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はやし

2005-05-18 02:49:23 | ラーメン店調査 (46~50点)
すずらん」と並び、地盤沈下が著しかった最近の渋谷のラーメン・シーン活性化の鍵を握る有力店。特に「はやし」はメニューを一種類のラーメンのみに絞った「一球入魂」の営業方針を旨としており(限定メニューの販売を除く)、従来の渋谷のラーメン屋にはなかったその方針は、渋谷人に「ラーメンとは本来かくあるべき」を再確認させる役割を果たすに十分なものであろう。色々な種類のラーメンを作ってもそれが不味ければ食べ手にとっては何の意味もない。たった一種類のラーメンしか作らなくとも旨ければ食べ手は十分に満足するのである。

場所は「すずらん」と同じく渋谷駅からは近いが、わかりにくいという点においては共通しており、マークシティの左側急勾配の坂道を200メートルほど登って左折したところにあるその小さな店構えはともすれば見落としてしまいそうになるほどである。

営業時間は朝から夕方まで、しかも日曜日と祝日は休みとなるため、大抵の社会人にとって食べに行くことができる機会は唯一、土曜日のみということになり、なかなかアクセスすることすら困難なのではないだろうか。しかし、万難を排して一度は食べに行っておきたい店、それがここ「はやし」なのである。

メニューは、「らーめん」、「味玉らーめん」、「ちゃーしゅーめん」のみと気持ちいいほどシンプルな設定。私は平日の昼時に訪問したが、横一列に並んだ10席のカウンターには客が埋まり、この店が昨年の11月にオープンしたばかりの新店ながらもはや「知る人ぞ知る」繁盛店となっていることが判る。

ホワイトと木の褐色を基調とした清潔感溢れる店内は、カウンターの椅子を黒い革張りのクッションとするなど食べ手が気持ち良く食べることができるよう細心の心配りがなされている。否が応にも出てくるラーメンに対する期待が膨らんでいく。

私は「味玉らーめん」をオーダーさせていただいた。茶褐色の濁ったスープは煮干しが利いているが、煮干しのみに頼ることなくしっかりとダシを取っていることが判る。また、表面にごくわずかに層をなしている油の膜がスープの熱を封じ込める役割を果たしており、最後まで熱々のままラーメンを食することができる。アッサリとしているが奥深く、食べ始めから食べ終わりまで食べ手を飽きさせることのない見事なスープである。

そのスープに合わせている麺は中細ストレート麺。やや硬めに茹で上げられており、食感も良い。具として載せられている青ネギ、柚子はスープの持ち味を邪魔しない程度に抑えられており、良い箸休めとして本来の役割を全うしている。チャーシューは焙り焼きの手法を駆使しているのか、ほのかに炭の香りを漂わせつつもさくっと噛み切れる良品であり好感度は高い。特に、この店についてはメンマの出来映えが秀逸で、食べ手が食べやすいように一口サイズに刻まれている配慮が心憎い。

評価としては、麺:12点、スープ:16点、具:4点、バランス:9点、将来性:8点の合計49点といったところか。

印象に残るような鮮烈なインパクトこそないものの誰もが美味いと思うようなラーメンを丁寧に作る一流店であり、今後への期待も大きい。


所在地:渋谷
実食日:2004年3月

採点方法について
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