のち
そういう訳で、昨日は無事『300<スリーハンドレッド>』『プレステージ』2本立てを敢行して参りました。幸い最もうちに近いシネコンが最も観易いタイムテーブル設定をしてくれていたので、どちらも初回を観ることが出来たし、2本の間に昼食を摂る時間もありました。
で、まずは『300』について、ネタバレありの感想です。
カテゴリはとりあえずここで。いずれ「DW出演作感想」に移します。
デイヴィッド・ウェナムがこれに出演するという驚愕の情報を得てから一年半以上も追っかけて来た映画だけに、やっとこの日が来たと、感慨深かったです。
海外では賛否あったと聞いていたので、公開前には多少の不安もありましたが、いや面白かったです。
下馬評通り映像は本当に美しく、戦闘シーンで翻る赤マントや、オラクルの衣の動きなどは、映画と言うよりファンタジーアートのようです。ビジュアルエフェクトに手間がかかり、ポストプロダクション期間が一年以上あったのも納得の出来映えでした。
アクションシーンにもかなりの手が加えられていて、そういうスローモーション等を多用した演出というのは、観る側の生理に合っていればいいけれど、外れてしまうと苛つくだけということになりがちですが、この映画ではそれらの効果が文字通り効果的に用いられて心地よいものでした。
効果を加えてはいても、アクションそれ自体は、本当に俳優さんたちが生身をフルに使っていることも判ります。観る前は気恥ずかしく感じていた「革パンツ一丁にマントだけ」のコスチュームも、抑えた色調のおかげもあって、全く気にならず、それらも合わせて素直に「美しい」と感じられました。
彼らにとっては、あの生身の肉体こそが最高の戦闘服なのだと理解できた気がします。
ところで、日本の武将たちも同じですが、一軍の将とは本来最も強い人のことだったんですよね。それが「お飾り」になってしまったのはいつ頃からなんでしょう?
と、改めて思ってしまうくらい、王様強かったです。
それだけではなく、予告等ではあの声でシャウトしているようなシーンばかり観て来たので、そういう「イッちゃった」リーダーかと思いきや、終始冷静で、ちゃんと情理わきまえた立派な王様でした。
正直言うと、ジェラルド・バトラーという人をこれまで「巧い」俳優だと思ったことはなかったのですが、このレオニダス王は本当に素晴らしかったです。
大王の前に跪く前後から槍を投げるに到るまでの一連の演技などは、その気迫や集中力がそのまま映画自体のテンションと一体化し、最高のクライマックスシーンを作り出していました。
これこそ主演俳優の仕事だということを見せつける、堂々の主役演技です。
また、フランク・ミラーの原作では殆ど触れられていない王と王妃のエピソードを増やすと聞いた時には、とかくこういう「男の映画」に変な風に女性が絡むとウザくなりがちなもの、と危惧していましたが、結果としてこの脚色は大成功でした。
彼らの夫婦愛や、国や市民たちへの思いが描かれた結果、帰還したディリオスが形見を渡すシーンから、あのラストに到るまで、人を動かすのは人の「思い」だということが、より強く伝わったと思います。
さて、この映画に興味を抱くきっかけとなったデイヴィッド・ウェナム=ディリオス。
彼のナレーションについて、「うざい」「癖ありすぎ」という評も国内外問わず時々目にしますが、あれは状況を客観的に見ての「説明役」の語りではないんですよね。
彼の最初の登場シーンからも判るように、スパルタで生まれ育ち、あの300人の一人として実際に戦った人間が、後に続く者たちへ語って聞かせる「物語」なのだからあれでいいと、私は思いました。
また、ラストシーンに到って、彼の「語り」はまさにその瞬間のためにこそあったのだということが判る、あの構成も見事なものでした。
それまではそれこそちょっと癖のある感じの発声だった彼の声が、その大演説に相応しいものへと次第に変化して行く様を、是非聴き取って頂きたいと思います。
それにしても、「アジンコート」はここにも影を落としているんですね。
以下ちょっとアレな文章なので伏せます。
デイジーやっぱり一人で白っぽくて、黒い長髪が基本のスパルタンの中、短髪キラキラで、そりゃ「他のスパルタ兵とは違う」よね。
