経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2024-04-22 07:22:15 | 株価
◇ 下降局面に入った? 株価 = ダウ平均は先週わずか3ドルの値上がり。終り値は3万8000ドルに乗らなかった。前週も前々週も900ドル台の下落だったのに、反発は微々たるものに終わっている。3月の小売り売上高が予想を上回り、FRBによる利下げが遠のいた。年内3回の見通しが1回に縮小。このため買われ過ぎていた半導体を筆頭に、輸出関連、内需関連の銘柄が売られている。そこへ中東情勢の悪化が加わった。

日経平均は先週2455円の大幅な値下がり。終り値は3万7000円台を、かろうじて維持した。下げ幅は21年2月以来3年2か月ぶりの大きさ。こちらも半導体、輸出関連、それに内需関連銘柄も売られている。特に金曜日にはイランで爆発音が聞こえたといニュースが飛び込み、一時は1300円を超す下落となった。内需関連株は「中東の緊迫→原油の高騰→物価高→消費の縮小」という発想から売られている。

ニューヨーク市場では「株価は天井を過ぎ、下げ局面に入ったのではないか」という声が聞こえ始めた。東京市場では聞かれないが、数字的にはそう考えてもよさそうだ。最高値を記録した3月27日から、3週間で3700円も下落している。ただカネ余りが続いているから、日米ともに株価がさらに大きく急落する可能性は小さいだろう。それにしても、こうした局面で日銀が‟冬眠”していることは、理解に苦しむ。

今週は24日に、3月の企業向けサービス価格。26日に、4月の東京都区部・消費者物価。アメリカでは23日に、3月の新築住宅販売。25日に、1-3月期のGDP速報、3月の中古住宅販売が発表される。なお26日には、植田日銀総裁の記者会見。

        ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

EV戦線 異状あり

2024-04-20 07:28:43 | 自動車
◇ 日本メーカーに再浮上のチャンス = EV戦線のトップを走っていたアメリカのテスラが不調に陥った。業績の不振から、世界で従業員の10%以上を削減する方針を発表、大きな反響を呼んでいる。1-3月期の世界販売台数は38万6810台、前年より9%減少した。お膝元のアメリカでは充電網の整備が遅れているところへ、金利が上昇して需要が減退。中国ではBYD(比亜迪)などの値下げ戦略に対抗できなかった。

BYDは中国のEVトップ・メーカー。1-3月期の販売台数は、輸出も含めて30万0114台。前年比は13%の増加だった。まだ販売台数でテスラに及ばないが、少なくとも中国市場では優位に立った。しかし、そのBYDも昨年1-3月には販売を84.8%も増やしており、ことしは勢いが弱まっている。これは世界的に金利が上昇、さらにアメリカやEUで補助金が打ち切られたことによると考えられている。

代わりに勢いを強めているのが、ガソリンと電気を併用するHV(ハイブリッド車)だ。調査会社マークラインズによると、23年の中国・アメリカ・ドイツ・フランス・イタリア・イギリス・日本のEV総販売台数は776万台。前年より22%増加した。一方、HVは合計954万台で前年比36%も伸びている。燃料の補給に心配がなく、価格も比較的安いことから、人気が再燃したようだ。

HVの製造技術は、日本メーカーが完成した。このためトヨタをはじめとする日本メーカーはHVに焦点を合わせ、EVの開発を疎かにした時期があった。結果的にEV戦争では周回遅れになったと言える。それがいま突如として、HVに日が当たってきた。日本はこのチャンスを活かすと同時に、EVが復権するときに備えて車載用電池の開発に全力を挙げることが賢明だと思う。

        ≪19日の日経平均 = 下げ -1011.35円≫

        【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】     
   

日本人-84万人 外国人+24万人 (下)

2024-04-19 07:37:00 | 人口
◇ 人手不足はずうーっと続く = 生産年齢人口(15-64歳)は7395万2000人で、前年より25万6000人減った。ピークだった1995年に比べると15%も減少している。当然、人手は不足する。この人手不足を補う方策は大別すると4つ。①女性や高齢者を労働市場に引き出す②雇用の流動性を高める③外国人に来てもらう④機械化・ロボット化・AI化を進めて生産性を上げる--これらが効果を十分に上げなければ、人手不足は解消しないだろう。

女性や高齢者は、この20年間で300万人近くが新たに就職した。厚労省の調査によると、「15歳以上で職に就かず仕事を探していないが、働く気はある人」は233万人。この20年間で297万人減少した。このため、すでに限界に近いという見方が強い。また雇用の流動性を高めて‟適材適所”の働き方が増えれば労働効率も高まるが、実際にはなかなか難しい。

