レポートバンク

主に企業の財務や経営について分析するブログ。

「好き嫌い」と仕事

2021-06-19 19:18:00 | その他
最近は、マイナビのサイトによれば、経団連のルールのもと6月に採用面接を解禁するのが一般的なスケジュールであるらしい。会社によっては年中採用活動をしているというが(そうした会社のまとめサイトがあった)、今は一年の中で採用面接のピークになっているだろう。

新卒での就職については、転職する人が多くなっている中、考え方も変わってきているかもしれない。
総務省は統計をとっており、2019年までのデータが公表されているが、転職は2019年に過去最多となっている。(その数は就労者数の約5%にのぼる)

しかし「いざとなれば転職出来る」というのはそうかもしれないが、転職にはエネルギーも使うし、(おそらく最初の半年くらいはどこも雑用メインになるだろうが)従事する仕事も違い、貯金だって変わるだろう。
新卒入社する会社は以前ほどでなくとも重要である。

それでは会社をどう選ぶかということについて、過去の成功例に学ぶとすれば、好きなことに結びついているのが良いのではないかと思える。
経済界の偉人は数々の伝記や日経新聞の「私の履歴書」にその足跡や考え方をとどめているが、読んだことのある人ならば、なにより「仕事を好きな人だな」という感想が思い浮かぶはずだ。

本や毎日の連載で長々と語れるほど仕事が好きというのが普通でなく、内容も、過去の工夫や交渉でも詳細まで覚えている。

記憶が細かいだけでなく、仕事のことをずっと考えていたら新たなアイデアを思いついて前に進む展開が大抵存在する。(製品、販売先、管理方法など)

採用する企業の方から見ても、仕事を好きでずっと考えていてくれるような人に働いてもらいたいのは同様である。
数多の大企業を顧客に経営を共に考える仕事をしていた大前研一さんという人がいるのだが、その人の「企業参謀」という著作では、序盤から中盤にかけて戦略的思考や経営の戦略的計画策定について述べ、その「戦略的計画の核心」として、終盤で述べているのは継続できることである。
(抜粋)
「戦略的に意味のある計画は、ひとたび目的地に達した場合、守りぬけるものでなくてはならない」
「万物は流転しており、絶対に正しいことなどありようもないが、変化に対応できる柔軟な頭脳があれば、変化に伴うリスクは軽減できる」

好きな仕事の追求については、iPhoneを作り出したアップル社の創業者スティーブ・ジョブズのスピーチも有名である。
そこでは好きなものについて、探し続けることを呼びかけている。
(keep looking, don't settle)

そうしてジョブズ氏自身がたどり着いた好きな仕事への熱中は、世の中にiPhoneなど多くのイノベーションをもたらしている。

自分は様々な市場や企業を調べるのが好きで、探究する時間は楽しいものだと感じている。
それぞれに、好きな仕事で楽しく日々を過ごせる人が増えると良いと思う。

レポートバンクのレポート一覧
様々な市場・業界について調べた内容を、たまにレポートの形にまとめているもの






住宅街と金融市場

2021-03-18 23:49:55 | その他
家にいる時間が長くなり、運動を意識して街をゆっくり散歩するようになった方は多いのではないかと思う。
住宅街や大通りを歩いていると、デザイナーが快適さをしっかり追求して作ったのかと思うようなステキなマンション・アパートを見かけたり、古くて保守の回っていない建物を見かけたりする。

きれいで手入れの行き届いた建物をみると嬉しくなるし、そうでない建物をみると悲しくなる。特に違いを感じるのは都市部ということもあって集合住宅の違いだ。
建替えは、法令で耐震基準の観点から求められたり、安全性の観点から大まかに30年など経っていると求められるようだ。(ヘーベルメゾンの記事

このサイクルについて、「古い空き家を建て替えてステキなアパートを作り、賃貸で儲けよう」と考える人が多くなれば、このサイクルはもう少し早まるのではないだろうかと思う。
例えば古くて人が住んでいない建物が取り壊して建て替えられるのを待っている場合、こうした考えの人がいるかどうかが建替えのポイントになるはずだ。
空き家の増加が国土交通省で取り上げられ対策ページが設けられているほどなので、これは確度の高い仮説と思える。

調べてみると、国土交通省の住宅着工統計によれば、全国の貸家について、着工戸数が2010年代について増加傾向にあった。

・2010年度 約29万戸
・2013年度 約37万戸
・2016年度 約43万戸
・2019年度 約33万戸

この2010年代は、日本の経済も総じて好調であり、お金を借りやすかった時期である。借りやすさは銀行の貸出で参照されるプライムレート(日本銀行が統計を公表している)の高さをみると分かるのだが、ほとんど1%台前半と低いレートであった。
そのため銀行の貸出利益が減って、貸出利益に大きく依存する地銀の財務安全性が金融庁から疑問を呈されているほどである。(ウェブで検索すると関連記事が多く出てくる)

また、好調な経済にあって、これは資産分布も詳しくみなければ本当の姿は分からないが、おそらく住む側の消費者も引越しを検討できるほどの豊かさは得られていたのだろうと思う。

今後も、きれいな建物が都市部に増えてほしい。その為に、多くの人々が豊かになれる経済(中産階級の安定・拡大が保てる社会というのだろうか)がうまく成り立ち、良い不動産を追求する投資も継続してほしいと思う。

