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凛花の足跡

流れ行く時の中で、ふと止まってもらえたら光栄です。

手帳の星

2006-12-06 01:50:05 | ブログで奏でる詩
手帳の中で星達が示す
僕たちの物語

君に会える日に
星を一つ

仕事の予定の片隅で
そっと愛を奏でていた


もう何冊も紡いだ恋
星がちりばめられた手帳

けれどもう瞬かない
寒い冬空には白い息
どんなに澄んでいても
そこは深い闇があるばかり


満月だけが僕を見つめる

標のない路

2006-11-18 01:08:57 | ブログで奏でる詩
遠くから背中で貴方を意識して
気付いて欲しいのに素知らぬ振り


あぁ秋は深まり紅葉は揺れて
吸い込まれそうな青空にココロを映す


駆け寄って傍にいたいと思っても
その先にあるものに明るさはない


あぁ秋は深まりススキも揺れて
終わりを告げる紅い陽にコトバが燃える


毎日真夜中に明日が訪れるけれど
私にとって貴方との別れが今日の終わり


あぁ秋は深まり水面は揺れて
木枯らしでさえ消せないものがココにある


今だってそう逢いたいけれど
想うだけそれだけでもう罪ならば
いっそ知らないままの方がいい
標のない路をただ彷徨うくらいなら

長いレール

2006-11-15 01:14:41 | ブログで奏でる詩
答えのみつからないものばかり
周りに増えていって
何なのかわからないものほど
大切な存在だと気付く


目的もあやふやで
ただ現在があるだけ
それでもこうして息を重ね
生きていこうと思う


すべてを失った方が
楽になれるかもしれないけど
どんなに抗おうが
どんなに醜かろうが
もがいて悩んで行こう


未来は未知のものだから

忘れられぬ人

2006-11-08 10:08:35 | ブログで奏でる詩
すれ違う風の香りに
ふと足を止め振り返ってしまう


無造作に流れる音で
突然何も考えられなくなる


決して同じものであるはずがない
空にも夕陽にも波にも花にも
面影のかけらをみつけて熱くなる


想い出す度に灯る花火を
いつだって胸に抱いている


それは線香花火のように
弱々しいけれど
咲き落ちた花火の種が
次の花へと送りだす


見慣れた街にも
初めて訪れる場所にも在る
いつまでもいついつまでも
消えることはない


忘れられない人の
大切な想い出



ハナのカサ

2006-11-07 01:49:12 | ブログで奏でる詩
雨が嫌いになったのは
いつからだろう


全身を滴で光らせて
駆けていた日々
大好きだった日々



濡れるのが嫌い
重い息が嫌い
カサも嫌い


曇り空に向けて咲くハナは
だんだん大きくなっていったけど
ふわふわくるくる揺れて
どこか自信無さげだ



だけど今
私は雨を焦がれ待つ


巣を見失ったハチが
揺らぐハナの中に
ひととき休むにすぎないと
知っていても


私は雨を焦がれ待つ
雨と共に訪れる
あなたを待ちわびる

ニセの太陽

2006-10-31 23:49:45 | ブログで奏でる詩
刺さったままのナイフを
抜けずに歩く今宵も
遠くにきたつもりでも
結局そんなに離れられず


寒いからと寄り添う二人
温もりなど伝わるわけない
冬眠するクマこそが
アタシと同じ魂


多角形の一辺すら担えず
線でも点でもなく
空気のように必要とされず
ニセの太陽が照らす中
影を隠している
アタシなどもう…

涙がぬらしたもの

2006-10-16 11:46:48 | ブログで奏でる詩
地面を蹴る音がおさまったら

雫が真下に落ちた

座り込んで溢れる後悔

こんなにも好きだったと

知っていたはずなのに

強がることでしか

自分を守れない



二人で過ごした

束の間の夢

でもそれは幻想ではなく

記憶の中で鮮やかに生きる

もう戻れないとわかっていても



涙がぬらしたものは

頬じゃない

あなたとの過去

時間だ

訪れなかった未来

そう時間だ

焦燥

2006-09-29 00:23:21 | ブログで奏でる詩
今ここに生きていたことを

忘れられるのが

一番怖い



一瞬で触れては消えてゆく時間の中で

少しでも何かを残せる人は

幸せだと思う



何のために生まれたのか

何のために生きているのか

もがきながら喘ぎながら

今日という一日も終わってゆく



声にならない叫びが

明かりをあびる事も無いままに

隠の美

2006-09-22 22:19:23 | ブログで奏でる詩
背後の視線に

文字と文字の間に

真昼の隠れている月に

貴方の瞳の奥に

人は何を想うのか



雨が降る空の上に

映し出す鏡の中に

鳴り止まぬ譜の谷間に

微笑む口元のそばに

人は何を求めるのか



夢かうつつか幻か

結果がどうであっても

そこに何かがあると

期待してさまよう



見えないものに

人は愛を探す



母の魔法

2006-09-01 23:46:24 | ブログで奏でる詩
友達とけんかをした
ぼくは何にも言わないのに
お母さんにはわかるらしい

なあぜときくと
お母さんは片方の目を閉じて
魔法使いだからと答えた


怒られたくなくてうそをついた
ひっしでかくしているのに
お母さんにはわかるらしい

なあぜときくと
お母さんは悲しそうに
魔法使いだからと答えた


病気のときおなかが痛くなると
お母さんが丸い手でさすってくれた
不思議とだんだん痛くなくなった

なあぜと聞くと
お母さんは優しい声で
魔法使いだからと答えた


ほうきに乗って空を飛べない
つえを使って薬も作れない
そんな魔法使いなのに
ぼくが大きくなってしまっても
お母さんはいつまでも
ぼくだけの魔法使いだった


たとえ姿が消えてしまっても
お母さんの魔法は
心にいつも残っている