。」

泉「ルールどころか競技変更やないか。」

怜「ふざけとるな。」

セーラ「こんな大会出る必要ないで。
辞退や。他の高校やって辞退やろ。
こんなん。」

竜華「あかんで。セーラ。怪我や病気等やむをえない理由以外の辞退は来年の麻雀大会予選出場禁止や。」

セーラ「書いてあるな。
じゃあ出るしか無いのか。」

怜「うち病弱やから」

竜華「病弱アピールやめ いや病気アピールしよう。
やむをえない理由で辞退や。」

浩子「あかんですよ。部長、通知に麻雀の実力＝野球の実力や体力、筋力になるバンドを付けると書いてるから野球やる時だけは元気やからあかん。」

竜華「あかんか。バンドてなんや。 あ、サンプルが付いてるわ。
怖いけど着けてみよ。」

浩子「部長試しに部室のロッカー持ち上げてくれますか？」

竜華「取り敢えずやってみるわ。」ヒョイ

一同「凄いやん(ですやん)」

竜華「こりゃ本物やでー」

泉「部長の素の筋力や無いですよね？」

竜華「アホ言うなや。持ち上がる訳あらへん。か弱い乙女に何言うんや。」

セーラ「本物なら落ち込む事あらへんやろ。
うちら全国優勝狙えるやん。」

竜華「でも麻雀の実力やろ。怜は一巡先が見える能力のおかげで強いだけで素の雀力なんか戦力としてどうか以前に付けた瞬間病院送りやで。」

竜華「どう言う意味や。竜華。」

浩子「それは大丈夫ですよ。
オカルト能力を含む麻雀の実力と書いてますから。」

竜華「それは良かった。後から体に反動も無いと書いてあるな。」

浩子「そりゃそうですわ。
5人のメンバーと同格の5人
5人のメンバーより少し落ちる5人が補充メンバーとして15人で戦うそうな。
これはバンドやなく普通の野球経験者がやる。
メンバーのレベルにより甲子園大会や社会人大会やプロ野球の休止もあり得る。」

怜「なんちゅう迷惑な事するんや。
同情するわ。」

セーラ「同情したいがうちらは同情するよりされる立場やで。」

竜華「もうやるしかあらへん。
頑張るで！」

一同「オー」

練習し、一ヶ月後予選をオールコールド勝ちした千里山女子。
いよいよ全国大会二回戦。

竜華「初戦の相手は新道寺女子や。
一応プロ野球選手の分析しました。」

浩子「近隣の高校の野球部に頼みましたわ。
どう説明しようか思ったらニュースで大きく取り上げてるらしくすんなり協力してくれましたわ。」

怜「うちらニュースなんて見る間も無いもんな。」

セーラ「なんで麻雀部が野球大会なんや。
しかもプロ野球まで休止などという大迷惑を掛けてとどのコメンテーターも激怒だったそうやで。」

泉「ごもっとも過ぎて泣けますわ。」

千里山女子オーダー
1 二セーラ
2 三泉
3 中竜華
4左怜
5右浩子
6遊坂本(巨人)
7一エルドレッド(広島)
8補 松井(中日)
9投 岩貞(阪神)
控え
田島(中日)
今村(広島)
福谷(中日)
岡崎(阪神)
A
B
松井は一巡先を見れる＝相手投手の投げる球種を相手捕手から教えてもらえる。
相手捕手が嘘の球種を言ったら反則として松井は単打扱いとなる。
新道寺女子
1 二菊池(広島)
2三仁美
3中白水
4右姫子
5左美子
6中煌
7遊鳥谷(阪神)
8補 小林(巨人)
9投岩田(中日)
控え
武田翔太(ソフトバンク)
公文(巨人)
A
B
C
D
岩田は先発時に限り飛ばない能力＝飛びにくいメジャー仕様のボールを使える。

姫子「能力の落ちるアルファベット表記が私達が四人に対し千里山は1人だけ。」

白水「バリバリのトップ選手も向こうが多いし。」

煌「戦力差が倍になるルールですからね。
厳しいですが相手にとって不足無しですばらです。」

白水「メジャーのボールはかなり飛距離落ちるからね。
煌にはそこに期待したい。
頼むぞ花田。」

煌「任されました！
とはいえ私じゃなく投げるのは岩田さんですが。」

姫子「花田の能力なんだから半分花田がなげるようなものばってん。」

試合は2回まで両軍三者凡退。
岩貞は全く危なげなく4奪三振。
岩田は打たせて取る投球とメジャー仕様の飛ばないボールにより内野の間を抜けそうな打球は抜けず外野を超えそうな打球はもうひと伸びしないという煌の能力を生かし切ったもので有った。

