経済なんでも研究会

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中央銀行の 苦悩と決断

2023-03-22 07:29:33 | 金融
◇ 金融不安の除去かインフレの抑制か = ECB(ヨーロッパ中央銀行)は16日、政策金利の0.5%引き上げを決断した。アメリカで発生した金融不安がヨーロッパにも飛び火、クレディ・スイス銀行が経営破たんしたあくる日のことだ。スイスはECBの管轄下ではないが、ドイツのINGグループやイタリアのウニクレディトなども預金の流出に見舞われている最中だった。それでも断固として利上げに踏み切ったECBは、金融不安の除去よりもインフレ抑制を選んだわけである。

金利が上昇すると銀行が保有する債券の価格が下がり、評価損が発生する。この損失が大きいと、預金者が銀行経営に不信を抱き預金を引き出す。だから政策金利の引き上げは、金融不安に油を注いでしまう危険がある。したがってECBも、利上げを決断するまでには大いに迷ったはず。その結果の決断だが、将来「あれは間違いだった」と烙印を押される可能性もなくはない。

アメリカでも状況は同じ。シリコン・バレー銀行に次いで、シグネチャー銀行が倒産。さらにウエスタン・アライアンス銀行とファースト・リパブリック銀行が、預金の取り付け騒ぎに見舞われた。これに対して財務省とFRBは、まずシリコン・バレーとシグネチャーの2行については「預金の全額保証」を明示したうえで倒産させ、あとの2行は大手銀行の融資で救済する措置をとった。これで当面は落ち着きを取り戻したが、ニューヨーク市場の銀行株は時価総額を60兆円も失っている。

そんな状況下で、FRBは21-22日のFOMC(公開市場委員会)で金融政策を決定する。0.5%の利上げや利下げは論外だとして、選択肢は0.25%の利上げか現状維持しかない。だが利上げをすれば、金融不安が再燃する不安も十分にある。現状維持だと「FRBは金融不安の再燃を恐れている」と受け取られる危険がある。いまパウエル議長は、深刻に悩んでいることだろう。

        ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫


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