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回想:死別者との出会い①家庭内別居の死別者の言葉

2021-10-28 06:00:00 | 日記
(今から3年半前)



北海道に移住してから
仕事が休みになると
ワンコを連れて旅していた。

オホーツク海の網走近くに
能取岬(のとろみさき)がある。
なにもないが
急に海に向かって開けていく様は
心が解放される。







いつものようにワンコとボーッとしていたら
こんなところなのに、観光バスが2台やってきた。
皆、中年から高齢者が多く
一人で来ている人ばかり。

旅行会社でひとり旅のツアーがあるが
それらしい。

ワンコを連れていると、
話しかけてくる人が多い。
この時も、バスから降りてくる人たちに
ひとり旅とあって声をかけられた。

その中の一人に、
私より一回りは上の女性がいた。

一人者の匂いがするのか、
一緒に岬を散策していると、

女性「あなたは一人で旅してるの?
私「ええ、」
女性「私は一人になったのよ。夫が死んでしまってね」

私はびっくりした。
夫が亡くなってからというもの
未亡人によく声をかけられるので、
またか、、と思った。

女性「死んでしまったってだけで
私「、、、」

てっきり自分と一緒だと思って聞いていたら

女性「私はね、結婚してから夫がいやになって、
でも、離婚ができなくて25年家庭内別居を
していたら、夫が急に死んでしまってね。」

女性「全然何も思わないの、泣きもしないの。

私「でも、長く一緒にいたから悲しくないのですか」

と、聞くと
女性「しくも何とも思わないの。

幸せな結婚じゃないと、
悲しまなくて済むのか
と、、
北海道に移住したからというもの、
自分の意思で行ったにもかかわらず、
死別と向き合って、悲しかったから、
夫を亡くした人は、皆悲しいと漠然と思っていた。


それを聞いていた70代後半の杖をついた男性が、

「俺も半年前に妻が亡くなったんだ。」
「寂しくってしょうがないよ。

私に向かって
握手してくれ」
その男性の手にはカウンター数取器、
よく入場者数を数えるものを持っていた。

私は困って
「どうしてですか?」
とおどけて聞くと、

男性「娘がね、ツアーに勝手に予約して、
1年間に70人の人と握手するようにとノルマを言うんだよ。

私「そういうことなら、協力します。」
と、握手して、
その男性はカチッと押した。


このバスツアーは
関東から来ていて、皆ひとり旅なのだが、
何度かツアーに参加して、
顔見知りが集まってると聞いた。

配偶者を亡くした人もいろいろだなー。
幸せな結婚生活だと悲しみなのに、、
幸せじゃない結婚生活だと悲しみもなく、、


旅の恥はかき捨ててっというけど、、
きっと身近な人には言えなかったのね、、
ため息、、、


あっという間にバスは去って行った。



たかちゃんとの楽しい思い出や
辛い時、一緒に乗り越えた思い出、
そんないろいろな思い出があって
今の私があるのだと思う。
たかちゃんは、もう居ないけど
一人は寂しくて悲しいけど
一緒に居られて良かったよ。
今はそう思う。

でも、この頃は
幸せな結婚が悲しくて、
幸せじゃない結婚は悲しくない?
そんなの不公平だ、
なんてわけのわからないことを思っていたかも、、




宿で飲んだこのビール、
炭酸水みたいに軽いビールだけど、
うすい水色でおいしかった。




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