経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (153)

2023-03-25 07:30:54 | なし
◇ 断トツに低い日本の人口比・死亡率 = 世界の感染者は累計6億7860万人、この1週間で76万人増加した。この増加数は前週より20万人少ない。死亡者は681万8258人で、週間5950人の増加だった。この増加数は過去最少。パンデミック(世界的流行)の勢いは徐々にではあるが、確実に衰えている。新しい変異株も発見されていない。ただ発表を止めてしまった中国で、感染者が拡大しているという情報もあり要注意だ。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計115万2582人。この1週間で2065人増加した。続いてブラジルが69万人台、インドが53万人台、ロシアが39万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが20万人台、イタリアが18万人台、ドイツが17万人台、フランスとインドネシアが16万人台となっている。大きく増加した国はないが、ドイツが17万人台に乗せた。

日本の感染者は累計3341万5336人、この1週間で6万0380人増加した。この増加数は前週より3万人多いが、集計上の問題が影響したようだ。死亡者は7万3645人で、週間241人の増加だった。増加数は10週連続で縮小している。コロナ規制がほぼ解除され、行楽シーズンで人出も予想以上に多い。にもかかわらずコロナは順調に終息へ向かっている。

人口当たりの死亡率をみると、①アメリカ 0.35%②イギリス 0.31%③ロシア 0.27%④ドイツ 0.20%--などとなっている。これに対して日本は0.07%で、断トツに低い。まだ季節性インフルエンザに比べると高いが、あと2か月ほど改善傾向が持続すれば、コロナ終息宣言も見えてくるだろう。もう少しだ、頑張ろう。

        ≪24日の日経平均 = 下げ -34.36円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】     

あめ玉 ⇒ 統一地方選 ⇒ 増税? (下)

2023-03-24 07:30:39 | 税金
◇ 増税ラッシュはお断わり = 政府は物価対策でも、新たな施策を積み上げることになった。その中核は地方創生臨時交付金に1兆2000億円を追加、自治体が物価対策を充実できるようにする。LPガスに対する補助金や、低所得世帯へ一律3万円、子ども1人に5万円の支給など。この費用は22年度の予備費から2兆円を支出する。予備費を使い残さないようにするためだ。さらに自民党内では、出産費用や小中学校の給食を無償化する案も検討されている。

この4月には、統一地方選挙と衆参両院の補欠選挙が実施される。少子化対策や物価対策の拡充は、有権者にとっても心地いい話。これをお土産にすれば、与党の候補者は票を集めやすい。だから、そのあめ玉をいま大量生産しているのではないか。もちろん政治家が有権者の求める施策を実施することに、なんら問題はない。ただし財源の問題に触れないことは、大問題だ。

政府が財政支出を増やす場合、その財源を賄う方法は3つある。①他の項目で支出を削減する②国債を発行する③増税する--の3つだ。このうち支出の削減は出来そうもないし、やる気もなさそうだ。また国債はこの3月末で、発行残高が確実に1000兆円を突破する。GDP比も先進国では最悪だから、そんなに多くは頼れない。

すると残るは、増税や社会保険料の引き上げ。所得税や法人税、消費税や酒税の増税。それに医療費や介護費の引き上げが目標になるだろう。ある自民党の幹部は「財源は異次元の方法で見つける」と言ったそうだが、そんなものは見つかるわけがない。そして当分は選挙もないので、結局は増税へ。そんな結末は、願い下げにしたいものだ。

        ≪23日の日経平均 = 下げ -47.00円≫

        ≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

あめ玉 ⇒ 統一地方選 ⇒ 増税? (上)

2023-03-23 07:23:33 | 税金
◇ 財源なしで議論が進む不思議 = 岸田首相は先週17日夜の記者会見で、少子化対策の具体案を発表した。そのなかで最も力を入れて説明したのが、育児休暇中の所得補償。現行の給付率67%を80%に引き上げ、社会保険料を免除することで実質100%の給付率にするという。また児童手当の拡充、高等教育費の負担軽減、住居支援。さらに幼児保育の強化、所得が106万円・130万円になると保険料や税金の負担で収入が減ってしまう制度の改善にまで言及した。

自民党内でも、具体案の作成作業が進んでいる。特に活発に議論されているのは、児童手当の問題。現在は中学生までとなっている支給対象を18歳にまで延長。現行は月1万ー1万5000円の支給額を「第1子は1万5000円、第2子は3万円、第3子以上は6万円」に増額する方向だ。ただ1200万円までとしている現在の所得制限を撤廃するかどうかは、決着がついていない。

