経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2023-11-06 07:19:40 | 株価
◇ 「金利据え置き」で秋晴れのNY市場 = ダウ平均は先週1644ドルの大幅な値上がり。昨年10月以来の上げ幅で、終り値は3万4000ドルを回復した。FRBが31日に決定した「政策金利の据え置き」が、株高の主たる原因。週初から「据え置くだろう」の予想で上げ、実際に「据え置いた」ことでさらに値を上げた。週末には予想を下回る雇用統計が発表されて、市場の空気は爽やかな秋晴れとなっている。

日経平均も先週は958円の値上がり。終り値は3万2000円に接近した。日銀が31日に「長期金利政策の修正」を発表、市場は好感して輸出関連株や金融株が買われている。日経平均は10月中998円の下落だったが、これを先週だけで取り戻した形。やはり堅調なニューヨーク市場の影響が大きく、岸田内閣の新経済対策などはあまり響いていない。

ニューヨーク市場では「FRBによる利上げはもうない」という見方が、急速に広まっている。こうした風潮を土台に、しばらくは強気相場が続くのか。それともガザ戦争などの外部要因、あるいは再び浮上しそうな政府の予算切れ問題などが、クローズアップされるのか。加えて本格化する企業の決算発表に、どんな評価が下されるのか。今週の見どころである。

今週は7日に、9月の家計調査、毎月勤労統計。8日に、9月の景気動向指数。9日に、10月の景気ウオッチャー調査。アメリカでは7日に、9月の貿易統計。10日に、11月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が7日に、10月の貿易統計。8日に、10月の消費者物価と生産者物価を発表する。

        ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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1人当たりGDPは 世界32位

2023-11-04 07:15:24 | なし
◇ 大きい対外資産で、かろうじて‟経済大国” = IMF(国際通貨基金)が発表した最新の推計によると、ことしの日本の名目GDPは633兆円。ドル換算では4兆2308億ドルとなる見込み。ドイツは4兆4298億ドルとなり、日本はドイツに抜かれ世界第4位に転落する。第1位はアメリカで20兆9496億ドル、第2位は中国で17兆7009億ドル。名目GDPをドル換算すると、円安や物価高の影響で日本は小さく出やすい。たとえば物価上昇率はドイツの方が、日本よりずっと高かった。

しかし長期的にみても、日本の成長率は伸び悩んでいる。たとえばコロナ前の19年と23年の推計値を比べると、アメリカは26%の増加、中国は23%の増加、ドイツは14%の増加だった。これに対して、日本は17%の減少となっている。これでは抜かれて順位を落とすのは当然だ。第一生命経済研究所は、この調子だと26年にはインドにも抜かれると予測している。

GDPというのは、一国の経済活動の大きさを表す指標。だから人口が多い方が、大きくなりやすい。これに対してGDPを人口で割った1人当たりGDPは、国民の平均的な経済力の高さを示している。ところがIMFの推計をみると、日本はなんと世界第32位。先進国のなかではどん尻だし、ブルネイやサウジアラビアにも抜かれている。いま日本国民の不満がここに集中していることを、岸田首相はご存知ない。

対外資産という指標がある。政府・企業・個人が外国で所有する資産から負債を差し引いた数値だ。これは日本がまだ世界第1位。その金額は3兆1654億ドル。このおかげで、日本はかろうじて‟経済大国”の面目を保っていると言えるだろう。高度成長期に貯め込んだ‟お宝”である。だが第2位のドイツは2兆9329億ドル、ここでも日本の背中に迫ってきている。
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最低になった 内閣支持率

2023-11-02 07:54:17 | 政局
◇ 減税の評判が悪いのは、なぜ? = マスコミ各社の世論調査で、岸田内閣の支持率がガタ落ちとなった。トップを切った日経新聞の調査では、支持率が33%で政権発足以来の最低。またNHKの調査では36%だったが、テレビ朝日の調査では26.9%にまで落ち込んでいる。与党内では「これでは解散はムリ」の声も出始める始末。岸田首相は「減税までやるというのに、どうしてなんだろう」と、頭を抱えているに違いない。

調査によると、その減税の評判が悪い。たとえば日経新聞の調査だと、減税について「適切と思う」という回答は24%だったのに対して「適切と思わない」回答は65%にのぼっている。その理由は「いま減税があっても、1-2年後には増税ラッシュがやってくる」「財政の健全化に使うべきだ」「結局は選挙のためのバラマキではないか」・・・。

岸田首相は、こう説明する。減税で国民の手取り賃金を増やし、物価高を上回る賃金上昇を実現する。それによって経済の好循環が生まれれば、日本経済はデフレ状態を脱出できる。いまが、その最後のチャンスだ。さいわい景気が上向いたため、税収が当初の予想を上回った。これを国民に還元する形で、減税をしたい。

残念ながら、この岸田首相の考え方を国民は理解できなかった。過去30年にわたって脱出できなかったデフレ経済、それが数兆円の減税で変わるのだろうか。それよりもっと将来を見据えた政策を打ち出してもらいたい。これが国民の受け取り方だったと思う。たしかに「減税で経済の好循環を」という岸田さんの構想は、論理構築の点でかなり甘い。この点を認識しないと、内閣支持率の回復は難しそうだ。

        ≪1日の日経平均 = 上げ +742.80円≫

        ≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
   
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金融引き締めへの第1歩 : 日銀

2023-11-01 07:19:54 | 金融
◇ 次の焦点はゼロ金利の解除 = 日銀は31日に開いた金融政策決定会合で「長期金利が1%を超えて上昇すること」を容認した。これまでは上限としてきた1%をメドに改め、一定限度なら超えてもいいというように修正している。ただ短期金利をゼロに抑える政策やETF(上場投資信託)の買い入れなど、金融緩和の姿勢は崩さない。このように形としては政策のわずかな修正に過ぎないが、これが金融引き締め政策への第1歩となる可能性は決して小さくない。

日銀はことし7月にも、長期金利政策を修正。容認する上限を0.5%から1%に引き上げている。アメリカの急激な金利上昇に引きずられ、日本の長期金利も0.5%に抑えられなくなったためだ。今回も同様の力が加わって、31日午前の長期金利は0.955%と10年ぶりの高さに上昇していた。こういう状況で金利を1%以内に抑え込もうとすると、日銀は大量の国債を購入しなければならなくなる。また円安がさらに進み、輸入物価が高騰してしまう。

アメリカの高金利は、来年になっても続く公算が大きい。またウクライナ戦争に加えて、中東ガザでも戦争が勃発。エネルギーや資源、食料の国際価格は高止まりしそうだ。物価には、上昇圧力が加わり続ける。このため150円以上の円安は、絶対に回避したい。こういう状況だから、日本の長期金利が1.5%程度まで上昇してもおかしくない。

仮にそこまで行くと、こんどは短期金利との格差が大きな問題になってくる。したがって次の焦点は、短期金利の引き上げ。つまりゼロ金利からの脱出ということになる。日銀はそこまでを覚悟したわけではなさそうだ。しかし大きな流れは、動き出した。あとから考えてみると、きのうの日銀の決定が金融引き締めへの第1歩だったということになる可能性が、きわめて大きい。

        ≪31日の日経平均 = 上げ +161.89円≫

        ≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
   
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