映画を観ると、王様と隊長とディリオスは古くからの友人だったみたいな感じだし、ということは、あの300人の中では年長組に属するんだろうけど、なぜかカワイコちゃんポジションに見えてしまう。
体型と言い、あのハードなスパルタ教育を経て戦士になったとは到底思えません。
ザック・スナイダー監督は劇場公開作品としてはこれが2作目ということですが、ストーリーも映像の上でも無駄な描写がいっさいなく、2時間以上観る側の集中力をも持続させる手腕はかなりのものだと思いました。
昨今の世界情勢とリンクさせての批判などは全くの的外れであることも、実際に観て判りました。だって、あのペルシャ軍を見て、現実のペルシャ帝国や、まして現在のイランと混同する人なんてまずいないでしょう。しいて言うなら、時代物の歌舞伎に近い演出がなされているという印象です。
でも、ロドリゴ・サントロくんは本当にご苦労様でした……
また、「白人たちが有色人種を殺戮しまくる映画」というような評も、評する側に或る種の恣意や色眼鏡がないのであれば、また的外れなものです。
少なくとも「ヨーロッパ対アジア」というような、現実の地勢にとらわれた図式で見るべきではないと思います。
だって、あらゆる国と人種を飲み込み、自らの前に跪く限りは寛大だと告げるような「大王」を戴く国と言ったら、どうしたって現在の中東の国々とは対応しないでしょう。いま現在のこの世界で、そういったことに相当する国家は別に存在すると思います。
なので、映画の中で語られる「自由と民主主義」とは、いま現在のどこかの国が標榜するものではなくて、案外本来の意味に近いのではないかと思った次第です。
そういう訳で、思いの外ちゃんと楽しめた映画でしたが、ただ一カ所、少年時代のレオニダス王を語る「スパルタの掟」シークエンスには目を背けたくなりました。
私、血飛沫も腕が飛ぶのも首チョンパも別に平気ですが(特にこの映画では「マンガ的」処理がされていたし)、児童虐待系の話だけはどうにも堪えられません……
拉致され、無理矢理少年兵にされてしまうアフリカの子供たちのことなど思い出し、そのシーンだけは現実世界とリンクしてしまって暗澹たる気持ちになりました。
スパルタやスパルタの女性たちについては、このサイトなどが参考になりますので、ご興味があればご覧下さい。
ラケダイモン人の国制
ラケダイモン人たちの古習
ラコニア女たちの名言集
↑ゴルゴ王妃の言葉も紹介されています。
そういう訳で、昨日は無事『300<スリーハンドレッド>』『プレステージ』2本立てを敢行して参りました。幸い最もうちに近いシネコンが最も観易いタイムテーブル設定をしてくれていたので、どちらも初回を観ることが出来たし、2本の間に昼食を摂る時間もありました。
で、まずは『300』について、ネタバレありの感想です。
カテゴリはとりあえずここで。いずれ「DW出演作感想」に移します。
デイヴィッド・ウェナムがこれに出演するという驚愕の情報を得てから一年半以上も追っかけて来た映画だけに、やっとこの日が来たと、感慨深かったです。
海外では賛否あったと聞いていたので、公開前には多少の不安もありましたが、いや面白かったです。
下馬評通り映像は本当に美しく、戦闘シーンで翻る赤マントや、オラクルの衣の動きなどは、映画と言うよりファンタジーアートのようです。ビジュアルエフェクトに手間がかかり、ポストプロダクション期間が一年以上あったのも納得の出来映えでした。
アクションシーンにもかなりの手が加えられていて、そういうスローモーション等を多用した演出というのは、観る側の生理に合っていればいいけれど、外れてしまうと苛つくだけということになりがちですが、この映画ではそれらの効果が文字通り効果的に用いられて心地よいものでした。
効果を加えてはいても、アクションそれ自体は、本当に俳優さんたちが生身をフルに使っていることも判ります。観る前は気恥ずかしく感じていた「革パンツ一丁にマントだけ」のコスチュームも、抑えた色調のおかげもあって、全く気にならず、それらも合わせて素直に「美しい」と感じられました。
彼らにとっては、あの生身の肉体こそが最高の戦闘服なのだと理解できた気がします。
ところで、日本の武将たちも同じですが、一軍の将とは本来最も強い人のことだったんですよね。それが「お飾り」になってしまったのはいつ頃からなんでしょう?
