犬のシェルポ君は
たかちゃんが、
病気になり入院する9ヶ月前に来た。
生まれて3ヶ月の子犬だった。
今は
12月で10才になる。
人間でいうなら50代から60代、、
昨日の山登りで
何人かの人に、
「今、何歳?」
と聞かれて、知らない人が撫で撫でしてくれた。
シェルポ君が1才2ヶ月の時に
たかちゃんは入院した。
シェルポ君のご主人様は
たかちゃんだった。
私は、多分シェルポ君の召し使いだったようだ。
シェルポ君は
たかちゃんを尊敬していた。
たかちゃんが帰ってくると、
30分は一緒に遊ぶ。
ボールやぬいぐるみの奪い合いをするが
たかちゃんは決して手加減はせず
シェルポ君は負けばかり。
犬なりに、勝てないたかちゃんを
すごいと思っていただろう。
私は、勝たせてあげるから
順位としては
私は、下だったのだろう。
たかちゃんが
ガン末期で家にいると、
たかちゃんはシェルポ君のことを
「毎日のお友達」
と、言っていた。
たかちゃんのベットにいて、いつも一緒だった。
たかちゃんが亡くなる前日になると、
たかちゃんは、ずっと寝ていて、
起こしても起こしても
起きない。
もう、意識はなかった。
シェルポ君は異変を感じて、
たかちゃんの撫でてくれた手を
ずっと舐めていた。
たかちゃんが家で亡くなった後、
冷たくなっても、シェルポ君は
たかちゃんの側にいた。
葬儀やさんが来て、
シェルポ君はサークルに入れられた。
たかちゃんの側には
シェルポ君の代わりに
ドライアイスが山ほど入れられた。
翌日、
シェルポ君は、動物病院に預けられた。
一週間後、
シェルポ君が家に帰ると、
たかちゃんは居なかった。
リビングのたかちゃんのベットの代わりに
三段の白い布の棚があって
たかちゃんの写真と白い箱があった。
シェルポ君は
たかちゃんがそのうち帰ってくるだろうと
ずっと待っていた。
でも、
待っても待っても帰ってこない。
散歩で駅の方に向かうと
時々、たかちゃんを駅まで迎えに行っていたから
たかちゃんが帰ってくるかなと
シェルポ君は思っていた。
「あっ、たかちゃんと似てる」
そうすると、シェルポ君は
私を強い力で引っ張って
その人の前まで急ぎ足で行って、
振り返る。
また急ぎ足で振り返る、また振り返る。
何度もシェルポ君に覗きこまれた人は、
何なの?とばかりに
シェルポ君と私を見るので
私は、
「家族と似てたもので」
もう、7年も経つけれど
違う場所でも
未だにシェルポ君は
たかちゃんを探している。
家で
シェルポ君に
「たかちゃんは?」
と聞くと、目を伏せるようになってきた。
7年の歳月が、シェルポ君の諦めに似た仕草に
変わってきた。
それでも、
外に散歩に行って
後ろ姿が似てる人に、
微妙に尻尾をふりながら、顔を覗きこむ。
「また違う」
そう思うと、しっぽの動きがなくなる。
いつになったら帰ってくるのかな、、
ずっとそう思って待っているんだね。
私も
たかちゃんが乗っていた仕事の車と同じ色の車が
通る度に、
運転手を見てしまう。
たかちゃんが亡くなって2、3年は
見ていた。
居るはずがないのに。
私は、
たかちゃんの幽霊でもいいから待っている、
シェルポ君は
ずっとずっと待っている。
今は、
私のベットの足元に、
いつも寝ているシェルポ君。
出来たら、
シェルポ君と一緒に死にたい。
どちらも残されるのはイヤだものね。
それは無理だろうね。
もしも、私が先に逝ったら
娘に頼んでいる。
事故に遭えば、明日生きてるかなんてわからない
娘は忙しいから、
面倒をみるのは難しいと思う。
ジャックラッセルテリアの里親制度があるから
それに登録するようにと話してある。
娘は、他人には預けられないと言っている。
この犬種を飼っている人は、
必ず声をかけてくる。
とても我が強い犬種で飼いにくいが、
飼ったら、その魅力にとりつかれる。
同じ犬種のワンコに近づくと、
「うちの犬、噛みますから
近づけないでください。」
そんなことを言われることも。
自由に育てるとそんなこともある。
この犬種を飼ってる人なら頷ける
自由犬なのである。
たかちゃんは噛むことだけはしないように
しつけた。
人を噛んで保健所行きになったワンコを
知ってるから。
趣味が合ってよかった。
シェルポ君も山や野原が大好き。
旅が大好き、
目が輝く。
同じ時を過ごす限り、
どうぞよろしく、シェルポ君。
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