ヴォーリズ建築のうちでまだ訪ねていなかった豊郷小学校を見学できる機会があり、行ってきた。
ここは、豊郷町出身の実業家古川鉄治郎が教育の振興を願い、故郷に私財の2/3を寄贈して
建設された学校で、昭和12年の竣工。ヴォーリズ設計の建物だけでなく前庭も日本初の
「ランドスケープデザイナー」が手がけるなど、理念に満ちた教育の殿堂であった。
一時は建替えか保存かという大論争の中で揺れた豊郷小学校であるが、新校舎がグラウンド側に
新築され、旧校舎は昨年一粒社ヴォーリズ建築事務所により補強・改修された上で、町民のための
施設としてよみがえったのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/de/37392670f967d98ae8a512380dcc4dde.jpg)
改修を担当されたヴォーリズ建築事務所の福永さんによる、改修コンセプトや苦労話など、
また豊郷小学校の子供たちへの思いを聞きながらの見学は、とても興味深く貴重な時間だった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/3e/144779f2d598ac7bc4ecd2a57e9887ae.jpg)
1Fは図書館や子育て支援センターなど町立の各種施設が入っており、実用空間であるため、
改修にあたっても使いやすさに重きをおいたというが、できるだけ見栄えに影響しないような
配慮がなされている。
現代の各種設備には欠かせない配線配管類は、雰囲気に合わせて製作した函の中に隠し、
さらに照度を確保するために間接照明をその中に仕込んだことによって、雰囲気作りにも
一役かっている。素晴らしい!
また、窓が多く開放的な建物は半面強度に劣る。今の基準に合うように耐力壁を入れたというが、
さてどこに入っているでしょう?無粋な追加材などどこにも見当たらない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/8b/f5c1a880fca9ae6957261ee130d2c94d.jpg)
上の写真の部分を部屋の内側から見ると、中央の柱のスパンには開口部がなく壁になって
いるのがわかる。実はこの部分に耐力壁を追加してあるのだが、廊下側から見ると木製の
ドアがあり、しかも若干の奥行きが取ってあるので全くわからない。おまけにガラス面の
部分はちょっとした写真などを飾れるギャラリーになっている。
隠すだけでなく、こういう気の利いたアイデアがちりばめられているのだ!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/e8/18a5ce5178861cc4f7843758681e3c8a.jpg)
ここは3つの教室をぶち抜いて作った図書館のスペース。もともと教室の入口脇にあった
掃除用具入れがこんな形で残されているのはうれしいね。
そのまま使えるところはそのまま残し、必要なところは最小限の手を加える。長年使って
いる間に良さが失われた部分は元の姿に戻す。もちろん今の法律に適合するように。
もともとのヴォーリズの設計理念を壊さぬよう配慮しながら、ここで過ごした人々の記憶を
大切にしながら、しかしあくまで今の人々のために・・・・
そしてまた何十年後かにその時代の人々のために改修され、この建物は使い続けられていくのだ・・・
素晴らしい建物のあり方だなと思う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/7f/bfa54d5230a36d95fb6b2be3e8bf8770.jpg)
私はよく知らないのだが、この校舎は「けいおん!」というマンガに出てくる学校のモデルに
なったとかで、そのマンガのファンの人々がたくさんここを訪れるのだという。
この時もコスプレした人や楽器を持った人など続々とやってくる。すごいな!
それをまちづくりに生かそうという動きもあり、駅からここまでの道のりには
「飛び出し坊や」ならぬ、こんなカワイイ「飛び出し女子高生」が配置されている!!
これはけいおんファンでなくても探したくなるね!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/98/d3e98b1d31318f8394b01af14dc1f684.jpg)
現在カフェと土産物コーナーになっているしゅう徳記念館でホットケーキを食べた。
ボランティアの方々が運営されているのだろうか、一枚ずつ手焼きのホットケーキは
とてもおいしかった!