いちばん手取り早いのは、外国人労働者の誘致だろう。厚労省によると、昨年10月時点で働いていた外国人は204万9000人。前年より12.4%の増加、この10年間では2.9倍に増えた。ベトナム人と中国人が多く、建設や医療分野での就労が目立つ。しかし昨年10月までの1年間でみると、日本人労働者の減少分を3分の1も埋めていない。今後を展望すると、賃金水準の低さが最大のネックになりそうだ。

たとえばOECD(経済協力開発機構)の調査によると、独仏英の最低賃金は1時間1500円程度なのに対して、日本は1000円強。台湾や韓国よりも低い。しかも円安。これでは東南アジアの若者にとって、魅力ある働き場とは言えない。ロボット化やデジタル化も進むだろうが、全部をひっくるめても年間25万人の労働力不足は埋め切れない。人手不足は今後も長く続くと覚悟した方がいい。大不況に陥れば、話は別だが・・・。

        ≪18日の日経平均 = 上げ +117.90円≫

        ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ≫   

日本人-84万人 外国人+24万人 (上)

2024-04-18 07:33:25 | 人口
◇ 15年間で静岡県に匹敵する人口が消えた = 総務省は先週12日、23年10月1日時点の人口推計を発表した。それによると、総人口は1億2435万2000人で前年より59万5000人減少した。減少は13年連続。このうち日本人だけをみると、総人口は1億2119万3000人で前年比83万7000人の減少。外国人は315万9000人で24万3000人の増加だった。総人口のピークは08年の1億2808万人だったから、それから15年間で373万人も減ったことになる。

都道府県別にみると、人口が増えたのは東京都だけ。あとはすべて減少している。その東京都も死亡者数が出生者数を上回ったが、他地域からの転入が大きく、総計ではプラスになった。人口の減少率が大きかったのは、秋田・青森・岩手の東北3県。総人口はこの1年で約60万人減ったが、これは鳥取県の人口を上回る。また15年間では約370万人減ったが、これは静岡県の人口よりも大きい。

少子高齢化は、やはり進行した。65歳以上の高齢者は3622万7000人で、総人口に占める割合は29.1%と過去最大を更新した。一方、15歳未満は1417万3000人で全体の11.4%だった。この両者の間に位置するのが、生産年齢人口と呼ばれる15-64歳の年齢層。主として経済活動はこの年齢層が受け持つし、消費行動の中核ともなっている。

その生産年齢人口は7395万2000人。前年より25万9000人も減少した。この4月から運輸業・建設業・医師などに対する残業規制が実施され、多くの分野で人手不足が問題になっている。その根本的な原因が、この生産年齢人口の減少だ。最大の対応策は、外国人労働力の誘致。しか昨年10月の統計でみる限り、外国人の増加数は24万人。日本人の減少数84万人の3分の1にも達していない。

                       (続きは明日)

        ≪17日の日経平均 = 下げ -509.40円≫

        ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

為替介入をめぐって 交錯する思惑

2024-04-16 09:30:03 | 円相場
◇ ドル高はG20会議でも主要な議題に = 円の対ドル相場は154円台にまで下落した。アメリカで3月の物価上昇率が拡大、FRBによる利下げが遠のいたという観測が強まって金利水準が上昇。日米間の金利差が拡大したためである。だが実に34年ぶりの安さになったのに、政府・日銀は介入しなかった。なぜ介入しなかったのか。相場がどこまで下落したら介入するのか。市場では疑問と思惑が渦巻いている。

先週は日米首脳会談のため、岸田首相が訪米していた。そんなときに介入すれば、カドが立つ。それで介入できなかったという見方がある。だが今週は18日からワシントンで、G20財務相・中央銀行総裁会議が開かれる。そこでは米ドルの独歩高に関しても、議論される見込み。すると、その前後に介入するのは節操がないとみられ、やはり難しい。

いま米ドルは、各国通貨に対して高くなっている。たとえば年初来ドルに対して、トルコ・リラは9%、日本円は8%。韓国ホアンは6%安い。すでにブラジルとインドネシアは介入、トルコは政策金利を50%に引き上げた。ユーロも対ドル相場が5か月ぶりの低さに落ち込んでいる。このような状況にどう対処するか、G20で議論される見込みだ。

アメリカの立場は微妙だ。ドル安は物価高の要因になるので、基本的には排除したい。だが新興国の経済が破たんしたり、借金の返済が滞るのも困る。日本は単独介入だと効果が薄いから、ニューヨーク市場でもドル売り介入をしたい。だがアメリカは、とても受け入れそうにない。それより「日銀が利上げしたら」と、言い返されるのは困る。だから急激な円安にでもならない限り、介入はなかなか決断できない。

        ≪16日の日経平均 = 下げ -761.60円≫

        ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
 

Zenback

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