長めのレポートを置いているページ

コロナ下の会社と従業員

2021-02-08 22:37:35 | その他
コロナ下の経営では、同じ業界であっても非対面・非接触をうまく実現して売上を守れたかどうかにより、企業の業績に明闇が分かれた。
多くの店が閉店に追い込まれた(NHK記事)飲食業界でも日本マクドナルドは営業最高益という成果を出しており(日経記事)、
トレーニングサービスを提供する業界ではジム運営などの対面サービスが軒並み苦境であり、同様の成果をもたらすオンラインサービスに顧客が流れたようだ。(東洋経済記事
また、出光とENEOSは同じ業界だが直近の業績は異なった。

売上減少の続く側の企業の経営者であれば、意図した通りに経営を進められない不安から通常より会計上のごまかし(違法かどうか問わず)の誘惑が増えてしまうこともあるのではないか。同業他社より弱い業績になったとしたら尚更だ。
会計上のごまかしは投資家や銀行に思っている以上のリスクをおわせ、金融に混乱をもたらすものだ。本当ならもっと有効活用される用途があったはずのお金を収益性の低い事業に投入することとなれば社会にとっても損失である。
違法なもの、すなわち粉飾決算の具体例については会計士のウェブ記事にいくつかまとめられていた。
ここにあげられていたのは、

・在庫の量をごまかしてしまう
・(おそらく取引先の倒産などで)回収できない売掛金を残し続けてしまう
・架空の受注データを作ってしまう
・現金の額をごまかしてしまう
という手法である。

経営者でなく従業員の立場としてみたとき、もし粉飾決算やそれに類することが身の回りであった場合には、ウェブ記事では告発も言われているが、今どき転職が早いのではないかと思う。
総務省の統計によれば2019年の転職者数は350万人を超えており、統計局の就業者数約6700万人というデータからすれば、
「20人に1人が2019年に転職した」
ということを物語っている。
コロナで対面ビジネスの業容は縮小だが、非対面ビジネスは企業業績を見る限り業容を拡大しているところもある。
社会の労働意識の変化によって転職が普通になっている現在、様々な企業に応募をしたり、仲介業者に情報を聞いてみるのも面白いだろう。(僕自身転職したとき、仲介エージェントと何人も話したが、ベテランの人に色々な話を聞けたのは面白かった)

対面営業ができないという直接的な苦境だけでなく、
経営の不振を正面から受け止めて銀行や従業員等に向き合う苦しさや、経営陣がそのような選択ができない場合に対応策を考えなければならない苦しさなど、間接的な苦境がまだ世の中にあるのではないかと思うとコロナ禍のダメージは深い。
1人の社会人としては、勤務先企業の財務や人材市場など、広くアンテナを持つべき状況であると思う。

様々な業界や企業の情報を整理しているレポート


信頼度の高い情報収集

2021-02-05 20:35:00 | その他
世の中には多くのテーマで様々なレポートがあるもので、調べ物をしようとしてもどこを当たれば良いのか分からなくなることがある。
この不便を解消する為に作ったのがリンクと説明集の「アクセルボード」というサイトで、例えば政府など公的機関から出ている経済系レポートのページでは、IMFや世界銀行、FRBといった海外機関から日本銀行など国内機関まで幅広く扱うレポートを見つけ出しており、そこそこ役に立つのではないかと思っている。

この中から一つ旬のものを取り上げると、やはり今後の世界経済の見通しに関するもので、先月出されたIMF予測だろう。(これは日本語で読める)

IMF(国際通貨基金)は1945年から続く国際金融安定化の為の機関であり、世界から経済・財政政策のエキスパートが集まる組織だ。この組織の予測によれば、今年後半にはワクチンの効用と各国政府の経済政策で世界経済が持ち直し、
・2021年には5.5%
・2022年には4.2%
の成長を見込んでいるという。

日頃のニュースに本当か分からない、もっと知りたいものが出た時、より信頼度の高い情報源にあたるのはいかがだろうか。


レポートバンク

2021-01-29 23:51:00 | その他
はじめまして。
レポートバンク管理人です。
このブログでは主に、様々な企業の財務情報やビジネスモデルの変遷や競合比較・競争力分析を行います。これは管理人である僕の趣味で、昔から時間があると本を読み、特に気になることについては調べ、整理していました。

レポートバンクは、「レポートの土手」、つまり様々な情報を集めまとめて伝えることにより、土手にあがったときほんの少し視界が開けるような、そんな嬉しい気持ちを届けたいという志からつけた名前です。

読んだ人にも「読んでよかった」と思って頂けるよう、またこの場を運営してくれている方々にも(多くの読者を獲得することで)運営している甲斐があると思ってもらえるよう、暮らしにつながるような発見をもたらすことを意識して書いていこうと思います。

これまで様々な場でいくつものブログを書いてきて、色々な内容をつめこみすぎる(財務の分析の話とデジタル化の話とビジネスを新たに考えてみる話を一つのブログにつめこむ)ことで品質にバラつきが出ていましたが、
ここでは様々な企業の財務情報やビジネスモデルの変遷や競合比較・競争力分析に集中して、良いメディアとしていけるように取り組みます。

よろしくお願いいたします。

ブログに加えて、A4で10ページ超になるような整理レポートは下記に置いています。スマホでも使える読みやすい媒体がAmazon Kindleだと思ったのでここに出品していますが、いずれ収益は全額寄付予定です。(ささやかな収益ですが…)

→2022/4 更新
収益数千円のところ、150USDの寄付(欧州への人道支援)を行いました。
これにて、寄付制度は終了とさせて頂きます。これまで読んで下さった方々、ありがとうございました。また時間のある頃書き足していこうと思うので、引き続きよろしくお願いします。


よろしくお願いします。