と、改めて思ってしまうくらい、王様強かったです。
それだけではなく、予告等ではあの声でシャウトしているようなシーンばかり観て来たので、そういう「イッちゃった」リーダーかと思いきや、終始冷静で、ちゃんと情理わきまえた立派な王様でした。
正直言うと、ジェラルド・バトラーという人をこれまで「巧い」俳優だと思ったことはなかったのですが、このレオニダス王は本当に素晴らしかったです。
大王の前に跪く前後から槍を投げるに到るまでの一連の演技などは、その気迫や集中力がそのまま映画自体のテンションと一体化し、最高のクライマックスシーンを作り出していました。
これこそ主演俳優の仕事だということを見せつける、堂々の主役演技です。
また、フランク・ミラーの原作では殆ど触れられていない王と王妃のエピソードを増やすと聞いた時には、とかくこういう「男の映画」に変な風に女性が絡むとウザくなりがちなもの、と危惧していましたが、結果としてこの脚色は大成功でした。
彼らの夫婦愛や、国や市民たちへの思いが描かれた結果、帰還したディリオスが形見を渡すシーンから、あのラストに到るまで、人を動かすのは人の「思い」だということが、より強く伝わったと思います。
さて、この映画に興味を抱くきっかけとなったデイヴィッド・ウェナム=ディリオス。
彼のナレーションについて、「うざい」「癖ありすぎ」という評も国内外問わず時々目にしますが、あれは状況を客観的に見ての「説明役」の語りではないんですよね。
彼の最初の登場シーンからも判るように、スパルタで生まれ育ち、あの300人の一人として実際に戦った人間が、後に続く者たちへ語って聞かせる「物語」なのだからあれでいいと、私は思いました。
また、ラストシーンに到って、彼の「語り」はまさにその瞬間のためにこそあったのだということが判る、あの構成も見事なものでした。
それまではそれこそちょっと癖のある感じの発声だった彼の声が、その大演説に相応しいものへと次第に変化して行く様を、是非聴き取って頂きたいと思います。
それにしても、「アジンコート」はここにも影を落としているんですね。
以下ちょっとアレな文章なので伏せます。
デイジーやっぱり一人で白っぽくて、黒い長髪が基本のスパルタンの中、短髪キラキラで、そりゃ「他のスパルタ兵とは違う」よね。
映画を観ると、王様と隊長とディリオスは古くからの友人だったみたいな感じだし、ということは、あの300人の中では年長組に属するんだろうけど、なぜかカワイコちゃんポジションに見えてしまう。
体型と言い、あのハードなスパルタ教育を経て戦士になったとは到底思えません。
ザック・スナイダー監督は劇場公開作品としてはこれが2作目ということですが、ストーリーも映像の上でも無駄な描写がいっさいなく、2時間以上観る側の集中力をも持続させる手腕はかなりのものだと思いました。
昨今の世界情勢とリンクさせての批判などは全くの的外れであることも、実際に観て判りました。だって、あのペルシャ軍を見て、現実のペルシャ帝国や、まして現在のイランと混同する人なんてまずいないでしょう。しいて言うなら、時代物の歌舞伎に近い演出がなされているという印象です。
でも、ロドリゴ・サントロくんは本当にご苦労様でした……
また、「白人たちが有色人種を殺戮しまくる映画」というような評も、評する側に或る種の恣意や色眼鏡がないのであれば、また的外れなものです。
少なくとも「ヨーロッパ対アジア」というような、現実の地勢にとらわれた図式で見るべきではないと思います。
だって、あらゆる国と人種を飲み込み、自らの前に跪く限りは寛大だと告げるような「大王」を戴く国と言ったら、どうしたって現在の中東の国々とは対応しないでしょう。いま現在のこの世界で、そういったことに相当する国家は別に存在すると思います。
