以前、癌で手術した伯父の体調が悪くなったそうで
親類各位に連絡が入る。
先行で見舞いにいった親父報告では、日曜日頃には意識が無かったが
今は意識があるとのこと。入院したのはもっと前らしい。
ただ、全身に癌が転移していて、今のうちに会っておくべき
……という医者の助言に従い
そういった趣旨のもと、連絡が来たという。
1日遅れで、私も見舞いに行ってみる。
その伯父には、子供の頃から、沢山沢山可愛がってもらった。
もちろん親戚のどの人にも可愛がってもらったが
一番可愛がってもらったと思う。
お子さんに男の子が産まれていなかったのが大きいだろうか。
私との間柄としては、親父の一番上の姉(親父は6人兄妹の4番目)の
旦那さんになる。
親父が入院した時にも、病院の手配など色々と便宜を図っていただいた。
伯母さん(つまり親父の姉さん)と連絡をとり、駅で合流……病院に行く。
癌の手術は上手くいっていて小康状態を保っていたが
急に体調が悪くなり緊急入院……という事態だったそうだ。
……その流れには心当たりがある。
見舞いに行く……癌専用病棟の、個室に行く。
ドアを開けると、耳に届く苦悶の叫び声。
キキタクナイキキタクナイキキタクナイキキタクナイキキタクナイキキタクナイ
ベットの上には……
顔を激痛に歪め、叫びとうめきを上げ、悶え苦しむ一人の初老の男性。
皺の走った顔も、優しげな目元も、静かに笑う口元も無く
ヤツれ、目は血走り、口は大きく叫びをあげている……
ミタクナイミタクナイミタクナイ
奥さんが、そして私が近づいていっても
何の反応も示さず、ただただ激痛に身体を捩り、
そして、その肉体的反応で更なる激痛が生み出され……
その繰り返しを、続けるだけ……
イヤダ イヤダ イヤダ……
あの優しくて俺の大好きな伯父さんが、これかよ!!
明らかに、もうモルヒネで痛み抑えてるだけで、
認識力なんて無いだろ!!
これ……「意識がある!」っていうのか!?
手を握っても振りほどかれ
(拒絶ではなく身体を激しく動かすので)
声を掛けても全く何も反応は無く……
モウ……ヤメテ
ここで、どうしようもなくなって部屋を出る、俺……。
トイレで、泣いてた。
全部……
俺の母さんと同じ。
何もかも同じ。
どうして!?
どうして俺の好きな人は、いつもいつもいつも居なくなるの!?
親戚の中でも、俺は一人だけ年が離れてて
ここ数年で生まれた子供たちを除けば一番若くて
俺が大人になればなるほど
俺の周りの人が、どんどんどんどん居なくなっていく。
伯父さん伯母さん、みんなみんな居なくなっていく!!
それも、みんな申し合わせたように癌! 癌! 癌!!
きっと、親父も、そして俺も
同じ死に方をするんだよ……
未来の自分を見てんだよ俺はよ!!
おれがおとなになっていくと
それだけ、みんないなくなる
俺のせいでは絶対に無いけど
でも、俺が成長していくにしたがって、みんな居なくなってしまう。
知り合いの、まだまだ子供な子が言った。
「親しい人亡くした事無いからわからない」
そう。
それが良かった。
そのままで、居たかった。
俺は、大人になりたいなんてこれっぽっちも思わなかった。
こんな気持ち、知らないままで居た方が良かった……
人が亡くなると
「死」というものに慣れることは無くて……
その辛さが、回数を重ねるごとに圧し掛かってきて、
余計、苦痛になっている気がする。
その分、
周りに撒き散らさない為の技術と
人前で泣かない為の技術が手に入るだけだ。
もう、俺の好きな人、誰も死なないでよ
親類各位に連絡が入る。
先行で見舞いにいった親父報告では、日曜日頃には意識が無かったが
今は意識があるとのこと。入院したのはもっと前らしい。
ただ、全身に癌が転移していて、今のうちに会っておくべき
……という医者の助言に従い
そういった趣旨のもと、連絡が来たという。
1日遅れで、私も見舞いに行ってみる。
その伯父には、子供の頃から、沢山沢山可愛がってもらった。
もちろん親戚のどの人にも可愛がってもらったが
一番可愛がってもらったと思う。
お子さんに男の子が産まれていなかったのが大きいだろうか。
私との間柄としては、親父の一番上の姉(親父は6人兄妹の4番目)の
旦那さんになる。
親父が入院した時にも、病院の手配など色々と便宜を図っていただいた。
伯母さん(つまり親父の姉さん)と連絡をとり、駅で合流……病院に行く。
癌の手術は上手くいっていて小康状態を保っていたが
急に体調が悪くなり緊急入院……という事態だったそうだ。
……その流れには心当たりがある。
見舞いに行く……癌専用病棟の、個室に行く。
ドアを開けると、耳に届く苦悶の叫び声。
キキタクナイキキタクナイキキタクナイキキタクナイキキタクナイキキタクナイ
ベットの上には……
顔を激痛に歪め、叫びとうめきを上げ、悶え苦しむ一人の初老の男性。
皺の走った顔も、優しげな目元も、静かに笑う口元も無く
ヤツれ、目は血走り、口は大きく叫びをあげている……
ミタクナイミタクナイミタクナイ
奥さんが、そして私が近づいていっても
何の反応も示さず、ただただ激痛に身体を捩り、
そして、その肉体的反応で更なる激痛が生み出され……
その繰り返しを、続けるだけ……
イヤダ イヤダ イヤダ……
あの優しくて俺の大好きな伯父さんが、これかよ!!
明らかに、もうモルヒネで痛み抑えてるだけで、
認識力なんて無いだろ!!
これ……「意識がある!」っていうのか!?
手を握っても振りほどかれ
(拒絶ではなく身体を激しく動かすので)
声を掛けても全く何も反応は無く……
モウ……ヤメテ
ここで、どうしようもなくなって部屋を出る、俺……。
トイレで、泣いてた。
全部……
俺の母さんと同じ。
何もかも同じ。
どうして!?
どうして俺の好きな人は、いつもいつもいつも居なくなるの!?
親戚の中でも、俺は一人だけ年が離れてて
ここ数年で生まれた子供たちを除けば一番若くて
俺が大人になればなるほど
俺の周りの人が、どんどんどんどん居なくなっていく。
伯父さん伯母さん、みんなみんな居なくなっていく!!
それも、みんな申し合わせたように癌! 癌! 癌!!
きっと、親父も、そして俺も
同じ死に方をするんだよ……
未来の自分を見てんだよ俺はよ!!
おれがおとなになっていくと
それだけ、みんないなくなる
俺のせいでは絶対に無いけど
でも、俺が成長していくにしたがって、みんな居なくなってしまう。
知り合いの、まだまだ子供な子が言った。
「親しい人亡くした事無いからわからない」
そう。
それが良かった。
そのままで、居たかった。
俺は、大人になりたいなんてこれっぽっちも思わなかった。
こんな気持ち、知らないままで居た方が良かった……
人が亡くなると
「死」というものに慣れることは無くて……
その辛さが、回数を重ねるごとに圧し掛かってきて、
余計、苦痛になっている気がする。
その分、
周りに撒き散らさない為の技術と
人前で泣かない為の技術が手に入るだけだ。
もう、俺の好きな人、誰も死なないでよ