土曜日、京都建築専門学校の市民講座「木造の魅力」を聞きに行ってきた。
講師は大阪歴史博物館の学芸員酒井一光さんと、兵庫県教育委員会文化財室の
深井明比古さん。
酒井さんのテーマ「近代の建築にみる赤煉瓦」は、煉瓦の基礎知識に加え、
レンガ建築の保存方法や移築方法のお話。
明治建築に使われているレンガは大正・昭和期のものよりも肌理が細かく、
それは政府関連の建物が多く品質管理が厳しかったためだというお話や、
焼きすぎタイルによる意匠はピークを過ぎてからの時期に流行ったとかいうお話は、
あまり気にしたことがなかったので、なるほどと思った。
また、レンガ建築の移築方法で、昔はいったんバラして積み直したり、構造を
RC造に置き換えて表面にオリジナルのレンガを貼る方法がとられたが、
最近は建物丸ごと運んだり、壁を大きくカットして運び再構築する方法が主に
なっているというお話も興味深かった。
今回は深井さんのテーマである「タイル考古学」という言葉に非常に興味をもって参加した。
今まで何度かお見かけしたことはあったが講演などを聞いたことはなかった。
深井さんは兵庫県全域の埋蔵文化財の発掘調査・保存等を手がけておられ、
淡路島の平焼窯跡から発掘された大量のタイル資料を調査・整理したのを機に
タイルの編年に取り組まれ、「タイル考古学」を提唱されている。
タイル考古学とは、「発掘資料等を考古学的手法を用いて、成形・規格・形態・
文様表現法・文様種類・釉薬などを分類し、近代建築等に現存するタイルや
カタログなどの資料を含めて編年し、当時の社会・生活・文化などの実態や変化を
解明する」ことであるという。
私もかねがね、タイルやガラスやその他の建材を見ることで建物の年代が分かる
ような年表が作れればなぁと思っていたので(こちらは素人でレベルは全然違うが・・・)、
とても興味を惹かれるお話であった。
初期のタイルは粘土を土型に詰めて焼く湿式であり、明治末ごろから水分の
少ない土を金型にプレスして焼く乾式タイルが作られはじめる。
湿式では手書き模様や凹型の線による沈文、乾式になると凸型の線である
チューブライニングによって色分けされた模様などが施されるが、
模様は同じでも製法を変えて長期作り続けられるものもあり、表側の模様を
見るだけではあまり細かく時期を特定することができない。編年に有効なのは
裏側を見ることだという。裏側は接着しやすいように工夫されどんどん改善
されていくので、変化のペースが早いからだ。
平焼窯跡からは幸運にも大量の資料がまとまって出土したので、これにより
淡陶(現ダントー株式会社)製の近代を中心とした時代のタイルの
かなり詳しい編年作業が可能であったが、メーカー側にもなかなか古い時代の
ちゃんとした資料は残っていないものらしい。
今後国内各メーカーについても資料が発掘され(土の中からか、倉庫の奥からか?)
整理編年されていくことに期待!!
タイル一枚見るだけで建物の歴史がわかる、な~んてすごく楽しい!
忘れかけていたが、この講座は一応木造建築についてのものなので(笑)、
最後の討論(質問タイム)の時には、京都建築専門学校の先生から
町家の保存活用に際しての意見を問う質問があったが、酒井さんは、
オリジナルの完全復元もよいが、時代の要請に応じた贈改築の過程を残すのも
意味があると言われていた。同感である。
ただし安物材料を使ったちゃちい普請は引っぺがすべきだと思うが(笑)。
興味深いお話を聞けて楽しい講座だった。
もっともっとタイルの話をいろいろ聞きたいなぁ~
これは会場すぐそばの堀川商店街。
店舗付きの府営住宅が堀川通沿いに5棟くらい並んでいて壮観!
アーケード上の部分はなかなかカッコイイ!