ここは元々図書館で高い吹抜にロフトがあり、アールヌーボー的な装飾が多く見られる。
全体的にシンプルで直線的な要素の多いこの学校の中ではちょっと異質な空間。
けいおんグッズ展示コーナーの奥にはらせん階段もある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/df/51bef28dcfd62f509566b00224171d64.jpg)
これは地下ボイラー室の壁。まるで地層のような壁の色が長年の浸水の跡を示す。
部屋の中央には石炭を燃やしたセントラルヒーティングのボイラーが今も鎮座していた。
こんなところにまで入って見れたのはほんとに貴重な体験だった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/9f/1aa385b1da60c7aa7acb5a42bda7d512.jpg)
豊郷小学校を卒業した町の人、建築ファン、けいおんファン・・・壊されそうになっていた
建物には今、たくさんの人が集まってくる。
よみがえった建物はまたこれからも記憶というプレミアを積み上げていく。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/ec/f169b6ab72b85bbf839f4c67039482b8.jpg)
一粒の会の皆さん、豊郷町の担当の方々、ありがとうございました。
ここは、豊郷町出身の実業家古川鉄治郎が教育の振興を願い、故郷に私財の2/3を寄贈して
建設された学校で、昭和12年の竣工。ヴォーリズ設計の建物だけでなく前庭も日本初の
「ランドスケープデザイナー」が手がけるなど、理念に満ちた教育の殿堂であった。
一時は建替えか保存かという大論争の中で揺れた豊郷小学校であるが、新校舎がグラウンド側に
新築され、旧校舎は昨年一粒社ヴォーリズ建築事務所により補強・改修された上で、町民のための
施設としてよみがえったのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/de/37392670f967d98ae8a512380dcc4dde.jpg)
改修を担当されたヴォーリズ建築事務所の福永さんによる、改修コンセプトや苦労話など、
また豊郷小学校の子供たちへの思いを聞きながらの見学は、とても興味深く貴重な時間だった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/3e/144779f2d598ac7bc4ecd2a57e9887ae.jpg)
1Fは図書館や子育て支援センターなど町立の各種施設が入っており、実用空間であるため、
改修にあたっても使いやすさに重きをおいたというが、できるだけ見栄えに影響しないような
配慮がなされている。
現代の各種設備には欠かせない配線配管類は、雰囲気に合わせて製作した函の中に隠し、
さらに照度を確保するために間接照明をその中に仕込んだことによって、雰囲気作りにも
一役かっている。素晴らしい!
また、窓が多く開放的な建物は半面強度に劣る。今の基準に合うように耐力壁を入れたというが、
さてどこに入っているでしょう?無粋な追加材などどこにも見当たらない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/8b/f5c1a880fca9ae6957261ee130d2c94d.jpg)
上の写真の部分を部屋の内側から見ると、中央の柱のスパンには開口部がなく壁になって
いるのがわかる。実はこの部分に耐力壁を追加してあるのだが、廊下側から見ると木製の
ドアがあり、しかも若干の奥行きが取ってあるので全くわからない。おまけにガラス面の
部分はちょっとした写真などを飾れるギャラリーになっている。
隠すだけでなく、こういう気の利いたアイデアがちりばめられているのだ!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/e8/18a5ce5178861cc4f7843758681e3c8a.jpg)
ここは3つの教室をぶち抜いて作った図書館のスペース。もともと教室の入口脇にあった
掃除用具入れがこんな形で残されているのはうれしいね。
そのまま使えるところはそのまま残し、必要なところは最小限の手を加える。長年使って
いる間に良さが失われた部分は元の姿に戻す。もちろん今の法律に適合するように。
もともとのヴォーリズの設計理念を壊さぬよう配慮しながら、ここで過ごした人々の記憶を
大切にしながら、しかしあくまで今の人々のために・・・・
そしてまた何十年後かにその時代の人々のために改修され、この建物は使い続けられていくのだ・・・
素晴らしい建物のあり方だなと思う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/7f/bfa54d5230a36d95fb6b2be3e8bf8770.jpg)
私はよく知らないのだが、この校舎は「けいおん!」というマンガに出てくる学校のモデルに
なったとかで、そのマンガのファンの人々がたくさんここを訪れるのだという。
この時もコスプレした人や楽器を持った人など続々とやってくる。すごいな!
それをまちづくりに生かそうという動きもあり、駅からここまでの道のりには
「飛び出し坊や」ならぬ、こんなカワイイ「飛び出し女子高生」が配置されている!!
これはけいおんファンでなくても探したくなるね!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/98/d3e98b1d31318f8394b01af14dc1f684.jpg)
現在カフェと土産物コーナーになっているしゅう徳記念館でホットケーキを食べた。
ボランティアの方々が運営されているのだろうか、一枚ずつ手焼きのホットケーキは
とてもおいしかった!
ここは元々図書館で高い吹抜にロフトがあり、アールヌーボー的な装飾が多く見られる。
全体的にシンプルで直線的な要素の多いこの学校の中ではちょっと異質な空間。
けいおんグッズ展示コーナーの奥にはらせん階段もある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/df/51bef28dcfd62f509566b00224171d64.jpg)
これは地下ボイラー室の壁。まるで地層のような壁の色が長年の浸水の跡を示す。
部屋の中央には石炭を燃やしたセントラルヒーティングのボイラーが今も鎮座していた。
こんなところにまで入って見れたのはほんとに貴重な体験だった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/9f/1aa385b1da60c7aa7acb5a42bda7d512.jpg)
豊郷小学校を卒業した町の人、建築ファン、けいおんファン・・・壊されそうになっていた
建物には今、たくさんの人が集まってくる。
よみがえった建物はまたこれからも記憶というプレミアを積み上げていく。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/ec/f169b6ab72b85bbf839f4c67039482b8.jpg)
一粒の会の皆さん、豊郷町の担当の方々、ありがとうございました。
私はまだ豊郷小学校に行ったことがありません。
配線配管類の隠し方+間接照明など見事ですし、記憶と心をうまく残した見事な改修ですね。有名な階段手すりの「ウサギとカメ」も見たいですし、行かねば!
とってもバランス良く改修されていて気持ちいいですよ。
是非行ってみて下さい。