怜「メジャー仕様は飛ばないてほんまやな」

浩子「それだけや無いですわ。
メジャー仕様のボールはフォークに有利ですからね。」

竜華「フォークが得意な岩田さんには有利だわな。」

セーラ「フォークしか取り柄が無いのに」

怜「やめーわ。セーラ。」

泉「エルドレッドさん初ヒットやで。」

竜華「いよいよこっちの能力使いの出番やで。
球種分かるのはかなり有利やろ。」

セーラ「何せ怜の雀力でうちのエースはれるんやで。
素晴らしい能力やな。怜」

怜「それは褒めとるんか、けなしとるんか、どっちやセーラ」

松井(初球フォークでボール、次もフォーク。球種わかっとるんだから甘くきたらガツンや。甘く来たぞ。)カツン

打球はボテボテのファーストゴロ。
進塁打となり1死2塁。

怜「球種分かっとるんやから自分のバッティングしたなる筈なのにチームバッティング。」

竜華「こんな試合に巻き込んだだけで申し訳なさと感謝で一杯なのに泣かせてくれるわ。」

泉「本当良い人ですよね。
チャンスやで頑張ってくだはい。」

浩子(進塁打狙いじゃなくたまたまボテボテの当たりがファーストに行っただけに見えたけど黙っとこう。
失礼ながら岩田さんクラスの投手から球種分かってるのに打てない野手はなかなか居ないやろうし。
きっと私の気のせいですわ。」

岩貞「クッ」ブーンスカッ
二死2塁。

怜「岩貞さんは投手なんやから打てなくて当たり前やからな。シャー無い」

浩子「かっ飛ばせーセーラ先輩。」

セーラ(来た狙い球のフォークや。)カッキーン
(よっしゃセンター越えのタイムリーやろ。)
打球は鋭いライナーでセンター後方を襲う。

白水(クッ 届くか。えーい。)ダダダダ ズシャッ ポン)

白水「やった捕れたよ。」

新道寺一同「凄いです(すばらです)」

竜華さん「カーッ惜しい。白水さんあれを取るとは流石やな。」

セーラ「クソッあれを捕るって化け物かよ。」

怜「いやいや。ええでセーラ。
あれは捕った白水さんが凄いだけで投手との勝負では完全に勝っといた。
うちの岩貞さんは全く危なげないし、この試合行けるで」

しかし試合は千里山が圧倒的に良い当たりを飛ばしながら白水と菊池がファインプレー連発で0-0のまま6回裏千里山の攻撃を迎える。

怜「岩貞さんがパーフェクトピッチングしてくれてるんやから後は打つだけや。」

泉「そうですね先輩方。
阪神だけで無くウチらまで好投無援護じゃ可愛そうですわ。」

怜「泉やめーわ。」

竜華「松井さんからや。
球種分かっとるんやから自分のバッティングしたら打てるやろ。」

松井「クッ」ブーンスカッ ストラーイックスイングアウト

怜「あれっ三球三振やで。」

泉「捕手がズルしたんですわ。
それなのに反則単打扱いにしない判定おかしい。
ウチ抗議してきますわ。」

浩子「止めとき。泉。判定おかしくないで。
この打席は捕手やなく投手が球種教えてその通りちゃんと投げとった。
ウチは唇読めるんや。」

泉「ほんまや。通知にバンドを付けた麻雀選手の能力はオカルト能力を含むがオカルト能力を再現したプロ野球選手の素の能力はオカルト能力の元ネタの選手の素の雀力に概ね応じる。」

竜華「なら寧ろプロ野球選手なんやから高めに評価してくれとるやん。」

セーラ「せやな。怜の雀力評価としては高すぎるくらいやな。」

怜「言い返せないのが辛いわ。」

ここまでパーフェクトの岩貞7回二死。
白水「クッ」カッ
(どん詰まりばってんこれが幸いだわ。)
ズシャー セーフセーフ。

煌「初ヒットすばらです。」

姫子(絶対続きます。)カッキーん。
(センター越え 部長の足なら帰ってこれる。先制点です。)
センター後方を鋭いライナーが襲う。
竜華(絶対追いつくで)ダダダダ グシャー パシッ)

竜華「よっしゃー捕ったでー。」

千里山一同「すげー。ようやった(やりました)竜華(部長)」

竜華「セーラの時のお返しやでー。」

姫子「あれを捕るなんて化け物ですね。」

白水「きっと私が江口さんのライナーを捕った時向こうも同じこと言っとるわ。」

7回裏千里山の攻撃先頭泉セカンドフライ。

竜華(打つんや)カキーン ドッ
(よっしゃレフト前ヒットや)

怜(続いたるで)カツン
(あちゃー平凡なショートフライや)

鳥谷ポロっ

竜華「やったで怜」

浩子「やったというか向こうがやらかしてくれたというか」

泉「とにかくチャンスですよ。
かっ飛ばせ舟久保先輩」

浩子(エラーの動揺か。コントロールに大分狂いが出てますね。これならツーストライクまでは待つのが正解ですわ。)
カウント3-1
岩田(あーダメだ)ビシュッ ボール、フォアボール。
1死満塁で6番坂本
坂本(大会前まではなんでこんな茶番に付き合わなきゃいけないか不満だった。
目的もボーナスやった。
でも今は違う。
ひたむきに頑張るあの子達の為におれは打つんや)カキーン
(タイムリーは無理か。でも犠牲フライには十分。最低限や)

