黄色い春

お彼岸の中日の今日、こちらは雨はあがって曇り空。
畑のあちこちに揺れる菜の花の黄色は、春の穏やかな景色です。

でも、私には少しだけ、せつない景色です。
この季節になると、必ず思い出してしまう、病室での父のこと。
病院から1歩外に出ると、そこは菜の花畑だったのに、連れて出ることもできなかったね。
いつも黄色く揺れる菜の花を見ながら、母と二人で帰った。
どうか、奇跡でもいいから「生きて」と祈りながら。
菜の花の黄色を見ると、その気持ちを思い出してしまうから。

もうすぐ、3回忌を迎えます。

自分の信念を、強く持った人でした。
いけないことはいけないと、きちんと言う人でした。
人をうわべで見てはいけないこと、差別してはいけないこと、いじめを許しちゃいけないこと・・・
父の態度や言葉から学びました。
掃除が好きなきれい好き。ちょっと頑固で、厳しい父でした。
怒ると最高に怖かったです。
でも、孫には優しく、よくいろんなところへ連れていってくれました。
本当は心優しく、思いやりにあふれた人でした。

銀行の支店長さんまでやったけれど、退職後は近所のゴルフ練習所で球拾い。
いろんな職業をやってきた人と、話すのが楽しいのだと、笑いました。
でも、そこでも父は、こわいおじさんとして知られました。
マナーの悪い客には、きっぱりと注意していました。
畑仕事も好きで、よくいろんな野菜を、家まで届けてくれました。

今日は、プロ野球パ・リーグ開幕戦。
ソフトバンクの劇的な逆転勝利に、我が家はお祭り騒ぎ。
父も、プロ野球を見るのが大好きでした。
でも、父はなぜか巨人ファンでした。
よく、うちの旦那と、お酒を酌み交わしながら、プロ野球談議をしていたっけ。

高校生のころ、厳しい父を苦手だと思いました。
二人になっても、何を話せばいいの？と思いました。
それでもやっぱり大好きで、今は、とっても尊敬しています。

そんな父に育ててもらった私は、父ほどの強さも厳しさもないけれど、大切なことは何かを
ちゃんとわかっているつもり。
そして私の娘たちもまた、同じ気持ちを心に持った人に、育っていると思うよ。。。

春風は、父への想いを乗せて、ゆらゆらと。
菜の花揺れる、ちょっとせつない春の始まりです。