うみーの掃き溜め愚痴日記

私こと、うみへびが機嫌の悪い時に愚痴を書き一時的にでもスッキリする為のものであり
他人様が見るようなものではないです。

お座敷焼き諸子

2009-02-17 01:06:28 | 
2007年のある日、マシス氏とメシ食ってきました。
マシス氏がメシ食い行くぞーってんで連れて行ってくれた店がココです。

……せんせー、ここって料亭っていいませんか?(汗
ドレスコードとか大丈夫だろうな? 魚採りの後の服装で大丈夫なんだろうなっっ!
詳しい話を全く聞いていない俺はちょっとビビってます。


店に入ると、まず女将さんがご挨拶。
年配の方だが、非常に物腰が柔らかい。
笑顔も落ち着いた「にこやかさ」があり、リラックスさせてくれる。

通されたのは6畳ほどの座敷。なんか掛け軸とか書とか飾ってある……
夜なので外が見えないが、どうやら庭も相当手入れがしてある落ち着いた庭のようだ。


まず女将さんがお茶を淹れてくれる。

個人的には食事前は水か冷たいお茶なので(冬でも)
猫舌の俺としてはとりあえず舌を湿らすだけでいいだろうと
軽く口をつけるつもりだった。

軽く口をつけた。


……!?
なんだこれ! なんだこれは!! めちゃめちゃ旨いぞ!!

俺は普段茶など飲まないから詳しくはないのだが
定食屋で出てくるような茶とは全く別のものだ。
物凄く深い味。「濃い」のではなく「深い」のだ。
苦味も渋みも無く、甘すぎるわけでもないが、お茶の味というものが
これほどしっかりと伝わってくるものは初めて飲んだ。
お茶ってこんなに美味しかったんだ……


さて、お茶に俺がびっくりしていると、
女将さんが戻ってくる。
盆には小鉢が乗っている。


肉? 鴨肉? 鴨のたたきか!
どうやらここは鴨肉のお店らしい。鴨肉は滋賀の名産のひとつだったか。
鴨肉など食べたことがない。非常に興味がある!

早速頂く。
噛み込むと、ジュワっと味が染み出してくる。
肉の味ではあるんだが、牛とも豚とも違う味。ちょっと独特な味だ。
俺は好きな味だが、ちょっと食べなれていない味の為に
初めての人は意見が分かれるかも。俺は好き。
たたきである為のクドさは(殆ど感じないが)辛子が消し去ってくれる。
噛めば噛むほど味が染み出てくる。ありえないほど味が染み出る。
鴨ってこんな旨いものなのか。


次は、七輪が用意された。
次は鴨肉の網焼きだろうか。
固形燃料ではなく、立派な炭が入っている。

だが、次に女将さんが持ってきてくれた物をみて、俺は驚いた。



※クリックで拡大

これは……
これは……まさか……
まさか、まさか……まさか……


ホンモロコか!!

琵琶湖近くのこんなお店なら、確かに出てくるのはわかるが、
そこに考えが至っていなかった俺は、このとき本当に間抜けな顔をしていたと思う。

思わず女将さんに聞いてしまう「これはホンモロコですよね」
答えは「朝採り天然のホンモロコ」とのこと。
このホンモロコに関しては皆も知っていると思う。
淡水魚の中で1番美味しいとか、養殖が盛んだとか
漁獲高が最盛期の1/10程になり、
もともと「諸子」だったものが、高級魚の一種になってしまったとか……


く……食っていいのかよ、こんなの……
いやもう死んでるんだから食わないほうがよくない。生きてたら持って帰るわ。

しかしまさか……ホンモロコを食べる機会に巡り合ってしまうとは。
もしフィールドで採取したとしても、絶対に食べることなど無い。
これは……一生に一度しかないかもしれない極めて大きな出来事だ!

食べ方だが、まず女将さんが七輪で焼いてくれる。

客は何もしなくていい。全てやっていただける。

まずは炭火で両面をじっくり焼いた後、
背中をパリッと焼いてくれる。
で……


立てた。

これは何ということか!!
確かに魚は頭が1番焼けづらいが、それをこうやって立ててしまうことで
解消してしまうとは思わなかった!


その状態で暫く。
焼きあがったら、小皿に盛ってくれる。
味付けは三種類用意され、ショウガ醤油、酢味噌、酢と
別々の小皿に用意されて出してもらえる。

当たり前だがまずはそのまま食う。



………………………………………………………………旨ぇ


一瞬言葉が無くなる。
旨い。それも物凄く。

まず柔らかい。
頭から食べているのに、骨の違和感が全然ない。どんな魚でも骨があり
小さなハゼですら頭から食べると多少の違和感があるというのに
このホンモロコは頭から普通に食べられる。

しかも頭から食べているのに、内臓も普通に食べているのに
苦味というものが全く無い。
焼きたてのホンモロコはホクホクと柔らかく、
こんな小さな魚でありながら、身にはしっかりと脂が乗っている。
小さい魚であるからこそ、その脂はクドくもなく、少なくも無く。
身は口に入れてかみこむと、蕩けるほどに柔らかい。

ナマズやウナギ、アユといった淡水魚も旨い。
コイやフナだって食べるし、ヒガイの旨さも折り紙付きだろう。

だが……これは、旨い。1番と呼ばれるほどの事はある。


琵琶湖のバスだのギルだのはこんな旨いモン食ってるのかよ!!