竜華「よっしゃー先制点や。」

怜「ありがとな。ウチ巨人ファンになるわ。」
後続は気を取り直した岩田が後続を抑え最少失点に止める。

8回新道寺の攻撃
美子(出る)カキーン
(右中間抜ける。)
鋭いライナーが右中間を襲う。

浩子(絶対捕る)ダダダダ グシャー パシッ

千里山一同「凄いわ(ですわ)フナキュー(船久保先輩)」

浩子「部長にだけ良い思いはさせませんよ。」

煌(アウトになったのは大変残念ですがすばらな当たりでした。
6回までの手も足も出ない状態とは全く違いますの。)カキー
ファーストを鋭いゴロが襲う。

エルドレッドポロっ ヒョイ ダダダダ セーフセーフ

煌「出塁出来ましたの。
記録はヒット。なおすばらです。」

鳥谷(俺はさっきとんでも無いエラーしてしまった。申し訳ない。絶対取り返すから)カキーン
ピッチャー返しが襲う。
岩貞ガシャン コロコロー
岩貞の肘を直撃した打球はファースト側のファールグランドへ。
1死2.3塁
肘を抑え蹲る岩貞。

泉「タ、タイム、だ大丈夫ですか？岩貞さん！」

岩貞「すまんな もう投げれそうに無いわ。」

泉「すまんなんてここまでのピッチングして頂いて感謝しかありませんわ。
わたくし泉として投げて頂いてありがとうございます。」

セーラ「おいこら泉、松井さんみたいな能力持ち扱い以外は誰が誰として出てるか本人すら知らないが少なくとも泉は岩貞さんやないで。多分部長やろ。
じゃなきゃ俺や。」

松井「君達それどころや無いで。」
守ります千里山女子守備の交代をお知らせします。
ファーストエルドレッドに代わりまして田島
田島がピッチャー
岩貞の所にAが入りましてファーストに
7番ピッチャー田島
9番ファーストA
以上に代わります。


松井(大ピンチで急遽登板だけど打撃はあまり得意でない小林さん→投手という打順は救いや。
小林さんの所を無失点に抑えたら代打と言っても能力落ちるアルファベット選手。
田島さんなら思い切った前進守備や。)

小林(リードしてる場面で前進守備は打てないと思われてるんだな。
見返すぞ)カッ
ボテボテのファーストゴロ
捕手の松井はファーストを指示。

小林(凄いカッコ悪い当たりだけど何とか同点。これで高校生達に顔向けできる。)

新道寺一同「同点やったー！(すばらです。)」
田島は続く代打Aを抑え同点に止める。

竜華「こんなに頑張ってくださった岩貞さんの為にも勝利を捧げるぞ。」

千里山一同「オー。」

竜華「もう此処には居ないけどきっと見守ってくれてる筈や」空を見上げる

怜「空を見上げるなや。そしてややこしい言い回しやめーわ。
治療の為病院へ直行しただけや。縁起でも無い。」

岩貞の為にも気合の入る千里山だが二番手武田翔太の前に三者凡退。
9回田島も奮闘し三者凡退。
一点取ればサヨナラの千里山の攻撃
泉(先頭絶対出るんや)カキッ
ボテボテのピッチャーゴロ

泉「すんまへん。先輩方」

怜「大丈夫や。泉。
竜華なら何とかしてくれる。
信じられへんやろけどウチ竜華がサヨナラホームラン打つの見えたねん。」

泉「えっ。野球以外で一巡先がみえたんですか？！」

セーラ「凄いやないか。怜。」

浩子「まあ本当にそうなら凄いですがほら怜先輩、早くネクストバッターサークルに行かないと。」カッキーン
センター越えの大飛球。

白水(大きな当たりばってん後ろに守っててよかった。
これなら追いつく。)トンッ
(えっフェンス。てことは)ガシャン

竜華「サヨナラホームランや」

セーラ「凄いで部長。」

泉「そして円城寺先輩も凄いですわ。」

浩子「まさか野球以外も一巡先が見えるなんて。
素晴らしい研究材料ですわ。」

武田「みんな、すまなかった。」

新道寺一同「とんでもなかです。
寧ろ良くこんな茶番に付き合って頂いて。」

武田「茶番なんかとんでも無い。
素晴らしかった。
改めて教えられたよ。」

怜「いやー良かったわ。
次は三回戦。」

泉「まだ三回戦ですか？」

セーラ「そりゃ野球は麻雀と違い二チームずつしか試合出来んからなw」

竜華「三回戦も勝つぞー！」

千里山一同「オー。」

しかし三回戦が行われる事は無かった。
ただでさえ批判が大きいのに岩貞が怪我
他の試合でも怪我人が出て批判はさらに拡大。
麻雀連盟は中止を発表。
勝ち残ったチームで麻雀が行われる事に変更された。

竜華「変更されたというか当たり前に戻っただけやなw」

怜「これから麻雀頑張るでー！」

一同「オー。」

棹