年間の出生数が80万人を割り込むなど、日本の少子化は加速している。岸田首相も会見で「このまま推移すると経済が縮小し、社会保障制度や地域社会の維持が難しくなる」と述べ、「これから6-7年が少子化傾向を反転できるかどうかのラスト・チャンスだ」と力説した。このことは正論であり、誰も反対はできないだろう。

しかし、きわめて重大な問題が1つ。それは岸田首相も自民党も、財源については全く触れていないことだ。おそらく議論されている具体策のすべてを実現するには、少なく見積もっても年間10兆円以上の財源が必要だと考えられる。だが不思議なことに、財源についての議論は聞こえてこない。いったい財源抜きの議論に意味はあるのだろうか。真偽のほどは不明だが、政府・自民党内では「選挙の前には財源の話をするな」というお触れが出ているという噂さえ流れている。

                   (続きは明日)

        ≪22日の日経平均 = 上げ +520.94円≫

        ≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

中央銀行の 苦悩と決断

2023-03-22 07:29:33 | 金融
◇ 金融不安の除去かインフレの抑制か = ECB(ヨーロッパ中央銀行)は16日、政策金利の0.5%引き上げを決断した。アメリカで発生した金融不安がヨーロッパにも飛び火、クレディ・スイス銀行が経営破たんしたあくる日のことだ。スイスはECBの管轄下ではないが、ドイツのINGグループやイタリアのウニクレディトなども預金の流出に見舞われている最中だった。それでも断固として利上げに踏み切ったECBは、金融不安の除去よりもインフレ抑制を選んだわけである。

金利が上昇すると銀行が保有する債券の価格が下がり、評価損が発生する。この損失が大きいと、預金者が銀行経営に不信を抱き預金を引き出す。だから政策金利の引き上げは、金融不安に油を注いでしまう危険がある。したがってECBも、利上げを決断するまでには大いに迷ったはず。その結果の決断だが、将来「あれは間違いだった」と烙印を押される可能性もなくはない。

アメリカでも状況は同じ。シリコン・バレー銀行に次いで、シグネチャー銀行が倒産。さらにウエスタン・アライアンス銀行とファースト・リパブリック銀行が、預金の取り付け騒ぎに見舞われた。これに対して財務省とFRBは、まずシリコン・バレーとシグネチャーの2行については「預金の全額保証」を明示したうえで倒産させ、あとの2行は大手銀行の融資で救済する措置をとった。これで当面は落ち着きを取り戻したが、ニューヨーク市場の銀行株は時価総額を60兆円も失っている。

そんな状況下で、FRBは21-22日のFOMC(公開市場委員会)で金融政策を決定する。0.5%の利上げや利下げは論外だとして、選択肢は0.25%の利上げか現状維持しかない。だが利上げをすれば、金融不安が再燃する不安も十分にある。現状維持だと「FRBは金融不安の再燃を恐れている」と受け取られる危険がある。いまパウエル議長は、深刻に悩んでいることだろう。

        ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

今週のポイント

2023-03-20 07:36:17 | 株価
◇ 消えない金融不安への警戒感 = ダウ平均は先週48ドルの値下がり。上下動を繰り返した挙句、結局は小幅の下落となった。終り値は3万2000ドルを割っている。中堅銀行の経営行き詰まりが3行に拡大、さらにヨーロッパのクレディ・スイス銀行にまで飛び火した。スイス中央銀行が7兆円を融資して、懸命の消火に当たっている。しかし世界の株式市場では、先行き不安感が消えていない。ただ、その割にはダウ平均の下げ幅は小さかった。

日経平均は先週810円の値下がり。前週ニューヨーク市場が大幅に下げたにもかかわらず、日経平均は上昇した。その分が1週遅れの値下がりとなっている。外国人投資家の売りが目立ったが、その主因はやはり欧米の金融不安。加えて円高の進行で、日本株の割安感が薄れたようだ。全体として、東京市場の下値抵抗力は弱まっている。

驚いたのは、クレディ・スイス銀行が経営破たんしたにもかかわらず、ECB(ヨーロッパ中央銀行)が0.5%の利上げを強行したこと。インフレ抑制の姿勢を鮮明にした。そこで最大の注目点は、FRBが今週22日に発表する政策金利。予想通り0.25%の引き上げを決定するか、それとも利上げを見送るか。利上げすれば金融不安を拡大してしまう危険もあるが、しなければ「FRBが金融不安を懸念している」と受け取られかねない。

今週は24日に、2月の消費者物価。アメリカでは21日に、2月の中古住宅販売が発表される。なお22日には、パウエルFRB議長が記者会見で金融政策に関する決定事項を公表する。

         ≪20日の日経平均 = 下げ -388.12円≫

Zenback

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