かつての漁獲高を調べて欲しい。
もちろん水質の悪化もあるんだろうが、
それは湖南だけの話であり湖北は今でもとても綺麗。
ホンモロコ減少の
何よりの原因はギルバスだろう。

ただ「(自分の好きな)淡水魚が減るから」というだけではない
淡水魚を食べる文化、このような素晴らしい味の魚。
バスギルの駆除は、そういった歴史を護る戦いでもある。
改めて、そう思った。


ちなみに、ホンモロコ抱卵してました。

抱卵していて、しかも身がこれだけ旨いって……


個人的には醤油かそのままが旨かったな。
酢味噌と酢はちょっと味が強すぎて折角のホンモロコがもったいない。


ホンモロコの旨さに舌鼓し終わった後、
次に出てきたのは鴨の肉。


これは山椒をふっている鴨の肉。
片面を炙ったら、炙った面にネギとワサビを乗せてさらに焼きます。


もちろんこれも女将さんが焼いてくれる。
絶妙のタイミングで盛ってくれるのだろう。
タレをつけて、いただきます。

ああもうイチイチ旨い。
鴨ネギって言葉、多分鍋とかから来てるんだろうけど
焼いた鴨ともぴったりあうよ!
たたきと違って今度はさっくりと噛み切れる鴨だが、
噛めば噛むほど味が出るのはさっきと同じ。
ただ、火が通っているためより脂分が染み出してくる。つまりジューシィ。
それとねぎが合わさって、クドさを消して鴨の味だけ楽しませてくれる。

ワサビが乗っているが、このワサビも強烈に主張するのではなく、
後味が残らないようにさっぱりとさせてくれる役割を持っている。
おかげで鴨肉一枚一枚が、新鮮な口に運ばれる。


鴨の砂肝。
最初心臓かと思ったのは秘密。

これも網で焼いて食べます。
食べてみると、「シャ・リッ」という不思議な食感。
鶏のレバーのようにしつこく硬いわけでもなく、
さきほどのような肉のようにさっくり噛み切れるわけでもない。
二度三度噛み、味を染み出しつつ小さくしていくような食べ方になる。
だからこそ、その味がしっかり堪能できるみたいだ。
味はキチンと鴨の味。ちょっと肉より味が濃い気がする。


こちらは箸休め。

全て滋賀で採れた食材だとのこと。
栗の甘露煮に黒豆。もろきゅう。そしてゴリの甘露煮。
どれも旨い。特に甘露煮がやばい。
以前にスーパーで甘露煮を買って帰ったことがあるが、
身がぐずぐずになって、正直何食ってるか良く分からん感じだった。

これは違う。一匹一匹がキチンと形を保っていて、
箸で摘んでも崩れない。
味もほんのり甘くて旨い。

ただ問題がある。
これって女将さんがゴリっていってたけど、
琵琶湖のゴリってことは、つまりはイサザ?
ちっこすぎてわかんねーw


さて、ゴリの甘露煮で軽く一休みしている間に準備が完了。


来たよ……かも鍋だよ。


鴨は今回はつみれ状のものもあった。。
ナンコツどころか普通にホネまで叩き潰したらしく、
時々小さな骨片がアクセントになる。
もちろん普通のスライスした鴨肉もあります。

しっかし鴨の脂ってスゴイ。
一緒に入れた白菜がみごとなまでに鴨の味。
時々食べる春菊が口の中をリフレッシュさせてくれる。幾らでも食べれそうだ。
豆腐とかもじっくり味が染みて……特にネギ最強。


しかも食べ終わった後、女将さんが土鍋だけ下げて
すこしして土鍋を持って戻ってくる。


ぞ う す い だ と


俺明日死ぬんじゃねーの的な状態です。
もう今さらくどくど説明も要らんでしょう。うまいです。ほんと。

でざーと


……雑炊のテンションのまま食べちまった。
柚子のアイスクリーム。最後にさっぱりとさせてくれた。
室内が暖かかったし、熱い鍋物が連続だったので
火照った身体を覚ましてくれるのにも一役買った。


ゆっくりと食べて、気が付いたら三時間。
全部女将さんが準備してくださいました。
テレビの旅番組でみるようなそんな世界。あるんですねホントに……。
女将さんにも気軽に色々聞けたし、楽しい食事でした。


案内してくれたマシス氏に深く深く感謝です。
前のアユの時もそうだったけど、
貴重な体験ばかりさせてくれるので、なんとも頭が上がりません。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
鴨ってことは (ryu-oumi)
2009-02-17 08:09:30
鴨ってことは長浜?
なんだ、良いもの喰ってるじゃない!
シリーズ「マシス氏と行く琵琶湖グルメ紀行」
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ざんねん! (うみへび)
2009-02-17 18:22:59
大津市の堅田ってところです。
鴨は長浜名物なんですね。

>>良いもの喰ってる
今回位ですよ!!
いつもは来来亭です!!

いや来来亭好きだし、充分「良いもの」だけどね。


今度何か食いにいこーぜー
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Unknown (きつね)
2009-02-19 00:13:14
情熱抜けません。
隣の藤枝市にあるよ。
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らいらいてい (うみへび)
2009-02-19 00:37:05
静岡にもあるんですな。
関西ばかりだと思ってました。

あそこも年に何度かはお世話になります。
疲れ果ててるとき食べると旨いんだこれが。
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Unknown (マシス)
2009-03-24 20:28:41
お気に召していただき何より
湖魚うめー
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湖魚うめー (うみへび)
2009-04-11 18:28:03
>>マシス氏
モロコ旨かったよ、素敵な店に連れて行ってくれて有難う。

この間コイを食ったんだ、驚くほど旨かった。
淡水魚ってマス類以外も旨いんだって思うようになったよ。
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