なので、映画の中で語られる「自由と民主主義」とは、いま現在のどこかの国が標榜するものではなくて、案外本来の意味に近いのではないかと思った次第です。
そういう訳で、思いの外ちゃんと楽しめた映画でしたが、ただ一カ所、少年時代のレオニダス王を語る「スパルタの掟」シークエンスには目を背けたくなりました。
私、血飛沫も腕が飛ぶのも首チョンパも別に平気ですが(特にこの映画では「マンガ的」処理がされていたし)、児童虐待系の話だけはどうにも堪えられません……
拉致され、無理矢理少年兵にされてしまうアフリカの子供たちのことなど思い出し、そのシーンだけは現実世界とリンクしてしまって暗澹たる気持ちになりました。
スパルタやスパルタの女性たちについては、このサイトなどが参考になりますので、ご興味があればご覧下さい。
ラケダイモン人の国制
ラケダイモン人たちの古習
ラコニア女たちの名言集
↑ゴルゴ王妃の言葉も紹介されています。
映像のタッチのせいか、あのお衣装も手足が飛ぶところも危惧してたほど気になりませんでした。
私も少年時代のナニだけはちょっと…、と思いましたが…。
スローモーションもあざとくならずいい感じでした。
ウェナムさんは…。うーん、もう一回見てみないとって感じでした。
ウェナム派としては底の浅い未熟者ですが、なにとぞよしなに。
私もどんな映画になっているのか心配で、あまり期待しないでおこうと思っていましたが、実際に観たら思いのほか楽しめました。
アクションシーンも、マトリックスとはまた違った感じで美しかったですし。
ところでウェナム氏ですが、「ディリオス」という名前がちゃんと出て来るのは、後半になってからだったような……
私はこの映画で彼を見ると、(わかってはいたけど)なぜか笑いがこみ上げてしまいました
TBありがとうございます。後ほどこちらからも送らせて頂きます。
チャットではお世話になっております。
試写会、先行とチャンスを逃して来た私も、やっとこの映画が観られました。
DW=ディリオス、いろいろ面白かったです(笑)。あの役(ポジション)や演技については、彼に何を期待するかによって、ファンの中でも反応は様々だという感じですね。
TBもありがとうございました。これからもよろしくお願い致します。
300、面白かったですよね!
私はそういう批判があったのは全く知らなかったのですが、
Qさんのおっしゃる通り、
素直に見ていれば全然そんなことはないと思いました。
むしろ変な色眼鏡で見てしまっているから
人種差別とかの批判が出てくるのではないかと。
ただ私も幼少時代のシーンはあまり好きではありませんでした。
同じ年くらいの弟がいるので
どうしても重ねて見てしまって(^_^;)
デイヴィッド・ウェナムさんはこの映画で
初めてお目にかかりましたが素敵な俳優さんですね♪
美しい方だなっと思いました。
コメントありがとうございます。お返事がこんなに遅くなってしまい、たいへん失礼致しました。
この映画、公開前にネガティブな評も伝わって来たり、登場するのが何しろパ×ツ軍団だしで、私自身にも先入観がありましたが、実際に観たら、そんなものは吹き飛んでしまいました。
デイヴィッド・ウェナムさん、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズが有名ですが、今回もけっこう見所があって嬉しかったです。
『300』については、彼が「映画史に残る画期的な映像表現」だと語っていましたが、その通りでしたね。
でもCG効果だけじゃなくて、王様バトラーさんを筆頭に、俳優さんたちの生身の動きも素晴らしかったです。
観易い時間帯で上映してくれている内にもう一度行ってもいいかも。
TBもありがとうございました。