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霊媒師中岡百斎の逸話 エピソード1『狐狗狸』(コックリさん)

2005年04月22日 | 実話!!妖怪・心霊
霊媒師中岡百斎の逸話 エピソード1『狐狗狸』(コックリさん)

 はじめに記述させてもらうが私は別に、TVなどの霊体験などを100%信じているワケではない。むしろ、その反対だ。ビデオ等で販売されている心霊映像などのほとんどが作り物で、娯楽作品に過ぎないと思っている。しかし、中には不可思議な事もある。理屈では理解できない事がある。例えば、人類がここまで進化した事自体、何者かの意志のように感じる事はないだろうか?自然は宇宙の意志によって生み出されたものだとしたら、霊の存在の否定も肯定も私たち人間には容易ではない。

 母の父親であり、私の祖父である中岡百斎は奈良の大仏の改修工事にも携わった事のある立派な僧で霊媒師であり、いあわゆる陰陽師等に分類される霊師能力者だったという。(上の写真は貴重な物で数少ない祖父の写真である。向かって右上が祖父の中岡 百斎。左下が一番弟子の神野 数、そして右下が神野氏の妻である)1969年頃に亡くなっている(神野氏は2004年に逝去)。しかし、その伝説はいくつも母から聞かされていて、どれが本当なのか、嘘なのか、いや、全部嘘なのか?全部本当なのか?理解出来ない。祖父の話をするとそれだけで本が出来てしまうぐらい、いろんな話がある。今回はその中からコックさんにまつわる話を記述したいと思う。

 そもそも僧と言っても祖父は昭和中期には京都の自宅に小さな神を祀る神殿らしきものを持っていたらしく、それは長くつらい修行の成果であり、霊媒師としていろんな人の呪いや怨霊を追い払っていたという。所謂、エクソシスト的な仕事も承っていたと言う。しかし、それだけではない。祖父は術も使えたらしく、いろんな術を駆使したと言う。かの有名な大映の映画『化け猫』シリーズ(怪猫呪いの壁/勝新太郎主演など)は中岡百斎の息子、(私の叔父にあたる)中岡源権氏の照明の演出で有名である。鏡レフの生みの親でもある。その照明の暗さによる恐怖の表現は『リアル』と海外でも絶賛され、近年「たそがれ清兵衛」日本アカデミー賞(照明部門)を受賞している。しかし、そのリアルな表現の裏には父、中岡百斎の数奇な術や体験によるものではないだろうか?

 『コックリさん』という映画があるが、昔から『狐狗狸』という当て字がある。これはキツネやタヌキの霊を意味する。比較的これらの動物霊は付き易いとされ、それらの霊を呼び出す為、10円玉等のお供え物を文字の書いた紙の上にのせ、三人が各自の右手の指で10円を押さえ、その一人が祈りごとをすると、自然に10円が動きだし、その動き方で吉凶を占う。科学的には、その中の一人以上の望む希望が無意識に働き、10円を動かすという学者もいる。実際、そうなのだろう。ただ、祖父の話では中には本当に動物の霊を呼び出してしまう事があり、呼び出すのは簡単だが、問題は霊を還す際に失敗するとキツネやタヌキとは言え、大変な事になってしまうので、動物霊だと言って簡単に呼び出してはいけないと言う。

