「龍馬伝」は、弥太郎の回想録をもとにストーリーが展開。最終回では、坂本龍馬(福山雅治)と中岡慎太郎(上川隆也)が暗殺された後、弥太郎の最期のシーンが流れたが、香川の演技はインパクトがありすぎた。
乱れた布団の上で倒れ、目を見開いた異様な形相。「最後の最後に爆笑した」「アングラだ」「死んでいるのか、昼寝しているのかわからない」などとネットの大河ファンを驚かせた。
髪はボサボサで歯も抜け、汚らしい格好をした青年期の弥太郎の描写には三菱グループ内の一部からブーイングもあったが、死に様にもフクザツな心境だったのではないか。
香川は、「龍馬伝」に続いて5日からスタートした「坂の上の雲」の第2部に連投中。日露戦争で日本を勝利に導いた軍人の秋山好古(阿部寛)、真之(本木雅弘)兄弟に並び、ドラマの中心人物となる俳人、正岡子規を演じている。
こちらは病床に伏しながら、創作を続けていた子規になりきるため、香川は17キロも減量して撮影に臨んだ。妹・律(菅野美穂)の健気な看病もむなしく、子規は34歳の若さで世を去る。
放送記者向けの試写では「律との兄妹愛、真之との友情も丁寧に描き、とても感動的な仕上がり。子規が亡くなるシーンでは、すすり泣く人もいました」(NHK関係者)。
香川の自己評価は「重いです! 忘れることのできない一作になりました」。真之が子規を見舞い、別れるシーンに、共演した菅野も「2人の頭が並ぶと、双子のようにも、ラブシーンのようにも見えた。2人の信頼関係に、すごいなーと思った。生き証人として同じシーンに参加できてうれしい」と感激しきり。これは期待できそうだ。
主演の本木は思わず、「NHKは“香川照之プロモーション”的なところがある」とやっかみまじりの冗談を飛ばしながら、迫真の演技に敬意を表していた。