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『デッド・カーム 戦慄の航海』

2008-04-09 10:44:20 | オーストラリアとその映画・演劇
デッド・カーム 戦慄の航海

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昨日、テレビ東京【午後のロードショー】で放送した映画。
日本では劇場未公開のオーストラリア映画ですが、ソフトが発売されたのは、若き日のニコール・キッドマン主演だからという理由によるものでしょう。
ニコール・キッドマン、当時24歳。売り出し中の若手女優として、名実ともに初めて主演を務めた映画です。この後、彼女はハリウッドに進出、以後はバズ・ラーマン監督『オーストラリア』(ポスト・プロダクション)に到るまで、豪映画に出演することはありませんでした。
またフィリップ・ノイス監督も、この後ハリウッドに行き、トム・クランシー原作「ジャック・ライアン・シリーズ」の『パトリオット・ゲーム』『いまそこにある危機』という、或る意味「アメリカ」を象徴するような作品の監督を務めることとなります。

さて『デッド・カーム』ですが、ヨットでクルージング中の夫婦(ニコール・キッドマン&サム・ニール)が漂流中のスクーナーの唯一の生存者(ビリー・ゼイン)を救助したことから、恐怖が始まる──という訳で、登場人物は殆どこの三人だけで、調査に赴いたスクーナーに取り残された夫、怪しい男と二人きりになってしまった妻それぞれの苦闘を描き、豪映画には珍しく社会性のかけらもないサスペンス・ストーリーに徹しています。
元のスクーナーで何があったのか、男が何をしたのかということが(その「結果」以外は)暗示的描写にとどめてあるのも、彼の不気味さを際立たせています。

二十代前半のニコール・キッドマンは、現在のようなゴージャスブロンド美女ではなく、髪の色も本来の赤毛っぽい色だし、スレンダーなボディも少年ぽくて、どこかシガニー・ウィーバーを思わせました。
そう言えば、船への闖入者である「彼」は、まさに理解不能の「エイリアン」的存在として描かれています。演ずるビリー・ゼインは何と言っても『タイタニック』のキャルが有名ですが、全く船の上でろくなことをしない人だ、と思ってしまいました(笑)。
夫役サム・ニールは、ニコールとではかなりの歳の差夫婦という感じですが、もちろん今より若々しくてカッコよかったし、台詞は少なくとも「その場」の状況を的確に表現できる演技はさすがでした。

なお、この映画のプロデューサーはジョージ・ミラー。もちろん『マッドマックス』『ベイブ』『ハッピーフィート』の監督でもある、あの「ドクター」ジョージ・ミラーです。
そんな訳で、スタッフ、キャストとも「オーストラリア映画」がハリウッド市場に注目されるきっかけを作った一本と言えるかも知れません。

参考資料:『オーストラリア映画史』佐和田敬司(オセアニア出版社)

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