 ここからは幼年期の母の話を元に構成しましたので、全てを鵜呑みにしないで下さい。あくまでも母の頭の中では以下のように記憶されているのです。

 ある若い女性がそのコックリさんが原因なのか、狐の霊に取り憑かれたと言って祖父百斎の処に運ばれて来た。女性はすでに常軌を失ったようにしかみえない。よだれを垂らし、ウ~、ウ~としか言わず、目は鋭く、時々白目をむき、四つん這いになり、砂を口に入れ食べてみたり、水を器でガブ飲みしたり、まるで人ではないようだった。百斎は毎朝行っている乾布摩擦(かんぷうまさつ)を終わらせると、いらだつ依頼人を後目に「少し、待っててくれ」と言うと、朝食を摂った。しかし、これには理由があった。長引く事を百斎は知っていたのだ。悪霊払いの儀式の間は霊媒師の絶食は常識だった。その為、二週間も続くと自分の命も危ないと言う。
百斎はその女性を見ても顔色一つ変える事がない人だった。女性は胸を露にボサボサの髪の毛(何日も洗ってないのだろう)を逆立て百斎に向かって来たが、百斎は手で頭を抑える。「乳が見えてるぞ」とわけの分からん事を言う。女は百斎の手を払いのけ、今度は手に噛み付いた。百斎の手から血が出たが、慌てる様子は百斎にはなかった。今度は百斎が水をかけると女性は苦しんだと言う。その隙にみんなで縄で縛り付ける。拝みはじめると、暴れ出し、縛っていた縄を一部ちぎって、女性は百斎に飛びつき、噛み付いたり引っ掻いたりする。一番弟子の神野氏はいささか短気なので、その女性に飛びついて、ひっぺ剥がそうとする。他のメンバーや女性の両親も手伝うがなんと、その5、6人が宙に舞い、ふすまを破って庭に、廊下に転がる凄まじさだったと母は言う。(もっとも信憑性には欠ける)とにかく女性は、神殿のろうそくの油はすすり飲むは、凄まじい声を上げるは、それはそれは悪夢のような日々が三日三晩続いた。百斎は「単なる狐じゃないかもな・・・、長寿の狐は時に変化する」などと言ってフラフラになった、その足でもう一度、拝みはじめた。それから更に三日間続くが、女性は胃液を吐いたり、排便をそのまま行うため、部屋は物凄い悪臭と妖気に満ち、その苦痛は頂点に達していた。みんなヘトヘトになり、すっかりあきらめ顔、女性の両親でさえ、このままでは娘の命が危ない自体もあるのでは、と考え出し、抗議したと言う。しかし、その夜、事態は急変した。ピッシャという音がしたかと思うと、尻尾が三つも生えた猫のような狐のような形の影がふすまに映っり、次の瞬間、物凄い霧なのか、煙なのか、何かが立ちこめ、百斎が怒鳴る!!あまりの恐怖に周りの者は身動きもできなかったと言う。視界が明るくなると、部屋には女性の姿はそこにはなく、なんと、庭の地面に倒れていたという。しかし、その顔には邪気がなく、目を開けた後もしばらく言葉を発しなかったが、すぐに話しだすと、本人の記憶には残ってなかったのか、今までの事を聞いたと言う。両親は(まさに)狐につままれたような顔をしていたが、しばらくして笑顔に変わった。ホッとしたのか百斎はフラフラになった。家の掃除を妻(ぼくにとっては祖母)や神野氏にまかすと部屋に戻って眠った。あくる日、元に戻った娘の両親が礼を言いにやって来た。百斎は飲んでいた酒を隠すと(酒を飲むのはご法度だったのではなく、貧乏なので人に飲ませたくなかった)お礼(この場合はお金)を受け取った。それからしばらくして妻が、百斎をご飯の時間だと言いにいくと、既に姿はなかった。当時の京都は魅力的な街だったのだろう。驚くのはその体力なのかもしれない・・・一週間も飲まず喰わずした男があくる日には、女遊びに行くほど体力が回復しているとは・・・。もっとも後に女遊びが原因で身を滅ぼす事になるとは、その頃の百斎にはわからなかったのだろう。

とにかく母の話を要約するとこのようなものだ。信じる人も、科学的立証を考える人もいるだろう。しかし、私だって、昭和中期に妖怪や魑魅魍魎の類いがうろうろしていたとは思わない。しかし、もしあなたにだってジンクスや縁起をかつぐ事はあるだろう。それは目に見えない力を人間はどこかで信じているからだと思う。だから私はこの話を信じる信じないではなく、母の記憶に残った、何らかの教訓として受け止めている。


明日はZ級シネマ・エッセイ「ゾンビラッシュの便乗作『ゾンビ・オブ・ザ・デッド』&『チルドレン・オブ・ザ・デッド』」です。

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4 コメント

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トラバ (ちょり)
2005-04-22 15:27:44
ありがとうございます。これから少し読ませていただきます。それではこれからも同じようなテーマがあればトラバやコメントお待ちしております。
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参考になりました・・・かも^^ (mikapapa)
2005-05-08 00:37:58
先日、娘が、友達数人で「こっくりさん」やって、ちょい、どたばたしたので、調べてて、ここに来ました。参考にさせてもらいます。
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本当に良かった!! (TenQ(烏啼天駆):管理人)
2005-05-08 11:18:01
お母さんの見事な配慮により、解決したようで、本当に良かったと思います。

子供にはまだまだ夢や空想が豊富にあり、それを頭から否定するのも後々の教育に支障を生じるでしょうし、今回のように鵜呑みにされるのも、困りものですよね。

全国には、今回の映画等の影響で同じように困っている保護者の方が多いと思います。

子育てとは本当に大変ですね。

mikapapaさんもこれからも色々、大変だと思いますが、頑張って下さい。

ウチはやっと今年から18歳で手が離れます。もう、祖父や地獄、幽霊の話など信じなくなりました。それはそれで保護者として寂しいものです。

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私の父です (金太郎)
2011-09-04 19:06:50
中岡百斎 本名:中岡百蔵このブログに書いてある事は本当に私が経験した事です。
今で言えば霊能者、これ以上に体験した事がたくさんあります。
私からみたら管理人さんは甥っ子にあたります。(たぶん...)
お母様に「金太郎を知ってるか?」と聞いていただければ本当か嘘かわかると思います。
また覗きに来ます。

PS
こっくりさんの力を侮るなかれ!!
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