「まさか・・・・・・」と主治医。
某医学学会へ連日通いつめたことに驚き、
『ご厚意を拝受した教授への御礼をお伝えしなくては恩義に反するでしょう?』と私。
唸る主治医。
『執念よ』と言いながら差し出した。
品川駅構内でしか販売していない100%ジュースに酢が入ったものを飲んで、
忙殺の日々、主治医の過労を知ってしまった以上、
それを飲んで私の体調は底上げしたから、今度はレポート宜しくね、と言うと、
その差し入れの重さに「嫌がらせだ~」と主治医。
にこにこしてる。
院内職員の多くの態度が変化した。
主治医が私と仲良くしている看護師へ連日学会が終了してから
点滴や診察に来ていることを告げたらしく、それを他職員も耳にしたらしい。
当初、主治医の口演のためだけに行くのだと思っていたのに違ったのね、
主治医よりもあなたの方が上よ。
あなたの方が患者でありながら疾患にも詳しく、
また、主治医を信頼している姿勢が彼もあなたには心を許してなんでも話すのよ、と。
しかしよくその身体で・・・と言われたので『執念です』と二度言うことになろうとは。
そうなのだ。
この執念の実現は、私ひとりの力ではなく、多くの方々の恩恵の上に成立している。
かき集めふりしぼった力は、患者としての集大成となる今回の機会への参加を希求し、
私の、主治医のうしろには他疾患を含む患者の未来を左右し兼ねないことを感受し、
私にとって人生の、疾患取り扱いの転機となることを実感する3日間となった。
ご厚意だけでも有難いのに、
御礼をお伝えするために大学病院関係者にその旨を伝えると、
おそらく教授の部下であろう医師はすぐさま関係者へ指示を出し、
初日とはメンバーが相違しているためか、カラーがその教授色に変化していた。
虹のように七色に。
疾患などに対する意見交換をさせていただき、私はあらためて御礼を伝え深々と頭を下げた。
いつでも連絡をしてください、お待ちしていますから、との医師の言葉に
医師の懐の深さや人格の形成の陰に隠れた悲哀を、少しだけ嗅ぎ取った心境になった。
ご縁とは不思議なものだ。
そして、その恩恵は私ひとりだけの力で成せるものではなく、
また、それをあしたへ続く方々のために役立たせなければと自分と約束した。
神様(盟友)とも約束をした。
じーちゃんともばーちゃんとも。
もちろん、主治医たちとも約束をして、心の中で感謝した。
みなさんのお陰様によって生かされているのだと思った。