講師は大阪歴史博物館の学芸員酒井一光さんと、兵庫県教育委員会文化財室の
深井明比古さん。
酒井さんのテーマ「近代の建築にみる赤煉瓦」は、煉瓦の基礎知識に加え、
レンガ建築の保存方法や移築方法のお話。
明治建築に使われているレンガは大正・昭和期のものよりも肌理が細かく、
それは政府関連の建物が多く品質管理が厳しかったためだというお話や、
焼きすぎタイルによる意匠はピークを過ぎてからの時期に流行ったとかいうお話は、
あまり気にしたことがなかったので、なるほどと思った。
また、レンガ建築の移築方法で、昔はいったんバラして積み直したり、構造を
RC造に置き換えて表面にオリジナルのレンガを貼る方法がとられたが、
最近は建物丸ごと運んだり、壁を大きくカットして運び再構築する方法が主に
なっているというお話も興味深かった。
今回は深井さんのテーマである「タイル考古学」という言葉に非常に興味をもって参加した。
今まで何度かお見かけしたことはあったが講演などを聞いたことはなかった。
深井さんは兵庫県全域の埋蔵文化財の発掘調査・保存等を手がけておられ、
淡路島の平焼窯跡から発掘された大量のタイル資料を調査・整理したのを機に
タイルの編年に取り組まれ、「タイル考古学」を提唱されている。
タイル考古学とは、「発掘資料等を考古学的手法を用いて、成形・規格・形態・
文様表現法・文様種類・釉薬などを分類し、近代建築等に現存するタイルや
カタログなどの資料を含めて編年し、当時の社会・生活・文化などの実態や変化を
解明する」ことであるという。
私もかねがね、タイルやガラスやその他の建材を見ることで建物の年代が分かる
ような年表が作れればなぁと思っていたので(こちらは素人でレベルは全然違うが・・・)、
とても興味を惹かれるお話であった。
初期のタイルは粘土を土型に詰めて焼く湿式であり、明治末ごろから水分の
少ない土を金型にプレスして焼く乾式タイルが作られはじめる。
湿式では手書き模様や凹型の線による沈文、乾式になると凸型の線である
チューブライニングによって色分けされた模様などが施されるが、
模様は同じでも製法を変えて長期作り続けられるものもあり、表側の模様を
見るだけではあまり細かく時期を特定することができない。編年に有効なのは
裏側を見ることだという。裏側は接着しやすいように工夫されどんどん改善
されていくので、変化のペースが早いからだ。
平焼窯跡からは幸運にも大量の資料がまとまって出土したので、これにより
淡陶(現ダントー株式会社)製の近代を中心とした時代のタイルの
かなり詳しい編年作業が可能であったが、メーカー側にもなかなか古い時代の
ちゃんとした資料は残っていないものらしい。
今後国内各メーカーについても資料が発掘され(土の中からか、倉庫の奥からか?)
整理編年されていくことに期待!!
タイル一枚見るだけで建物の歴史がわかる、な~んてすごく楽しい!
忘れかけていたが、この講座は一応木造建築についてのものなので(笑)、
最後の討論(質問タイム)の時には、京都建築専門学校の先生から
町家の保存活用に際しての意見を問う質問があったが、酒井さんは、
オリジナルの完全復元もよいが、時代の要請に応じた贈改築の過程を残すのも
意味があると言われていた。同感である。
ただし安物材料を使ったちゃちい普請は引っぺがすべきだと思うが(笑)。
興味深いお話を聞けて楽しい講座だった。
もっともっとタイルの話をいろいろ聞きたいなぁ~
これは会場すぐそばの堀川商店街。
店舗付きの府営住宅が堀川通沿いに5棟くらい並んでいて壮観!
アーケード上の部分はなかなかカッコイイ!
見学会でビールの試飲があったのですか!
できたてだからおいしかったことでしょう~
12月は是非とも参加しますよ。
「タイル考古学」、面白そう!私も聞きたかったです。
その後のケバいタイルは色使いがユニークです。
この日、私は見学会の最後にビールを飲んでいい気分になりました。そうそう、12月度は懇親会兼忘年会をやることになりそうです。K先生から幹事やってくれませんかと言われて、とりあえずネットなどでお店探し中です。12月参加可能だったらぜひご協力のほどヨロシク~。
道路に直接、面しているからでしょうか。ストリート性がありますよね。